人に服を着せてもらうことは、
赤ちゃんの時代とか、冠婚葬祭で着物を着付けしてもらう時くらいでしょうか。
もし体の一部が動かせなくなって、人に服を着せてもらうとしたら、
どんな気持ちになるか想像してみたことはありますか?
服を着る動作を思い出してみると、無意識に自分で体を動かして、着心地を良くしています。
ちょっとした生地のヨレや、収まりの悪いところをそのままにしていると、とても不快ですよね。
以前、ある親子イベントでお着替え体験をしてもらった時のはなしです。
小学生の娘さんに介護者役になってもらい、お父さんに腕が曲がらない人になってもらいました。
まず、普通の前開きシャツを脱がせて着せる動作をしてもらいました。
苦労している娘さんに、優しいお父さんはつい腕を動かして、
やりやすいようにしてあげていたのが、微笑ましかったです。
次に、片側フルオープンシャツで着脱を試してもらったのですが、
とても簡単にできて娘さんはにっこり笑顔でした。
その時、お父さんが言われた言葉がとても印象に残っています。
「着せられてる感じが、まったくなかった!気がついたら着替えができていた。とても良かった!」
と、娘さん以上にとても喜んでくださいました。
その時、はっと気が付きました。
着替えさせてもらっている時は、人の力を借りて『着せてもらって』いるので、
その心の内はきっと「世話をかけて申し訳ない」という気持ちでいっぱいなのだと思います。
介護を受ける人は、
「いつも人の世話になっている」
「申し訳ない」
「自分は役に立たない」
と思っていることが多いです。
着せる人の負担を軽減することが、着せられる人の気持ちの負担も軽くできるということが、
あのお父さんの言葉ではっきりとわかりました。
あの親子には、介護の必要のない人生を送って欲しいです。
でも、人生は何があるかわかりません。
どんな時でも、
「あなたは大切な人です」
「あなたらしく生きてほしいんです」と、伝えていきたいです。
こうのふくネットショップはこちら。↓