「お前さ、最近元気ないじゃん。もっと前みたいに楽しくやろうぜ!」
きっとKの耳にだって僕に関する変なうわさは聞こえているに違いない。
でも、そのことには一切触れないで、一緒にいてくれる。毎朝変わりなく迎えに来てくれるし、
放課後は待ち合わせて一緒に帰り、時には寄り道して他愛のないおしゃべりをする。
その時間だけ、生きている実感があったし、楽しいと思えた。
極端な話、それだけが…学校に行く理由だった。
夏休みを前にしたころ、Kは僕にいくつかの提案をしてきた。
それは、まず言葉づかいを直すこと。一人称の「僕」は子供っぽく見えるから直した方がいい
と言われた。それはわかるんだけど…生まれてこの方ずっと「僕」で通してきたので
にわかには変えにくい。それでも、なるべく「俺」にしようと思ったのは事実だし、
大人になった今では「僕」と「俺」を場面に分けて器用に使い分けている。
二つ目は髪形、服装など。いかにも優等生然としてるから、からかわれるんだと。
これはちょっと自覚があった。実際に、進学を機にイメージチェンジを考えていたことは
これまで記してきたとおりだ。しかし、、制服を着崩すにも、僕がやるとなんだか似合わない。
Kのように、生まれながらの野性的な男らしさがあるなら別だけど、僕がやると・・・
いかにも背伸びしている感じがして、かえって無理している感じが出てしまう。
だから、まず髪形だけ変えることにした。それまでは特にセットしたり何もせず、
寝ぐせだけ直して出てきたけど、軽めの整髪料、当時はムースだったけど、それを使って
前髪に変化を付けてみることにした。これは、自分でも気に行ったので採用。
三つ目は「海に行こうぜ!」という誘い。
まあ、高校生にありがちな夏の過ごし方なんだけど、Kの言うことには、もう少し日焼けした方が
いいという理屈だった。バレーと水泳という、基本室内競技では陸上のようには焼けない。
元々色白なので少なくとも強そうには見えないことは自覚があった。
「海って…どこに行くの??」僕はたずねる。
「テスト明けの休みは湘南でも行ってみようぜ。電車でも近いし。」Kが言う。
確かに、僕らの家からは1時間ちょっとで湘南に行かれる。
「それから、8月になったらなんか予定とかあるか?」と聞かれた。
「部活の合宿が終わったころなら特にないけど…なんで?」僕は聞き返す。
「小田原に行かないか。俺のばあちゃんち。一人で暮らしてるから、友達連れて遊びに来いって!」
僕は、文字通り目を丸くして驚いたに違いない。そして、とてもうれしい気分になった。
友達と一緒に、親同伴ではなく、宿泊を伴ってどこかに行く・・・
なんだか充実した高校生みたいで、僕には少し縁遠いような世界で、きらきらして眩しかった。
それが、「親友」の提案で実現しそうな気配に、本当にうれしくなった。
Kは周りが何と言おうとも友達でいてくれるんだ!って思えて…
それだけで…十分すぎるくらいだった。
きっとKの耳にだって僕に関する変なうわさは聞こえているに違いない。
でも、そのことには一切触れないで、一緒にいてくれる。毎朝変わりなく迎えに来てくれるし、
放課後は待ち合わせて一緒に帰り、時には寄り道して他愛のないおしゃべりをする。
その時間だけ、生きている実感があったし、楽しいと思えた。
極端な話、それだけが…学校に行く理由だった。
夏休みを前にしたころ、Kは僕にいくつかの提案をしてきた。
それは、まず言葉づかいを直すこと。一人称の「僕」は子供っぽく見えるから直した方がいい
と言われた。それはわかるんだけど…生まれてこの方ずっと「僕」で通してきたので
にわかには変えにくい。それでも、なるべく「俺」にしようと思ったのは事実だし、
大人になった今では「僕」と「俺」を場面に分けて器用に使い分けている。
二つ目は髪形、服装など。いかにも優等生然としてるから、からかわれるんだと。
これはちょっと自覚があった。実際に、進学を機にイメージチェンジを考えていたことは
これまで記してきたとおりだ。しかし、、制服を着崩すにも、僕がやるとなんだか似合わない。
Kのように、生まれながらの野性的な男らしさがあるなら別だけど、僕がやると・・・
いかにも背伸びしている感じがして、かえって無理している感じが出てしまう。
だから、まず髪形だけ変えることにした。それまでは特にセットしたり何もせず、
寝ぐせだけ直して出てきたけど、軽めの整髪料、当時はムースだったけど、それを使って
前髪に変化を付けてみることにした。これは、自分でも気に行ったので採用。
三つ目は「海に行こうぜ!」という誘い。
まあ、高校生にありがちな夏の過ごし方なんだけど、Kの言うことには、もう少し日焼けした方が
いいという理屈だった。バレーと水泳という、基本室内競技では陸上のようには焼けない。
元々色白なので少なくとも強そうには見えないことは自覚があった。
「海って…どこに行くの??」僕はたずねる。
「テスト明けの休みは湘南でも行ってみようぜ。電車でも近いし。」Kが言う。
確かに、僕らの家からは1時間ちょっとで湘南に行かれる。
「それから、8月になったらなんか予定とかあるか?」と聞かれた。
「部活の合宿が終わったころなら特にないけど…なんで?」僕は聞き返す。
「小田原に行かないか。俺のばあちゃんち。一人で暮らしてるから、友達連れて遊びに来いって!」
僕は、文字通り目を丸くして驚いたに違いない。そして、とてもうれしい気分になった。
友達と一緒に、親同伴ではなく、宿泊を伴ってどこかに行く・・・
なんだか充実した高校生みたいで、僕には少し縁遠いような世界で、きらきらして眩しかった。
それが、「親友」の提案で実現しそうな気配に、本当にうれしくなった。
Kは周りが何と言おうとも友達でいてくれるんだ!って思えて…
それだけで…十分すぎるくらいだった。