週刊漫画Timesで、高津太郎原作・田名俊信作画『東京カウンセラー』が連載されてます。舞台は東京深川。私は同じ江東区なので、連載が始まったとき、地元の風景にとても親しさを覚えました。

田名俊信さんは昨年なくなった西ゆうじさん原作で『蔵の宿』という作品を同じ週刊漫画Timesに連載されていました。

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この『東京カウンセラー』で扱われているのは人が抱えているハードな問題。必ずしもハッピーエンドではないけれど、クライアントひとりひとりが人生を生き直すのに必要な手助けをするカウンセラーや医者、民生委員の活動を、テレビドラマのような感触で描いています。

13話は3話完結で、昨日発売号にその3回目が掲載されました。今回のクライアントは民生委員に紹介された若い男ですが、過去に女性に対する集団暴行事件を起こし、少年院でその罪を償ったものの今でもその罪の意識の中で生きているという設定です。そういうものを引きずることで統合失調症につながることがあるということ、統合失調症という病気が気質的なものだけでなく、そうした精神的負担にも関わっているということは初めて認識しました。

昨年、ハウス加賀谷さんの『統合失調症がやってきた』という本を読んだのですが、その凄絶な闘病生活に圧倒されるものがありました。そのことを友人たちの集まるネットに書くと、ドクターの人から「人によって進行も状態もまちまちなので有名人がそういう先入観を与えるような本を書くのはどうかと思う」という反応があり、ちょっと困ってしまったのですが、やはりそういうことを全然知らない身としては、こういう手記や漫画によって少しでも(不十分・不完全な理解かもしれませんが)知るのはそう悪いことではないと私などは思います。

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先週の展開では彼はカウンセラーのアドバイスで、自分の過去を恋人に打ち明けるのですが、そのときの彼女の反応がどうも?と感じさせるものでした。しかしそれがこんなどんでん返しにつながるとは、想像もしませんでした。

犯罪が残す深い傷というものを描ききるということは不可能に近いと思います。それは作中でもカウンセラー(主人公)の美和が「私たちには彼らの本当の心情を理解するのは無理なんです」というのと同じことだと思います。

その中で、この作品には加害者と被害者の心の傷の深さと葛藤がよく描かれているように思いました。彼女の正体が明らかになるところでもう本人たちは出てこなくなるのですが、それが判明した後の二人がどのように生きていったのか、その辺りもまた続きが読んでみたいと思いました。