そこに座っていた男はただの酔っ払いのサラリーマンだった。

コウタは酔っ払いに絡まれたくないのでいつもと違うベンチに腰をおろした。

すると


「おい!お前はヤクルトのコウタだろ?」


酔っ払いの男は急に立ち上がってコウタに怒鳴りつけるように話しかけてきた。


「は…はい。そうですけど…」


「お前、最近見ねえな!どうしたんだよ?」


「いや、最近調子がどうも上がらなくて、今は2軍にいます。」


「ばかやろ~!!」

バシ!!!

急に酔っ払いに絡まれたコウタ。いきなり平手打ちを食らう。

コウタは無駄に酔っ払いに絡まれるかわいそうな運命だった…



次の日。


コウタは2軍戦の登板だった。

135kの棒球と完全に見破られているスライダーでどうにか剛田ジャイアンツを打ち取る。

これがなぜだか首脳陣から高い評価を得るのだった。


監督から告げられる。


「コウタよ、明日から1軍のマウンドに立て!」


コウタはいよいよ1軍のマウンドに再び戻れるときが来たのだった。

正直今回の登板でまさか監督から評価をもらえるとは思わなかったコウタは結構複雑な気分でいた。


とにかく変化球を覚えなくては!

コウタはその日から今更カーブの練習を始める。


練習の後、一人居残りでカーブ練習に打ち込む。

そんな姿は同僚の早川曰く、「美しい」だそうだ。


コウタの努力は必殺「ションベンカーブ」という草野球チームのデブなおじさんピッチャーが投げるちんちくりんなカーブを取得したのだった。


10月7日に続く