カレンダー祭り(7月)

ある部屋にかかっているカレンダーには秘密があります。それは?
7月のカレンダーの絵は美しい星の川の上に寄り添う彦星と織姫。幻想的な風景の中で、なにやらひそひそ話し声が聞こえてきます。


「ですから、今度のカレンダー祭りなんですが…」
そう言うのはツヤツヤとした黒髪をなびかせている織姫
 

「ええ、ええ織姫の上品なおもてなしはきっと皆さん喜んで下さるでしょう。」
 

「彦星!それ!それなのですよ!」
織姫はちょっと顔を赤くして頬を膨らませています
 

「えっ!それとは?」
彦星は困った顔をしました
 

そんな彦星に織姫は、にっこり笑って言いました
「お上品な7月のカレンダー祭りのイメージを、今回はぶち破りましょうヾ(*´∀`*)ノキャッキャ」


「え~~~っ(@ ̄□ ̄@;)!!何を言っているのですか織姫~~( ̄▽ ̄;)」


さあここで、このカレンダーの秘密をご紹介です。


1・月に一度カレンダー祭りというお祭りが開かれること
2・カレンダー祭りとは毎月1日におこなわれるもので、その日はその月の絵に他の月の絵が遊びに来ることができること
3・カレンダー祭りをひらくのは自分の月がきた絵で『ホスト』とよばれ、遊びに来るそのほかの月の絵は『ゲスト』とよばれること
4・カレンダーまつりは一大イベントであるため、ホストたちははりきって屋台を出したり歌やダンスなんかの出し物をしたりして、ゲストがたくさん来てくれるのを楽しみにしていること

というわけで、2人の7月のホストは今度のカレンダー祭りの詳細を考えているわけです

織姫と彦星のお話に戻りますと…

「今回のカレンダー祭りのテーマはですね!」
織姫はいたずらっぽく笑い、彦星にごにょごにょとささやきました。 


「え~~~ッ」
彦星は二度目のびっくりです。
「どうやってそんな準備を?( ゚Д゚)私もどうしたらいいのか…😰織姫は何かいい案があるのですか?(。´・ω・)?」


すると織姫はケロッとして答えました
「ないですわ(´∀`*)ウフフ な~んにも(∀`*ゞ)エヘヘ」


「では どうして…」
彦星はもう困り果てたという顔です。


織姫はそれに答えるようにリビングの向こう、キッチンの方を指して言いました。
「良い案はないけれど、良い師匠がいるのです。」



「ふあ~~」
大あくびをしながら二階から降りてきたのはこの家の住人、中学生の 麻友。キッチンの冷蔵庫をゴソゴソ探索していると


「ねえねえ」
どこからか声がします。


キョロキョロ辺りを見回しますが誰もいません。
『気のせいか…』
取り出したジュース片手にリビングにやってきました。するとまた


「ねえねえ 少しよろしいかしら?」
今度はもっと大きくはっきりした声です。その時あいていた窓から強い風が入ってきました。拍子にリビングの壁にかかっているカレンダーがバサバサとめくれ落ちていきます。


「も~なんなのよ~」
麻友はジュースをテーブルに置き、めくれたカレンダーを拾い上げようと手を伸ばすと、七月の絵の織姫と目があいました。


「こんにちは!( ´艸`)」
絵の中の織姫はにっこりと麻友に笑いかけました。続いて隣にいる彦星が
「どうも…」
と、苦笑いをしながら頭を下げました。


麻友の頭の中は一瞬にして真っ白になりました。思わずカレンダーを閉じ、テーブルの上にのせました。
「一旦落ち着こう…何が起こった?絵が…しゃべった?いやいやそんなわけないし!」


もう一度カレンダーに目を落とし、7月を開いてみますと、織姫と彦星が言い合いをしているようです
「だから止めた方がいいといったんです。人間には理解できないことでしょうから。」
「そんなことないわ!彦星。説明すればきっとわかってくださいますよ!あ…」


・・・・・・(。´・ω・)?


