僕はたいしと同居してる猫。「たいしの飼い猫」なんて呼ばないでね。
僕は「飼われている」なんて思ってない。たいしは人間界で嫌われ村八分にされて可哀想だから、一緒に住んでやってるんだ。
僕の家にはたくさんの客が来る。耳が聞こえない人間もたくさん来る。
耳が聞こえない人間のことを「ろう者」って言うんだね。
僕はたいしと違って天才なんだ。人間語は理解できる。手話だってばっちりさ。
たいしのブログ記事より、僕が書いた記事の方が、たくさんの「いいね!」がもらえる。
たいしには文才がない。僕の方が文章がうまい。
今日は、僕の生い立ちについて書こう。
僕は幼い頃に捨てられた。無責任な飼い主に捨てられたんだ。幼い僕は空腹を抱えて、知らない人間の家の前で泣いていた。
この時、温かい人間の手で抱き上げられた。優しい感じの、メスの人間だった。
僕はこの人のことを「母さん」と呼んでいる。
母さんとの暮らしは幸せだった。猫の仲間たちもいた。
ある日、母さんの家に、たいしが来た。人間の子供も一緒だった。この子供のことを、たいしは「おしゃれ君」と呼んでいた。
どういういきさつか知らないけど、僕はこの日から、たいしとおしゃれ君と一緒に暮らすことになった。
おしゃれ君も僕も小さかった。僕はおしゃれ君と一緒に大きくなった。だから、おしゃれ君とは今でも仲良しだ。
たいしが起きたようだから、今日はこのへんで。またね。