DIR 新興国リサーチチーム=中国 | C株で稼ぐ

DIR 新興国リサーチチーム=中国

今となっては、少し前のレポ・・・・その後、市場は激変??

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<メモ>

大和総研 DIR

~海外情報~

2011 8 3 日 全 36 頁 :より一部、抜粋+編集

新興国マンスリー (2011 8 月)

新興国リサーチチーム 中国

DIR 経済調査部 後藤 あす美

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安定成長が続く 

11 4-6 月期の実質GDP 成長率は、前年同期比+9.5%と1-3 月期の同+9.7%よりも若干鈍化した。この1 年の成長率は9.5%~9.8%という狭いレンジで推移しており、安定成長が続いているとの判断が可能であろう。

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6月のCPI6.4%上昇

注目された 6 月のCPI は前年同月比+6.4%と3 年ぶりの高水準になり、年間抑制目標である前年比+4%前後を大幅に超えた状態が続いている。中国人民銀行は、7 7 日より1 年物貸出基準金利と1 年物定期預金金利を0.25%引き上げ、それぞれ6.56%と3.50%としたが、市場ではもう一段の利上げの必要性も指摘されている。ただ、政府は、M2 に代表される量的抑制の効果や、食糧の十分な供給が確保されていることを理由に、物価はコントロール可能な範囲で、11 年後半には、伸び率が鈍化していくとしている。

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豚肉価格の高騰に対する措置発表

この見通しを後押しする材料として、物価上昇の主要因のひとつである豚肉価格(6 月:前年同月比+57.1%)の抑制に向けた対策が国務院から発表された。具体的には、①中央政府が今年、25 億元の大型養豚事業に対する投資を行う、②養豚奨励重点県を421 県から500 県に拡大する、③母豚一頭につき100 元の補助金を給付する、④国で統一された無料ワクチン接種制度を導入し、公共防疫システムを完備した養豚場へ補助金を給付する、⑤豚肉商品の生産・流通・消費分野の統計・監視・分析を強化する、⑥低所得者・貧困家庭学生の生活に配慮する、などである。07 7 30 日に発表された「豚の飼育の発展促進と市場供給の安定に関する意見」(国務院)と同様の政策であり、当時は、発表を機に豚肉価格の上昇がピークアウトした経緯がある。今年7 月から9 月のかけてのCPI の動向は大きく注目されることになろう。政府のシナリオに沿う兆候が見られれば、貸出金利の引き上げは年内様子見となる可能性が高いだろう。

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不動産価格のコントロール強化と保障性住宅の建設加速

金融引き締めの大きな目的でもあった不動産価格のコントロールに対して、政府が再び本格的に取り組む構えでいる。6 月の主要70 都市不動産価格は、北京、上海、広州、深圳等、大都市の高騰は沈静化しつつあるものの、中小都市の過熱感は払拭できていない。国務院からは、不動産購入規制の導入地域の拡大方針が発表され、その対象は100 都市を超すと推測されている。その一方で、政府が重点政策と位置付ける1000 万戸の保障性住宅建設プロジェクトは、進捗度の低さを挽回させる動きが見られる。国家発展改革委員会は、保障性住宅の建設加速を目的に、企業債の発行を認め、その認可スピードを速めるとした。着工率(着工済み件数/建設目標件数)は5 月末の34%から6 月末には50%超へと上昇している。

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新規融資の動向に変化か

6 月の人民元建て新規融資額は6339 億元と、5 月の5516 億元を上回った。もとより、自己資金調達に限度が見られる中小企業や脆弱な産業へ融資を緩和すべきとの指摘も多いが、7 4 日には国家発展・改革委員会、財政省、中国工業・情報化省、国家統計局が合同で企業区分の改訂を行い、零細企業の区分を初めて追加し、的確な支援を迅速に行えるよう準備も進めている。

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成長は再加速へ

今後は 12 年秋の党大会を控え、「政績表」向上を目指した景気拡張的な政策が採られる可能性が高まろう。大和総研は11 年の予想成長率を前年比+9.9%から同+9.7%に若干下方修正してはいるが、年後半、特に物価上昇圧力の低下が鮮明化する1012 月以降は投資を中心に経済成長が再加速するとの見方に変更はない。