今日14日発売の週刊漫画Timesに『東京カウンセラー』16話が掲載されています。これは14話から続く『旧友の悩み』という話の完結編でした。


今回はスポーツ・カウンセリングということで、主人公の美和は補佐役に回ります。旧友のスポーツカウンセラー・香織が、企業で働く陸上選手のカウンセラーに、今ひとつ自信がないと言うのが関わるきっかけでした。


その問題の根本を探っていくうち、彼の上司が元ラグビー経験者で、彼に引退を迫られていることが心理的な圧迫となり、実力を出せないでいるのだと考えた香織は、上司に抗議します。しかし、上司の真意は違いました。


彼が盛りを過ぎた陸上選手に引退しろと迫るのは、パワハラではなく、ずっと競技一筋で来た選手が競技を引退するときの『恐怖』を、よく知るが故でした。競技一筋で進学も就職もしてきた人間が、引退後どうやって「競技のないクソつまらない日常」を送っていくのかを考えると恐怖でしかない、と。


しかしそのステップを実際に経験した彼は、実際に引退してみれば、それは今までの人生の否定ではなく、次の人生へのステップだった、と感じていたのです。だから限界を見極めたら、引退を決意し、前に進むべきだと彼は考えていたのです。


これはとてもよく分かる話だと思いました。今が充実していればしているほど、それが終わることが怖いし、そしていつかはそれは終わるのです。そのときにどうやって生きていくか。しかし次の段階に踏み出したとき、今までやっていたことは必ず何かの役に立つのです。だから引退を恐れず、前に進もう。そんなメッセージが込められているように思いました。


私自身の経験から言っても、それまでにやってきたことは次のステップでもいろいろな意味で役に立っていると思います。充実していればしているほどそのあとの変化に戸惑うでしょうが、それまでのステップが充実していればいるほど、その次のステップに生かせるものがより多くなるわけで、そういう風に考えられると前に進みやすくなるのではないかなと思いました。いずれにしても、大きな川を渡る、自分が変わる場面ではあるのですけどね。