別冊 少年マガジン 2014年 03月号 [雑誌]/講談社

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前回、エレンの記憶の中に突然現れて消えた謎の黒髪の女性が、ヒストリア(クリスタ)の夢の中にも現れます。この女性が何か大きな鍵を握っているのだろうということは予測できるのですが、今の時点でエレンにもヒストリアにも意識の中からは消されている状態。ユミルがいなくなったあとヒストリアは何をしたいのかが分からない空っぽな状態になって、「クリスタのようないい子でなくてがっかりしたでしょ」とエレンに言いますが、エレンは「前のお前は不自然で気持ち悪かったけど、今のお前はなんかいいな。バカ正直な、普通のやつだよ」と言います。自分を見失っているヒストリアの存在を全肯定する、エレンの台詞はすごくいいなと思いました。こういうところに、エレンが前に進んでいく力を感じさせるなと思います。

そのあと、エレンとヒストリアに変装したジャンとアルミンを囮にリーブス商会に忍び込未、彼らを制圧したリヴァイは、会長のディモ・リーブスに調査兵団の味方をし王政に逆らうことを求めます。交渉は成立し、リーブスは中央憲兵を罠にはめてハンジたちにとらえさせます。そして調査兵団団長のエルヴィンは駐屯兵団総司令のピクシスに、自分たちで壁内人類の全権力を掌握することを提案するのです。

ここで一気に血なまぐさい人類内の抗争に突入しそうな雰囲気になってきて、今までの対巨人戦とはかなり印象が変わりそうな感じがしました。ついに王の姿も描写され、この世界の全貌が明らかになりつつある興奮を感じます。

今回の見所はまず、ヒストリア(クリスタ)に、「今のお前はなんか、いいな」と認めるエレンのイケメンと言うか、にやっとした顔だと思います。みんな「クリスタの自己犠牲」の天使ぶりにメロメロにやられていた104期の中で、エレンだけはその本質を見ていたというのがさすが、いいなと思います。それから、商会を襲撃するときのミカサの打撃の並外れた強烈さ。「あの姉ちゃん一人にやられた」とリーブスが苦笑いするところも可笑しいです。

商会の主、リーブスの焼きのはいった悪党ぶりもまた魅力的なのですが、このリーブスと交渉するリヴァイのやはり元悪党らしい条件の出しかたとか大人の交渉術も魅力的で、リーブスに「あんた、商人より欲が深いようだ。気に入ったよ」と言わせるところもまたいいのです。この会長は以前、トロスト区攻防戦のときに住民の避難より自分たちの荷車を通すのを優先させようとして、ミカサに「死人がどうやって喋るの?」と脅された人物です。全くの端役の悪党かと思っていましたが、今回いきなり重要なポジションに浮上してきました。なかなか魅力的なキャラクターだし、今後の活躍が楽しみなのですが、まあ、この物語のことだから先がどうなるかは分からないのですけれども。

それにしても、今月もまた充実の展開でした!来月が待ち遠しいです1