嫌われる勇気/人は怒りを捏造する | 手話通訳者のブログ

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哲人 つまり、あなたは怒りの感情に突き動かされて、怒鳴ってしまった。普段は温厚な性格なのに、怒りの感情に抗することができなかった。自分にはどうすることもできない不可抗力だった。そうおっしゃるわけですね?
青年 ええ。あまりに突発的な出来事でしたからね。考えるよりも先に声が出てしまったのです。
哲人 では仮に、昨日のあなたが偶然刃物を持っていたとして、カッとなったはずみに相手を刺してしまったとします。その場合も「自分にはどうすることもできなかった、これは不可抗力なのだ」と弁明できますか?
青年 そ、それは極論です!
哲人 極論ではありません。あなたの理屈を突き進めると、怒りに駆られた犯行はすべてが「怒り」のせいであって、当人の責任ではなくなってしまいます。なにしろ、人は感情に抗うことができないとおっしゃるのですから。
青年 じゃあ先生はわたしの怒りを、どう説明するおつもりです?
哲人 簡単です。あなたは「怒りに駆られて、大声を出した」のではない。ひとえに「大声を出すために、怒った」のです。つまり、大声を出すという目的をかなえるために、怒りの感情をつくりあげたのです。

P.33~34