【創建2000年余――神秘の杉並木が彩る修験道の聖地】
(参詣日:2018年2月4日・長野市 戸隠山周辺)
その威容は、戸隠が持つ圧倒的な地力を誇示しているようにさえ思えます。
玄関口の随神門をくぐると、視界を超えて広がる壮大な巨樹のデザイン。
奥社へと導くクマスギの並木が、この地に比類なき神性を付与しています。
「戸隠信仰」の起源は、神話の時代に遡ります。
記紀に描かれるあまりにも有名なストーリー『天岩戸開き』(あまのいわとびらき)で、
怪力の天手力雄命(あめのたぢからおのみこと)が投げ飛ばした岩戸がこの山に落ちた――
この伝説が『戸隠』の地名の由来とされ、古くから信仰を集めてきました。
いわゆる「戸隠五社」とは宝光社、火之御子社、中社、九頭龍社、そしてこの奥社で構成され、
中世以降は比叡山、高野山と並ぶ修験道の一大聖地として栄してきました。

奥社は戸隠五社の御本社であり、巨樹の林は戸隠のシンボル。
参拝者はみな起伏ある片道2kmの道のりを徒歩で往復します。


2018年は2月4日が「節入り」。
立春のこの日から旧暦の正月節に入ります。
つまり1年の始まり。
新年の詣でに来た人が、私のほかにもいたことでしょう。
ただ、春は名のみの寒波です。今年は世界的に特別な降雪量ですね。
この日は日曜日でしたが、この雪深さゆえ参拝者はまばらでした。

杉並木は500mにわたり、来る者を否応なく神秘の世界へと引き込みます。
これらクマスギの植樹はいずれも1612年と参道内に掲示があります。
その数、約200本。幹周は太い木で5mほどもあります。
耳をすませば小鳥の声と、樹上に厚く積もった雪がときおり溶け落ちる音。
荘厳な杉並木を抜ける間に、人々は意識下で自らの存在の小ささを認め、
神々と自然への尊崇の念を抱くのでしょう。
400年前に古人が描いた参道のデザインとは、
誰しもに聖地の参拝に相応しい慎みの心を抱かせてくれる緻密な設計だったのかもしれません。
杉並木を抜けてさらに500mほど坂道を登ると、
奥社と、少し下って九頭龍社が並び立ちます。
▲奥社と九頭龍社 標高1350m。両社とも深い雪に包まれています。
九頭龍社の御祭神は「九頭龍大神(くずりゅうのおおかみ)」。
水の神、雨乞いの神様で、五社の中で最古です。
▲奥社の鳥居。冬季は雪で半分くらい埋まり、人々はかがんでくぐります。
真冬であれ、ここに至るまでにかなり汗をかく登りの道のりです。
約1か月前の大晦日に参拝した時も同様の積雪状態でした。
この雪が完全に溶けるのはゴールデンウィークごろでしょうか。

▲戸隠奥社は標高1350m。
背後には戸隠山の峰がそびえます。
▲吉永小百合さんがJR東のCM(2009年)でくぐってた御神杉。つまり積雪2mくらい
(※実際には入れません)
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ここから話がそれますが、戸隠神社に直結隣接するのが「戸隠森林植物園」です。
希少な高山植物の宝庫であり、四季折々の美しい色彩が迎えてくれます。

▲奥社参道入口で道は二つに分かれています。
右手に進めば直線で随神門(杉並木の参道)へ。
左手に進めば美しい戸隠森林植物園を巡り、随神門へと至るルート。
ちなみに私の戸隠奥社初参拝は2014年9月。
随神門をくぐってクマスギの威容を目にしたとき、「うぉお、すげー」と声出たと記憶しています。
以来ずっと戸隠のファンです。この日の参拝はたぶん20回目くらいでしょうか。
そういうわけで歩き慣れており、
奥社入口から左方に迂回して戸隠森林植物園の雪道を進み随神門に至る道を選択しました。
【↓ここからはスノーウォーク@戸隠森林植物園↓】

▲スノーシュー必須です。こちら。いわゆるかんじきですね。
▲雪原と化した植物園内。新雪を踏みしめ、足跡をつけて進みます。
雪歩きはスノーリゾート信州の冬の楽しみの1つ。
▲植物園内で倒木に行き当たりました。昨夏の台風でしょうか。
▲折れ方も迫力ですね
▲植物園内には随神門への道標も点在
【最後に、戸隠五社を簡単にご紹介します】
この日は五社巡りをしました。
冒頭で紹介した「天岩戸開き」に功績のあった神々を、
この五社でそれぞれ御祭神としてお祀りしています。
天照大神不在の世界を闇から救った五神
と言えるでしょう。
▲①宝光社
御祭神は「天表春命(あめのうわはるのみこと)」
270段の急峻な石段の上に立ちます。
▲②火之御子社
天照大神の前で踊りを舞い、岩戸開きの端緒を作った
「天鈿女命(あめのうずめのみこと)」が主祭神。
舞楽芸能の神として有名です。
▲③中社
御祭神は「天八意思兼命(あめのやごころおもいかねのみこと)」
戸隠のまちなみの中心地でもあります。手前は樹齢800年超の三本杉。
そして今回登場した④九頭龍社と⑤奥社です。
正しい参拝の順は麓から
①宝光社⇒②火之御子社⇒③中社⇒④九頭龍社⇒⑤奥社です。
宝光社から奥社までは6km。
現代版リアル修験者()の筆者は、
雪が無ければ長野駅前から距離約30km、高低差1,000mの道のりを自転車で登るのが常です。

▲その証人の歩数計(昨夏)。参拝日はこんなんなります笑
(第二回 了)
▲戸隠マップ ⓒ戸隠観光協会












