平成23年5月29日 BEST OF THE SUPER Jr. ⅩⅧ by.ザ・スーター | 熱闘!後楽園

平成23年5月29日 BEST OF THE SUPER Jr. ⅩⅧ by.ザ・スーター

いつ以来だろうか、後楽園ホールで新日本プロレスを観戦するのは。
少なくとも15年以上は間隔が空いてるような気がするぞ。
確かあの頃は、武藤がセクシー・ターザンと呼ばれていたし、
馳は気持ち良さ気に、腰をフリフリしていたな~。
まぁ、いずれにせよ、相当久々であることは間違いない。
何しろ今となっては、武藤はライバル団体である全日本プロレスの社長であり、
馳に至っては国会議員の先生なのだから、時間の流れの速さを感じずにはいられない。
あの、トップロープの最上段で、腰をフリフリしていた馳がである…

もちろん私だって、プロレス村の住人だ。
この間に行われた、東京ドームでの新日vsUインターの対抗戦や猪木の引退興行、
それに両国国技館で行われたG1クライマックスなどには、度々足を運んでいた。
しかし“プロレスの聖地”と呼ばれる後楽園ホールで新日本プロレスを観戦するのは、15年以上ぶりなのである。
そりゃ、興奮もしますって。
何しろ“プロレスの聖地”ですからね。
そんじょそこらの会場で観るプロレスとは、観客の濃度の絶対値が決定的に違うんですよ。
後楽園ホールでのプロレス観戦というのは、ファンにとっては最高の贅沢であり、
ファンと団体の真剣勝負の場でもあるわけですから。
だからこそしっかりと見届けてやろうじゃないか、現在進行形の新日本プロレスを。

ここで一つ明確にしておきたいことがある。
それは私が、ガチガチの全日本プロレス~ノアファンであるということだ。
もっと突き詰めて書くと、私は三沢光晴に心酔していた人間なので、
三沢光晴がリングの上で殉職してからは、プロレスから距離を置いていたのであった。
そんな男が新日本プロレスを…それも本編ではなく、ジュニアの祭典を観るのである。
果たして冷静なジャッジを降せるのであろうか?
若干の不安と、聖地でのプロレス観戦という大いなる興奮を抱きながら、JR水道橋駅で総武線を下車したのであった。


台風の影響で、外では尋常ではない大粒の雨が、容赦なくアスファルトを叩きつけていた。
もう、ビショビショである。
傘が無意味に思えるほどに、ビショビショに濡れていたのであった。
18時にhitomaro-ex氏と待ち合わせして、後楽園ホールへと向かうエレベーターに乗り込む。
そうそう、これだよ。
この雰囲気なんだよ!
後楽園ホールでしか味わうことの出来ない、プロレス観戦の醍醐味というのは。
エレベーターに乗って10秒後に扉が開くと、そこは戦いのワンダーランド…
日常と非日常の境目が、このエレベーターなんですな。
プロレス村の住人にとっては、至福の10秒間と言っても過言ではないでしょう。
久々に味わうこの感覚に、チケット代金\5,000-の内の半額は、この時点で返金されたような気がしましたね。

会場に入った瞬間、思わず我が目を疑ってしまった。
客入り、パンパンじゃないですか!
プロレス人気の低下が叫ばれて久しいのに、この入りとは…プロレスを愛する者として、素直に嬉しいネェ~。
hitomaro-ex氏によると、最近は徐々にではあるが、プロレスファンは増えつつあるそうだ。
特に新日本プロレスは、その傾向が顕著であるとのこと。
頑張ってるぜ、新日本プロレス!

客入りもさることながら、会場の熱気もまた凄かった。
特に中年の女性ファンからの、熱すぎる声援には恐怖すら覚えたほどだ。
彼女たちは、どういう経緯でこのプロレスの聖地に辿り着いたのであろうか?
ここに韓流スターはいないのにである。
少なくとも、15年以上前にはまったく見ることのなかった客層なのだ。
これも企業努力なんでしょうね。
やはり頑張ってるぜ、新日本プロレス!!

