今日はいわゆる虫垂炎、と診断された方や虫垂と考えられる症状の方向けとなります。


虫垂炎と診断されると、痛みの程度によっては抗生剤で炎症をおさえ、そのまま手術をしないケースが最近では多いと思います。

ただ、何度も繰り返して抗生剤でおさえてきた方は、虫垂粘液腫の可能性が通常よりは高いようです。

※そもそもこの粘液腫や虫垂癌というのは非常に珍しいもので、虫垂炎のうちでも10%以下の珍しいケースとなりますのであくまで通常より可能性が高い程度とお考えください。


私の場合は、痛みの程度が我慢できる程度で数日で治ったので抗生剤の点滴はうったことはありませんでしたが、よくわからない胃腸炎のような痛みや胃痛が半年に1回くらいの頻度で繰り返しきて、耐えると治るというのを数年繰り返していました。

そしてその後虫垂炎の可能性があるということで切除手術を受け、その際に大網に粘液があり病理検査の結果虫垂粘液腫が発覚しました。何度か虫垂炎の症状を繰り返しているうちに微小な穿孔があったのだろうと診断されました。


虫垂粘液腫も、穿孔がなく虫垂にとどまってくれていれば、そこまで腹膜擬粘液腫に進展することは多くないと考えられています。

また、リンパからの転移も症例は少ないようです。

※低異型度の虫垂粘液腫ではなく、悪性度の高い虫垂癌の場合はリンパからの転移などそれ以外の臓器への転移の心配がありますので同様ではありません。


しかし、この粘液腫が腹膜に漏れ出てしまうと、低異型度でも腹膜偽粘液腫に進展してしまい、治療が簡単ではなくなってしまいます。


このような理由で虫垂炎の温存療法を繰り返している方は、ぜひ一度精密検査や切除手術を検討されると良いと個人的に考えています。