低栄養は、一般に、栄養不足の状態の中でもエネルギーとたんぱく質の不足を指します。
しかし、私たちの身体は、エネルギーとたんぱく質が足りているだけでは不十分で、必ず摂らなければならない栄養素があります。
その1つがビタミン。
ビタミンは、ほんの少しの量でも体内で大きな役割を果たすにも関わらず、体内で合成できない物質の総称です。
有名どころのビタミンA、B、C、E
発見当初は体内で合成できないと考えられていてビタミンに分類されたけれど、後々、「合成できるじゃん!」と分かって、ビタミンの名を剥奪された栄養素もあります。
最近では、必ずしも体内で合成できないことがビタミンと呼ばれるのに必要というわけではなさそうです。
細かいことは抜きにしても、ビタミンやビタミンっぽい物質は、私たちの体に必須で、作れるとしても、自前ではぜんぜん足りないのが普通です。
ですから、やはり、外から取り込まないといけません。
ビタミンというと、ビタミンA、B、C、Eが有名でしょうか。
何となく、ビタミンAは緑黄色野菜に多いとか、ビタミンBは疲れに効く栄養補給剤に入っているとか、ビタミンCは美肌や美容などの効果があると聞くとか、ビタミンEは体の錆びに効くとかは、知ってるかもしれません。
こういったビタミンは、テレビ番組、CM、雑誌、新聞などでも取り上げられます。
軽視されてきたビタミンD
しかし、ビタミンDってどうでしょう?
何者なのでしょう?
何をしてくれるのでしょう?
有名でなくても当たり前で、陽の目を浴びてきてなかったのですね。
広く一般にではなくて、研究者の間でさえも。
ところが、最近、ビタミンDの研究が進み、重要性が広まっています。
アメリカでも、ビタミンDの摂取の推奨が叫ばれています。
ビタミンDの最重要の役割は強い骨の維持
ビタミンDには、色々な機能があるのですが、最も大事なものの1つは、強い骨を維持することです。
若い人にもそうですが、特に高齢者には必須です。
高齢の方は、転倒などして骨を損傷すると、治りが遅く、動けずに寝ている間に筋肉が落ちて、最悪の場合、そのまま寝たきりになってしまいます。
お年を召した方は、骨を丈夫に保つことはとても重要です。v髪が薄くなったり、白髪だらけになったりするのもいやなものの、はげても寝たきりにはなりませんが、骨を強く保つことは健康寿命を延ばすために大変重要です。
ところが、ビタミンDの量が足りている人は本当に少ないのです。
高齢者施設の入居者について行われた、ある調査では、8割以上の人が不足していたとのことです。
これは、とんでもなく高い割合ですね。
ビタミンDは、他にも、血管の緊張を緩める効果などが認められています。
これまで脚光を浴びてこなかったビタミンDですが、高齢の方では、驚異的な割合の人が足りていないことを知っておいてもらえればと思います。