『コミック乱』(リイド社)でとみ新蔵さんの新連載が始まっています。『剣術抄』。題名も凄いし絵もごつごつした作風なのですが、江戸時代なのに白鳥のチュチュを着た蘭という女の人と剣士の辻月探が踊る場面があったり、冷凍睡眠機(?)がタイムマシンになっていて三国時代の中国の曹操の陣営に現れたり、何とも不思議な展開をするお話です。その中で日本刀の鑑識の要点が説明されたり、分銅の威力が説かれたりして、剣術マンガをずっと描いて来られたとみさんが総決算として、ある意味軽い設定の話として書かれている感じがします。


魔界転生 (界之巻) (SPコミックス―SP pocket)/リイド社

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私が好きなのは『柳生兵庫助』『柳生連也武芸帖』などですが、伝奇的作風の山田風太郎さん原作の『魔界転生』なども描かれていて、こちらではずいぶん奇想天外な展開も多く、そう言う作品も描いておられるだけにこの『剣術抄』も楽しんで描いておられるように感じます。


時代劇、武芸もの、タイムスリップもの、さまざまな要素を詰め込みながら自由自在に描いておられるとみ先生の最終作(68歳の先生はこれを最後の作品になさるそうです)。とっつきにくいですが、何とも言えない味があります。