進撃の巨人 8 (初回特典:フルカラーイラスト集(48P)) [Blu-ray]/ポニーキャニオン

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『進撃の巨人』BD8巻の話の続きです。特典ブックレットは、まず巨人の設定集。知性巨人の表情がいろいろ描かれていて、興味深いです。インタビューは二つあって、まずキャストインタビューはリヴァイ役の神谷浩史さん。それからスペシャルインタビューとして、原作者の諫山創さんが答えていました!

諫山さんのインタビューは、アニメならでは特徴についてとても深く考えていることが伺える内容で、なるほどと思うことがいくつもありました。

諫山さんは元々世界観重視でキャラクターを設定していて、キャラクターが生まれたときを自分で知っているから、あまり「本当に存在している」という感じがなかった、というのですが、アニメで声優のみなさんが喋るのを聞いているうちに、本当にどこかに存在しているような気がしてきた、という話が面白かったです。

「アニメーションは生き物でないものを生き物のように見せることだ」という言葉を引用して、アニメ化によってそれぞれのキャラクターが本当に存在する、本当の生き物になってきたと感じたというのです。そしてそのことが原作にも大きな影響を与えているといいます。キャラクターをそれぞれ掘り下げたいというかたちで、キャラクターたちに目がいくようになった、と言うのです。

確かに最近の物語ではその辺りの掘り下げが当初に比べてかなりなされてきている要に思います。世界観の設定や物語の展開に必要な部分だけでなく、ギャグの場面での色付け、それぞれの過去と現在、という形で、単なる「物語の奴隷」(諫山さんがエレンを評した言葉)ではなく、一人の人間として描かれる部分が大きくなってきたと思います。

スピンオフで、リヴァイが主役の『悔いなき選択』とか、ヴィジュアルアニメのアニが主役の作品とかも、そう言う形でとても上質なものに仕上がっていると思います。このあたりのところは、そう言う諫山さんの意識から出てきたものなのかもしれないと思いました。

もともと諫山さんの意識はともかく、というか物語にきちんと人格が裏付けられているということも大きいのだと思いますが、あっけなく死んでしまったミーナやハンナ、ペトラとか、ハンジの副官であるモブリットなどの地味なキャラまでどんどん人気が出て行くところは、横山光輝さんの名作、『三国志』とよく似ているなあと思います。

いま、LINEで『三国志』のスタンプが人気なのだそうですが、物語構造がシンプルでしっかりしているからこそ、キャラクターがそれぞれ輝く、という面は共通しているように思います。

いずれにしても、原作を忠実に再現するという目標で作られたアニメがさらに原作を刺激し、より深くより広い世界を作って行くと言う、コラボの一つの理想が実現しているということで、本当にこの作品はすばらしい、また幸運な作品になっていると改めて思いました。