お察しの通り、麻友は言い合いをしている絵の織姫と彦星に
「なんで絵がしゃべってんの~~!」
と驚きつつ、カレンダー祭りの説明を彦星に聞き
(何しろ織姫は説明なんてそっちのけで、麻友の着ているシャツを

「なんてカラフルでポップなんでしょ!何を使って染めているのかしら?」

とか麻友の頭にしているウサギの耳のついたターバンを見て

「その髪飾り!とってもキュートです!!」

なんて言って、せっかくの彦星の話しの腰を折ることしかしないものですから)


多くの童話にある主人公たちのように、麻友もこの不思議な現象を受け入れました。

一通り彦星の説明を聞いた麻友は言いました。
「なるほど分かった。なんか面白そうじゃない!今度のカレンダー祭り 絶対成功させよう!!」


織姫はキラキラした目で頬を紅潮させ言いました
「嬉しい!私 俄然やる気が出てきました!!素敵ですわ!ヾ(o´∀`o)ノワァーィ♪」


彦星もニコニコと笑顔で言いました
「多少の不安はありますが…私もワクワクしてきました(n*´ω`*n)」


そして3人は鬨の声をあげました。
テーマ!!ポップでキュートな7月のカレンダー祭り成功を祈ってエイエイオー



「でさ」
麻友は2本目のジュースをごくごくと飲み干すとカレンダーに向かって話しかけました。
「キュートな感じは結構演出できると思うのよね。後は…」


「後は?」
織姫と彦星は身を乗り出してうなずきます。( ..)φメモメモ


「後…なんか寂しい感じがするかな?これだけじゃ。にぎやかさが足りないっていうか・・ポップな感じを出すには…」


顔を見合わせる2人に麻友は続けました。
「それから、せっかくだから しっとりと落ち着いた雰囲気も楽しめるようにすると良いんじゃないかと思うの!欲張りかな…」


「なるほど!“動”と“静”ですね!素晴らしい👍」
彦星が満足げに言いました。


「あ・・・ま・まぁ・・そんなとこね(-_-;)」
ちょっと首をかしげながら一応彦星に同意する麻友に、威勢の良かった織姫が不安げな表情で尋ねました。
「でもどうやって?私たちは2人きりですから・・2人で賑やかな演出をするのも、“キュートでポップ”な装いから“雅”な雰囲気に装飾を変えるのは難しいし…」


その時です
「織姫様、彦星様、私達をお忘れでは?」
たくさんのかわいい声が聞こえてきました。
「私達だって7月の絵の一員でございますよ」
声の主は織姫と彦星が立っている足元。星の川を造っている無数の星たちでした。
「私たちも是非今回のカレンダー祭りのお役にたたせてください!」


織姫の顔は一気に喜びいっぱいになりました。隣の彦星も満面の笑顔。麻友はそんな7月のカレンダー達を見て胸が躍るのを抑えきれませんでした。



いよいよ今日は7月1日
早起きした麻友がカレンダーを確認すると、なんともうゲスト達が集まってきています。今回のテーマ『ポップでキュートな7月のカレンダー祭り』にはみんな興味津々なのです。


ゲストは大きな笹に願い事を書いた短冊をくくりつけています。


「これはまた新しい素材の短冊で。」
「ほんとに!キラキラしていて、まるで私の小槌から出てくる小判のようではないですか?」
「宝船の装飾にこりゃどうでしょうね!?わっはは~」
話しているのは1月の絵の七福神達。七福神が手に持っている短冊、よく見るとそれはキラキラと光り、赤青、黄色緑とカラフルな丸い板のよう。その板もお互いにぶつかり合い楽しそうな音を出します。


「やっぱり正解ね!お父さんのいらなくなったCDも役にたつじゃない!」
音楽好きな父親が集めていたCDでしたが、これも時代の流れだな・・・とやっと最近処分することに決め、大量に段ボールに入れていた物です。麻友はちゃっかり頂いてカラフルなペンでペイントやイラストを描きポップな短冊に大変身させました。