第0試合のゴングが鳴り、黒いショートタイツの若手が2名リングイン。
どうやら、シングルマッチのようですな。
まったく初見の選手なんで、両名共に名前が分かりません。
試合は典型的なヤングライオンのそれでして、決め技はえげつない角度のボストンクラブ。
いや、シャチホコ固めというべきか。
いいぞ、どちらも頑張った!

さて、いよいよ第1試合。
【○TAKAみちのく vs マスカラ・ドラダ●】
初っ端から“BEST OF THE SUPER Jr. ⅩⅧ”の公式戦ですか。
それにしても、相変わらずTAKAは上手いよな~。
私は敬意を込めて、“和製ニック・ボック・ウィンクル”の称号を、そっと彼に贈りたいと思う。
しかしTAKAに夢中になりすぎてしまい、対戦相手のマスカラ・ドラダの印象がまるで無いのはご愛嬌といことで、ご了承願いたい。

第2試合も公式戦。
【○TJP vs 邪道●】
邪道の入場と同時に、hitomaro-ex氏と昔話に花が咲いてしまい、気付いたら試合が終了していたというアクシデント発生!
しかしながらこの昔話がまた面白くて、『TGP時代のパニクラの、ヒンズースクワットの回数を数えていたのはベン村さ来氏である』とか、『初期FMWにいた新山は、なんであんなにショッパイのか?』など、邪道に関係ある話から、まったく関係の無い話まで、とにかくプロレス村の住人の琴線に触れる話のオンパレード!
さすがは我等がグッド・ファーザーのhitomaro-ex氏。
こういう話を聞くだけでも、今日後楽園ホールに来た意義は十分にありましたよ。
ところで…TJPって誰ですか?

第3試合も、やはり公式戦。
【○佐々木大輔 vs 外道●】
熱心なサムライTVの視聴者であるhitomaro-ex氏から、佐々木大輔についてのレクチャーを受ける…も、いつしか話は脱線してしまい、気付けば試合そっちのけで、雑談に突入してしまったのである。
氏の話す外道とディック東郷の絡みには、彼等をデビュー時から知る者としては、思わずジーンとしてしまいました…
オマエ等バカだよ!
本物のプロレスバカだよ!!
でも、試合は外道の負け。
ホントは優しいんだね、外道って。

第4試合も公式戦。
今ごろ気付いたのですが、今日は1試合を除いて、すべてが公式戦なんですね。
ホントに勉強不足ですいません。
【○金本浩二 vs タイチ●】
簡単に書くと、バチバチ蹴って金本の勝ち。
この人のプロレスは、15年前と変わりませんね。
個人的には好みじゃないので、割りと冷めた目で試合を観てました。
勝った金本よりも、負けはしましたが、キャラが迷走していて妙にオドオドしていたタイチの方が、私には何倍も気になる存在でした。

さて、続いては本日唯一のヘビー級の試合。
第5試合。
【○棚橋、永田 vs 後藤、中西●】
いや~、面白かった!
ゴツゴツしたデカイ男達が、ただ無骨にぶつかり合う…
これだよ、これがプロレスなんだよ!!
このタッグマッチにおいては、勝敗なんてまったくを持ってノー問題。
誰が勝とうが負けようが、そんなのどうだって良いんです。
中西のゴツすぎる体を観れただけで大満足。
これで¥5,000-なら安いものですよ。
『もっと取れ!』って、思わず叫びそうになりましたもの。
ただ惜しむらくは、永田の白目が観れなかったこと。
これが出てれば、言うことなしだったんだけどなぁ…
試合終了後は、現チャンピオンである棚橋のオンステージになり、会場の女子達は総じて大興奮!
私の隣に座っていた熟女は、気が触れたかと思うほどに叫んでいたのが実に印象的でした。
うん、棚橋はその路線で良し!!

