新たな金融危機の波 中国は再び世界を救う? | C株で稼ぐ

新たな金融危機の波 中国は再び世界を救う?

<はじめに・・・日経より>

人民元、1ドル6.3元台 切り上げ以降の最高値

2011/8/11 11:14 日経:より一部、抜粋+編集

中国人民銀行(中央銀行)が11日午前に公表した人民元の為替取引の基準となる中間値(基準値)は、1ドル=6.3991元と、2005年7月の元切り上げ以降の最高値を更新。1ドル=6.3元台に初めて突入した。前日の基準値は1ドル=6.4167元。金融当局が輸入物価の抑制を狙って元高誘導を進めているとの見方が出ている。

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その後の取引では1ドル=6.39元台で推移している。7月の経済統計では、9日発表の消費者物価指数(CPI)の上昇率が前年同月比6.5%と政策目標(4%)を大きく上回った一方、10日発表の貿易黒字は315億ドル(約2兆4千億円)に拡大。元高を吸収できる余力が生まれていた。

市場では「さらなる金融引き締めが難しくなっている中、

インフレ対策として一層の元高を容認した可能性がある

(上海に拠点を置く外資系銀行)との声があった。

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<次が、主題・・・・>

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人民元を上昇させる・・・・

大幅な切り上げはやむを得ない選択・・・

今と昔とでは中国の事情も異なるのだ・・・・?

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「人民網日本語版」2011811

新たな金融危機の波 中国は再び世界を救う?

中国経済は再び2008年のような苦しい局面を迎えるとみられる。手をさしのべて世界経済を救うか、引き続きインフレを抑制するか、難しい選択を行わなければならない。「中国工商時報」が伝えた。

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世界経済は楽観を許さず、米国の与野党は(債務問題で)最終的には合意に達したものの、この世界最強の覇権国は世界の人々のことなど念頭になく、もはや責任を負わないリーダーに過ぎないことを世界は目の当たりにした。その上、米国はいつも人に尻ぬぐいをさせている。イラクを攻撃すれば、軍事費用を「弟たち」に出させ、政府系住宅金融機関(GSE)の連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)が経営破綻すれば、世界中に金を出すように迫り、とりわけ財布のひもをしっかりしめる中国国民に金を出すように迫る。米国の債務の山はまだ償還できないレベルには達していないが、格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)はさらなる格下げを検討中だ。オバマ大統領の言うように、S&Pは米国の償還能力に疑問を呈しているのではなく、「米国の政治システムの行動力」に疑問を投げかけているのだ。それだけでなく、このたびの格付け引き下げにより、世界は米国という債務の奴隷の真実の姿をまざまざと見せつけられた。米国人の心の中では、政党の利益や米国の利益が全世界の人々の利益よりもはるかに大事であり、実は信用など気にかけていない。米国はまことに頼りにならない存在なのだ。

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実際のところ、米国が何をしても、世界経済に対して、とりわけ中国に対して補填不可能な損害を与えることは決まっている。米国が絶えず武力を行使して戦争を仕掛けるとすれば(軍事費は債務の山ができた主な原因だ)、債務発行に頼った寄生虫のような暮らしを続けるとすれば、いつか地面に倒れ込み、そうなればすべての債権国は不渡りの小切手さえ手にすることはできなくなる。おかしなことに、米国債は現在数少ない順調な投資商品であり、中国の膨大な外貨準備が多元化に向かえば、米ドルの魔の手を逃れられず、損失は免れないということだ。中国が米国債を大量に売却すれば、その結果も災害級になる。中国は米国が責任ある政策・措置を取って国際金融市場における信頼感を高め、投資家の利益を尊重し、これを保護し、最後の最後まで努力することを願う。

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米国が債務を減らすか、米ドルが下落するか、どちらか一つだ。

債務を削減するなら財政支出を減らさなければならず、軍事費や社会福祉の支出を減らし、その日暮らしにも似た消費支出を減らすとともに、税収を増やす必要があるが、これは米国にとっては難しいことだ。軍事費が削減されれば軍関係者の利益が減少し、米国の軍事力が縮小し、米国は自国の利益に対するさまざまな挑戦に対処する力を失うことになる。つまり米国の世界一の地位が失われるということだ。社会福祉の支出を減らし、消費支出を減らすには、米国国民のチーズを移動させなければならないが、これは米国民には難しいことだ。こうした難題に直面して、米国の政治システムの行動力には確かに限界があるといえる。

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あるいはいっそのこと米ドルを引き下げ、災いのドルを外部に押しつけてはどうか。これはまったく可能性がないことではなく、米国の債務上限を引き上げれば、米国や米国に対する信頼感が低下して米ドルは下落する。債権国が米国債を売却したり、米国債の困窮が延々と続いて解決に向かわなかったとすれば、米ドルが弱くなるのは当然で、引き下げ観測が強まることになる。米国経済が低迷を続け、復興の兆しがなかなか見えないことを踏まえれば、財政政策や通貨政策を引き締める可能性は大きくなく、新たな量的緩和政策が早晩うち出されることが予想される。

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1997年のアジア金融危機発生時には、アジアは中国にすがって事態をやり過ごした。2008年(の金融危機時)も中国が手をさしのべて世界を救済した。欧州が債務危機に陥った時も、中国は資金を提供し力を貸した。今、新たに訪れようとしている危機は勢いが激しく、範囲はより広く、被害は一層甚大で、中国に対する世界の期待も頂点に達している。今の中国の力はこれまでで最強であり、一部の中国人は救世主の心境で世界を見下ろしているが、中国が再び手を貸すかどうかの判断は、これまでのいかなる時にも増して難しいといえる。

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人民元を上昇させるか、

調整コントロールを放棄して再び経済活性化政策を取るか。

中国に与えられた選択肢は多くなく、しかも選択が難しい。

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米国政府の強大な圧力の下でも、人民元は決して屈服することはなく、今回もこれまでの努力が無駄になることはないとみられる。だが大幅な切り上げはやむを得ない選択であり、今なお輸出によって牽引される中国経済にとってこの選択はよいものではない。現在の上昇傾向を基本的に維持し、2008年の時のように、国内需要を大幅に刺激したとすれば、その代償は小さくない。

4兆元規模の経済刺激策を経た今、国内の消費財市場にはそれほど大きな空間は残っておらず、自動車や不動産といった大型消費財の需要も調整政策による制限を受けている。2008年当時、マクロ調整が効果を現し始めたところで、世界経済を救うために、中国は大きな転換を遂げざるを得なかった。このために支払った代償は巨大で、今なお後遺症に苦しむ。もう一度大きな転換を行ったとすれば、中国は同じ轍を踏むことになり、インフレが土石流のように壊滅的な災難をもたらすことが予想される。インフレにとどまらず、大量の不良債権や受け入れ不可能な地方政府の債務も中国を押しつぶす可能性がある。われわれは慎重の上にも慎重でなければならない。

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世界は暑さや寒さを共有する。それなのに中国の困難は米国を上回る。航空機の乗務員がいつも手本を示すように、空の事故に遭った時には、まず自分が酸素マスクを装着し、人を助けるのはその後だ。そうしなければ英雄にはなれず、命をなげうった烈士になってしまう。中国に世界を救う英雄になるなどという過大な要求をしてはいけない。

今と昔とでは中国の事情も異なるのだ。