Comic ZERO-SUM (コミック ゼロサム) 2014年 03月号 [雑誌]/一迅社

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『コミックZeroSum』3月号で、『Landreaall』130話を読みました。以下ネタバレオープンですのでご注意ください。

昨日のエントリに書いたように、このお話は複数の筋が次々に展開していて、少し間が空くと数ヶ月、時には数年後に伏線が解決する、ということもよくあります。今回はまず、主人公DXの父、リゲインたちとDXたち自身が留守をしているアトルニアの王都・フォーメリーの議会での話。議長のオズモ(リゲイン・DXと親しい)も関知しないうちに、女性の王位継承権を認める議論が提起されます。その向こうにある思惑を図りきれず、オズモは思案します。

対象として考えられるのはまず第一に前王の孫にあたるアブセント・プリンセスの娘ユージェニーなのですが、彼女自身も複雑な思惑の中にいます。オズモ議長は次期国王として即位する予定の大老・ファラオン卿が、王妃となる予定のメイアンディア嬢の即位も考えているのかと想像を巡らせます。アトルニアの王位は王位継承権者が玉階と呼ばれる王位推薦者の会議『円卓』を経て選ばれる形と、真祖といわれる家系の血統を引くものが即位するという形があり、メイアンディアは真祖の家系・クラウスター家の娘なのでした。

行方不明の両親・リゲインたちの探索のために砂漠の国・クレッサールにきたDXと大老にそれを助けるよう命ぜられたメイアンディアたちは、「曲鳴」と呼ばれる部族の形跡を求めてメルシュカのオアシスにやって来ます。そこは光苔が星の海のように光るきれいな場所だったのです。イオンが変装したアイーシャがその中に青い星のように光る苔があることを見つけ、それをたどっていくとそこに曲鳴部族の者が現れますが、彼はひどく怯えていました。彼は、銀色の髪をした悪魔のように恐ろしい男に部族が襲われたのだと言うのです。DXの脳裏に浮かんだのは、ユージェニの後ろ盾になっているクエンティンの姿でした。

このマンガは様々なファンタジックな場面が展開し、ゲームの場面を順番にクリアしていくような感じがするのですが、今回は美しい星の海のようなオアシスの描写がそのひとつの眼目と言っていいかもしれません。困難な状況の中でそれを美しいと感じられるDXを、従者である六甲は強いと感じます。この場面が今回の一番のみどころかなと思います。

話が進めば進むほどクエンティンの存在感が大きくなってくるのですが、その背後に横たわる前王と戦争の真実もまた、語られない沈黙の物語の広がりを感じさせます。

Landreaall 23巻 限定版 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)/一迅社

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それから、『Landreaall』23巻限定版も届きました!通常版とは表紙が違い、tail piece が違い、裏表紙の説明が違い、ドラマCDと特典小冊子がついています。ドラマCDはアカデミーの初等部の生徒に『円卓』を説明するために「えんたくん」というゆるキャラが出てくるという斜め上(笑)の設定です。本編では悪魔的になってきているクエンティンが説明役になっているのがなんだか可笑しいです。ドラマCDでもその設定が使われてドラマ化されているのですが、『円卓』の真実?が語られていてちょっとなるほどっと思いました。

クレッサールに絡む話は夢のような魔術っぽい話が多いので、これからの展開も楽しみです。