あらすじ



昭和12年、5月。

阿部定事件と呼ばれた、

殺人事件。

待合二階、

四畳半の部屋で布団を

血に染めて横たわる男。

被害者は料亭の主人で

四十二の男、

石田吉蔵。

頸部圧迫による窒息死。

犯人は元女中のかよ事、

阿部定。

当時三十一歳。

女は首を締めたあと、

男の一物を切り取り持ち去り、

3日後に捕縛。

その時、

写真に写った女は

微笑んでいた。


当時まだ小学生だった波多野吉弥は、

吉蔵の由縁ということもあり、

阿部定事件の真実を知りたいと願う。


25年、

関係者を探し出しては

証言を拾ってきた。

幼なじみ、初恋の人、

初めての男、芸姑屋の斡旋業の男、

被害者の妻、恩人の学校長。

すべての証言を手に、

彼女の元へ。


おにぎり屋『若竹』。

現在彼女が営む小料理屋で語られる、

事件の真実とは‥


阿部定が被害者の身体に

刃物で刻んだ

『二人キリ』の文字

その本当の意味とは‥



「二人キリ」

村山 由佳

定価: ¥ 2100


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