星の子どもたちはおそろいの うさ耳カチューシャをつけて、かわいい声で歓迎の歌を歌います。
様々な色のセロハンの衣装を着た星たちはみんなかわるがわるに光りにぎやかな会場は、まるでお花畑のようにカラフル


「いらっしゃい いらっしゃい」
大きな声でゲストを呼び込んでいるのは大きな星たち。
「星の粉をかけた虹色のかき氷だよ!それからこっちはレインボーポップコーン!カラフルデコレーションケーキ寿司ってのも用意してるからね!食べてってよ!」
麻友はそれを聞いてにんまり。全部料理好きの女子高生の姉のレシピ集をちょいと拝借し星たちに伝授した物でした。


そこへぱたぱたと忙しそうに走ってきた織り姫。長い黒髪は高くお団子に巻き上げ、ところどころに丸いきれいな色のかんざしをしています。格好はいつもの着物ではありません


「わあっ!麻友さん!これ、すごーく動きやすいですわ!彦星もおそろいで嬉しい!」
「えへへ!浴衣より動きやすいから、お祭りの時この甚兵衛を着ていくことが多いんだ!女の子用のかわいいのたっくさんあるしさ!」
麻友は自分の選んだ花柄のキュートな甚兵衛を織り姫が着こなしているのを見て顔をほころばせました。


「さて!今日は忙しくなりそうです!忙しすぎて食事が摂れそうになかったら・・」
織り姫は頭に手を伸ばし丸いかんざしを抜きました
「これを食べときましょ!」


麻友はそれを見るとケラケラ笑い出しました。
カレンダー祭りの打ち合わせの時に麻友が食べていたチュッパチャプスを
「それはキュートね!おいしくってキュートで最高ね!どこかに飾りたいですわ(≧▽≦)」
と織り姫が始終言っていたのを思い出したのです。
『そこに飾った訳ね (^0^)☆爆笑☆((^Q^)v』


「では麻友さん」
織り姫はキリッとした表情になり
「時間は夜の10時から。お忘れなく!」
麻友は大きくうなずき
「もちろん!楽しみにしてるからね!」


「お風呂もご飯も済みました~~。後は織り姫とのお約束~~♪」
麻友は鼻歌を歌いながらリビングのカレンダーを自分の部屋の壁に掛けました。
時計はもうすぐ10時を指します。カレンダーの中はまだまだ賑やか。


「そろそろだね!」

7月のカレンダー祭り最終イベント。”織姫と彦星の雅な古えの歌と舞”が始まります。


麻友はパチンと部屋の電気を消しました。
と同時にカレンダーの中が真っ暗になりました。

カレンダーの奥の方から手前に向かって光がやってきます。

まさにそれは天の川。セロハンの衣装を脱ぎ捨てた星達の、今日一番の輝きです。

次に天の川の中央にクロスするように左右から青い光がやってきます。星の子ども達が青い衣装で静かに光り、美しい橋を造りました。

 

その橋の両方のたもとから現れたのは正装の彦星と織姫。

長い黒髪を豊かにサラサラとなびかせ、十二単に身を包んだ織姫の楚々とした たたずまいに、会場からも感嘆の声が上がりました。

 

麻友もその美しさに見惚れてしまいます。そして言いました。
「ポップな織り姫もかわいくて素敵だけど、やっぱり雅な織り姫の方がちょ~~素敵だよ!」


麻友の声が聞こえたのか聞こえなかったのか。織り姫はとても幸せそうでした。もちろん彦星もね。

 

おしまい

星星星星星星星星星星星星星星星星星七夕星星星星星星星星星星星星星星星星星星星星

 

幸せ生活送ってますか

どーもかおるですヾ(*´∀`*)ノ

またまた長いお話読んでくださりありがとうございますラブ感謝感謝ラブラブ

夏にもマスクが必要になった世の中になってしまってから、ことごとくお祭りなどのイベントが中止になって寂しいですねショボーン

早くみんなが楽しくお祭りできる世の中になりますようにおねがいそんな気持ちを込めてお願い

 

では また~~ニコニコ

 

最後までお読みくださりありがとうございました

あなたが幸せに包まれますように