第6試合からは、再び公式戦に戻ります。
【○獣神サンダー・ライガー vs KUSHIDA●】
ライガーって、凄いですよね。
私が高校生の頃から、あのスタイルなんですよ。
覆面被った上に、全身タイツですから。
その上で昔はピョンピョン飛んでいたんです。
初めてシューティング・スタープレスを観たときは、そりゃ感動しましたよ。
今じゃさすがに、飛ぶことは無いでしょうけどね。
何しろ私が高校生だったのは、20年前のことですから…
そうそう、この試合のフィニッシュは印象に残りました。
決め技が空中胴締め落し!
オールドファンには、ルー・テーズ・プレスと言った方のが通じるでしょうか?
私がこの技で3カウントを奪ったのを観たのは、25年前にジャンボ鶴田が決めた時以来でした。
うん、貴重な体験をしたなと。

第7試合。
【○タイガーマスク vs デイビー・リチャーズ●】
この試合は、印象に残ってないな~。
今のタイガーマスクって、4代目でしたっけ?
正直書くと、4代目を良いと思ったことは、ただの一度も無いんですよ。
だって彼、プロレス下手でしょ?
観てて面白くないもの。
逆に今のプロレスファンに、初代タイガーマスクを観せてあげたいですね。
間違いなく、一発で虜になりますよ。
それくらい、初代タイガーマスクは凄かったんですから。
タイガーマスクを4代目しか知らないプロレスファンは…ちょっと損してますよ。
DVDなり、Youtubeなりで、是非とも初代タイガーマスクを観ていただきたいものです。
それと対戦相手のデイビー・リチャーズですが…すいません、まったく印象に残っておりません…

さぁ続いては第8試合。
本日のセミファイナルです。
【○プリンス・デヴィット vs フジタ “Jr” ハヤト●】
良い選手ですね、プリンス・デヴィット。
テレビでは観たことあるんですが、実物は更に好印象でした。
新日本の道場上がりなんですってね。
どうりで基礎がしっかりしている訳だ。
ただ単に飛んだり跳ねたりしてるだけの選手じゃないですよ。
若干線は細いですが、若い頃のクリス・ベノワを彷彿させます。
それに比べて、フジタ “Jr” ハヤトは更に線が細いです。
いや、細すぎでしょう。
プロレスに関するすべてが稚拙すぎて、私には彼の良さがまるで理解できませんでしたもの。
正直、歴史ある新日本プロレスのセミファイナルに出場するレベルの選手じゃないですね。
試合はプリンス・デヴィットに引っ張られる形でなんとか成立してましたが、時間が経てば経つほどに、その差は歴然でした。
まぁ、順当な結果でしょう。

第9試合は本日のメインイベント。
【○田口隆祐 vs ザ・グレート・サスケ●】
あえてハッキリ書きます。
田口隆祐はショッパイです。
もうショッパすぎて、会場内のあちこちで失笑が漏れてましたもの。
あれじゃ負け(てあげた?)たサスケが浮かばれませんよ。
試合をコントロールしてたのは、間違いなくサスケでした。
さすがは歴戦のツワモノ。
田口とは潜ってきた場数が違いすぎます。
その器量の差は、メジャーリーガーと少年野球ほどに感じましたね。
サスケの試合運びは完璧でした。
そこまできっちりとサスケがお膳立てしているのに、田口がショッパすぎて、試合はまったくスィングしませんでしたね。
こうなんて言うか、途中でブチッ、ブチッと試合が途切れるんですよ。
サスケは頑張っているのに…
あれほどまでに力の差は歴然としているのに、試合は田口が勝つんですから、プロレスって難しいですね。

こうして私の15年以上ぶりの後楽園ホールでの、新日本プロレス観戦は終了しました。
プロレス観戦自体が久しぶりでしたが、やはり生の迫力は良いですね。
テレビで観るのとは、臨場感が違いすぎました。
ましてや“プロレスの聖地”での観戦ですから、その魅力は通常の2倍にも、3倍にも感じられましたよ。
やはりプロレスとは魔物です。
私の中に封印していたはずの感情が、おぼろげながらも再び姿を現し始めたのを、しっかりと確認することができた一夜となりました。