
帰ってきて「キングダム」863話「飛び続ける矢」だけまず読んだ。中華十弓一位の青華雲に挑戦する蒼仁のくだり。父から聞いた十弓の教えは「極みに立つものは相手の魂の持ちようをとらえてくる」というもので、歴史をつなぐ「見えない的に向かって放つ落ちない矢」という話が語られ、その蒼仁の境地が羌瘣・羌礼によって「神韻」として感じ取られ、「龐煖のようなものが隣の戦場に立っている」と羌瘣によって語られる。
龐煖はこの作品では道を極めた武神なのだが、「人には結局神に通じる道などない」という真理に突き当たり、この物語の主人公・李信に討ち取られる趙の武将なのだが、そういう意味では青華雲に挑戦する蒼仁の戦いもそのバリエーションだと言える。
また、飛び続ける矢の歴史の連なりが人の歴史だ、という言葉からは、「人の思いの火を受け継いでいくのが歴史だ」という、韓の宮廷で李信が語った話や、「光を受け継いでいくのが歴史だ」という秦王嬴政の即位の際の相国・呂不韋との会話も思い出させる。
そういう意味では蒼仁はこの話の中でかなり重要な存在になってきたということで、19日に発売された「キングダム」78巻のおまけ漫画でも李信の軍師の少女・河了貂とのエピソードが出てきていて、李信が結ばれる相手は羌瘣だという流れが見えてきた今、河了貂と蒼仁の関係もまた注目点かなという感じになってきている。というか、この弓矢兄弟がこんなに話のテーマに重なってくる存在になるとは全く予想していなかったので少し驚いている。というか作者さんも驚いているのではないだろうか。
最後には蒼仁の放った矢の神韻が青華雲に聞き取られ、そして、という展開になるわけだが、今回は実際読み応えがあった。
キングダムは連載20周年ということで今号では表紙になっているが、次号は巻頭カラー付きとのことなのでまた楽しみにしたい。78巻の内容も、秦と趙との最終決戦の始まりということで、いろいろなフラグが建てられていて、先に書いたおまけページの河了貂と蒼仁だけでなく、昂と羌礼、李信と羌瘣、李牧とカイネとバタバタとカップリングが成立しているのも、一体どのような方向にいくのかドキドキではある。そういえば録嗚未に隆国と干央が自分の娘たちはどうだと勧める場面もあった。
「キングダム」について書くときは人名変換が大変なのだが、やはり時々書かねばという気持ちになる時がある。今回のテーマは「神韻」とでも言えばいいか。神と人との関係について、エンタメ的に描くとこうなるのかなと思いながら楽しませていただいている。


