元日後楽園ホール大会 by megane1964
ゼロワンが元旦に興行を行うようになって、どのくらい経つのだろうか。少なくとも昨年、一昨年の大会は印象に残っている。どちらもメーンで関本大介が躍動したからである。まあ、どちらもワタクシはテレビで見ただけなのであるが。一昨年は日高郁人、昨年は佐藤耕平、どちらも年間ベストバウト級の好試合で、ゼロワンの底力を思い知らされた気になったものである。なので、というわけで、結構期待して元日のホールへと向かったのである。
で、さっそく驚いたのが、橋本大地の休場。聞けば、耕平の蹴りで骨折したのだという。うーん。さすが、耕平……。大地の方は、本日試合をするはずだった曙とバチバチにらみ合ったりしていたけど……まあ、この模様はあとでね。公式サイト(http://www.z-1.co.jp/ )はこちら。
今年も関本はメーンイベントに登場したのだが、今回はタッグマッチであった。ニュージーランド出身、21歳のジェームズ・ライディーンと組んでの試合である。しかも、入場曲はジェームズのもの。どれだけ、ゼロワン、この外国人を推しているんだか。
確かにデカいよね。←こう見ると。試合を見る限り、さすがゼロワン道場で鍛えているだけに、基礎もしっかりしているしね。ただ、ここ何年か恒例だった「関本のシングル」を押しのけて、試合を組ませるほどの選手なのか。
いち関本ファンとして、ワタクシはそんな興味を持っていたのであった。
ここでちょっと時計を戻すけど、本日のしつらえは北側に小さいスクリーンを吊ったフル仕様。最近、平常興行では南側を閉めることが多かったゼロワンだけど、やはりそこは正月ってことか。ただ、入りはいまいち。六~七割ってところか。ちょっとさびしいなあ。
駆け足でメーン以外の試合を振り返っておこう。第一試合は、「絵本プロレス旗揚げ戦」。ゴキブリマスクvsドラゴン・ジョージという対戦である。「パパのしごとはわるものです」という絵本があるそうで、ゴキブリマスクは登場人物なのだとか。で、この絵本にいたく感銘を受けたゼロワン・スタッフが企画したのが「絵本プロレス」なのだそうである。
ふーん。
正義の味方、ドラゴン・ジョージは若鷹ジェット信介っぽいな。
まあ、そういう「設定」には悪いけどあまり興味がないんである、ワタクシは。面白かったのは、ドラゴン・ジョージが「十万光年にひとりの逸材ってことかな。決め台詞は「あいしてます」。うーん。
大体ね。ゼロワンって団体は、あんまりこういう「企画もの」が得意じゃないよね。良くも悪くも、質実剛健で不器用な団体なんですよ。それは→第四試合のこの6人タッグでも明らかで、ジュニアの選手6人を配したこの試合は、いわゆる「楽しいプロレス」を目指したんだろうけど、どうも今一つ動きも技ももっさりしちゃったりしているのである。
藤田みねぴょんが一生懸命、めんそーれ親父に「股間ウオッシュ」を決めてるんだけどねえ。やっぱり半日前の男色ディーノの20分にわたる岡林裕二へのリップロックを見てしまうとねえ。インパクトもナンセンスさも何もかも、エンターテインメントの分野に関しては、やっぱりDDTとかの方がうまいよねえ。
まあ、その分第2試合の横山vs間下戦←とか第3試合の里村vs夕陽戦のような、“道場マッチ”的な試合は、面白いんだけどね。特に第2試合でゼロワン生え抜きの横山に対峙した間下は初代タイガーのリアルジャパンの若手。なんか昔の新日本の若手同士の対決を見るような思いだった。「昭和の闘魂プロレス」の命脈は、こういうところに脈々とうけつがれているわけだ。里村のスリーパー絞め落とし、なんてのは、まさに闘魂。
第6試合の8人タッグも、“道場マッチ”路線の延長線上にあるような試合。666の怨霊が入っているのがちょっと異色だけど、実は怨霊選手、大日本のBJW路線でもそれなりに対応できる力と技の持ち主だから、まあ、ゼロワンに出てきてもさほど問題はない。…違和感はありますよ。全身に振りかけられた(?)エクトプラズム(ベビーパウダー?)の量が当社比2・5倍くらいあったからねえ。
