これからコンバット 1 (芳文社コミックス)/芳文社
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週刊漫画Timesに連載の森尾正博さんの作品『これからコンバット』1巻を読みました。これはサバイバルゲームをテーマにした作品なのですが、オチのある1~3話くらいで完結のショートストーリーの連続で、絵も特徴的で、読んでいて楽しいです。


主人公の小西ゆいはすごく天然の女の子で、他の登場人物もみんなキャラクターが立っています。それぞれの登場人物がサバイバルゲームに関わる過程の中で自分を解放していく感じが、このマンガに開放感を与えているのだと思います。


私が特に好きなのは、ゆいがマシンガンを連射するときの恍惚とした表情です。(笑)もちろんゲームだと割り切って読んでいるからですが、ある意味ソフトな戦争マンガとして読むとまた違う解釈になってしまうかもしれないですね。


でもそんなことを考えてみると、逆に、戦争映画とかにおけるそういう乱射の描写も、人を殺すということよりも銃器というマシンを操作するときの強力な快感の方に引っ張られている結果そうなった、ということも大きいのではないかなと思いました。


それは自動車でスピードを出したり、大きなクレーンが大きなものを運んだりするのを見ていて感じる快感と同じものだなと思います。もちろん、そういう場所以外でマシンガンを連射したりすることはできないわけですから、大きな力を操る快感を思い切り感じられる場所なんだろうと思います。


自動車や重機なのでもそうなのですが、人間にはやはりそういう欲望があるのだろうと思います。それをより無害なかたちで放出するのがサバイバルゲームだとしたら、そこには人間と機械のかかわりについて考えさせられるところがあるように思います。そういうものは人間の能力を無限に拡大するものでもあり、そのことによって人間性を改変する力も持っているなあと思います。


なんてことも考えてしまうわけですが、でもお話は軽いタッチで、若手の軽いエリートサラリーマン、中年の銃器マニア、頼りになる「大佐」と呼ばれるコックさん、という凸凹チーム「これからコンバット」でリーダーとして「戦う」ゆい。天然ならではの魅力を発揮しつつ、さまざまなゲームが紹介されていく展開は、こんな世界があるんだなあと単純に感心させられています。


サバイバルゲームについて今まで読んでいたのは、花輪和一さんの『刑務所の前』という作品に出て来るディープな世界だけで、自分の中では花輪さんの絵の印象になっていたのですが(笑)、最近は若い女性もゲームに参加するようになってきて、だいぶ雰囲気は変わったようです。サバゲー専門店もお客さんは、2割が女性だということですので!


刑務所の前 (第1集) (Big comics special)/小学館
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