外資系自動車メーカで良く使われる手法で、品質クレーム対策の手順に8D(8Disciplines)という考えがあります。この手順通りに対応していけば、アクションとして抜けのない対策になります。
D1. チーム編成(メンバーとリーダーの決定)
品質クレーム対策の責任者は、責任部署および関連部署より対策チームメンバーを選任し登録します。登録はチームメンバー名と電話番号も記載します。
D2. 問題の記述(問題の客観的事実の記載)
関係者から情報を収集し問題の現象を5W1Hで確認します。
・WHAT : OK品に対して何が問題なのか、どんな現象なのか
・WHY : どんな影響をおよぼすのか
・WHEN、WHERE、WHO : いつ、どこで、だれが発見したのか
・HOW : どうやって発見したか
・HOW MANY :発見された不良品の数はいくつか(発見した場所、日付別に)
・他に製品への影響の有無はあるか
D3. 応急処置(対象範囲と当面の処置)
・暫定対策の内容、不良品の流出を止め処置を決めます(選別、隔離、暫定対策等)
・OK品へのマーキング(識別マーク)があれば記載します
・点検対象の確認結果を確認します(客先、輸送中、自社工場内、協力企業、外部倉庫等)
・点検結果から判ったことを集約します
D4. 根本原因解析(発生原因と流出原因の追究)
・なぜなぜ分析を行い発生原因、流出原因の根本原因(真因)を特定します。
・根本的な原因は再現試験を行い検証します。
D5. 対策の立案(発生対策と流出対策の策定)
・根本原因に対処する恒久対策を実施し、効果確認を行います。
・いつ、どこで、だれが、どのように行うか定め、効果を確認します。
D6. 対策の実施(各対策の担当者と期限の決定・実施)
・実施した対策が有効であることを検証します(有効性の評価)。
・工程や出荷品のデータで問題が解消していることを証明します。
D7. 歯止め(標準化、水平展開)
・工場内全体での問題の再発を防止します。
・標準類規格の改定(工程FMEA、管理計画書、作業標準書、設備点検表等)
・水平展開の実施
同様の製品で発生することはないか
同じようなラインで発生することはないか
この問題に対処するために割り当てられた担当者は誰か
D8. 監査
実施状況を監査しチームメンバーで対策を認識します。
ごくごく常識的な8つのステップですが特長的なことは、最初と最後の「チーム」の部分があることです。こうしたステップをあえて設けています。
8Dレポートに限らず、問題解決に際してチームで事に当たることは非常に重要です。関係者の英知を集結することで議論は理解を深め、より本質的な解決に近づくことができます。とくに重大不良の場合は、いくつかの原因が複合して流出するケースがほとんどですので、各部の作業を良く知っているメンバーの参加は不可欠です。