一発ぶつかっただけで、こんなに→もうもうしちゃうんだからねえ。怨霊センセイ、そういう意味では張り切っておりました。
試合の方は、小幡に耕平、崔、アニキ、怨霊の4人が同時にドロップキックを食らわしたり、怨霊をコーナーにくぎ付けして、外国人2人と小幡、使徒が次々ぶちかましを食らわせてみたり。ゼロワンらしい重い技を応酬。ロンゲの外国人、ウィル・ギブソンが怨霊をマットにたたきつけてフォールを狙ったのだが、逆にうまく丸め込まれて3カウント。次の試合が、冒頭でちょっと書いた曙vs大地だったはずのもので、大地のかわりに、ジェイソン・ニューとジョ・キョンホがふたりがかりで挑戦したのだが、あえなく圧殺。
大地とボノちゃんが無言でにらみ合った後、やってきたのが例のオオニタ一派で、来月、大阪で予定している電流爆破マッチの「あおり」ってやつですな。矢口がレストランに曙の家族を招待し、「お前の旦那はチキンだ」と嘲弄。「チキンじゃねえ」と曙が切れる、というムーブなんだけどね、……なんだかなあ。どうも感性が古いんだよねえ……。
そんなVTR流すより、矢口とかがリングに上がって、有刺鉄線バットで曙の頭をかち割ってみる、みたいなことをする方が、わかりやすいし会場もわく、と思うんだけどなあ。この辺の仕掛けの不器用さもゼロワンっぽいけどねえ。
休憩後はジュニアの選手権戦で、日高と菅原の対決だったのだが、まあ、華麗な日高の動きを試合巧者の菅原が右ひざへの攻撃で止めにかかり、最後は必殺の十三不塔でしとめる、という内容。なんかこのふたりの対戦は、何度も見てるからねえ。ちょっとこのところ、おなかいっぱい感があるな。
ライディーンの実力、いかほどか。
注目していたのだけど、やっぱりというか案の定というか目立ってしまったのは関本大介で、大谷社長を逆水平でぶっとばし、場外へ叩き出してさらに逆水平を見舞う←。田中将斗と向き合って、さらに逆水平とヒジの打ち合いを披露する、などまあ、ストロングBJスタイル全開であった。関本は、まだ、こーんなに細かったころからゼロワンのリングに上がっていて、質実剛健ゼロワン流ファイトには慣れている。将斗と手が合うことは、昨年の「火祭り」のフルタイムドローを見てよーくわかった。
大谷社長をジャーマンでぶっこ抜いたりもしてた。3日連続、後楽園で試合を見ているけど、パワーファイトの見事さは、相変わらずですな。
でもねえ、関本が目立てば目立つほど、ライディーンの影が薄くなってしまうのよ。おまけに、大谷社長の顔面ウオッシュもさく裂しちゃうしねえ。最終的には、大谷社長がドラゴンスープレックスを連発して、ライディーンに3カウントを聞かせちゃうしねえ。
ワタクシの頭の中は、「???」だったわけですよ。何のために、ライディーンを新春メーンに抜擢したわけ?、関本vsゼロワン勢のシングル路線をやめてこしらえたこの試合で、ライディーンに何をやらせたかったわけ? 大体、目立たせようと思った選手に顔面ウォッシュを食らわせた挙句、フォール負け、なんてコースを用意するのか?
もちろん、将斗も社長も関本も立派なプロだから、ちゃんと試合としては面白く成立しているし、見せ場も数多くあったんだけど、ライディーン的にはあんまりおいしい試合ではなかったよなあ。これだったら、関本シングル路線を続けてほしかったなあ。
こういうところが、何度も書いているゼロワンの不器用なところだと思うわけですよ。意思とプランはあるんだろうけど、どうも行動や結果が伴わないんだよねえ--。
まあ、選手育成については、定評のあるゼロワン。ここで修行を積んでビッグになった外国人も数多く、最近では、WXWのビッグバン・ウォルターなんて名前も浮かぶ。ちょっと見ただけでわかるほど、ワタクシは通ではないけど、ライディーンも筋はよさそうな選手。いつか「勇者」と言われるようになればいいよね。
関本の相手、今年は崔だと思ったんだけどなあ。いい試合になったと思うんだけどなあ。ちょっと、その辺は肩透かしをくらった気になったのでありました。