深海に棲む生き物は眼を持たない。
何故なら彼らの世界には地上からの光がまったく届かないからだ。
そこは果てしない闇に閉ざされ、死と沈黙が支配する……。

だが彼らは抱いている。
決して消えることのない希望という名の光を――。

それは、日本が滅亡に瀕していた夏。
ひたすらに未来を信じ、愛するものを守るために戦った人間達がいた。
しかし、彼らの存在は、今まで決して語られることがなかった。

わたしは、あるきっかけから、60年前に戦利潜水艦《伊507》を
めぐって起きた出来事について、断片的ではあるが、知ることができた。

それは今後も、公の歴史に記されることは永遠にないかもしれない。

だが、われわれは忘れてはならないだろう。
彼らが誰のために戦い、そして、必死に生き抜こうとしていたのかを。

彼らの思いを受け継ぐべき、すべての日本人へ――。



日本人の誇りを持つことが出来る。
我慢・葛藤・感傷・意地・勇気
どうして戦うのか、どうして戦えるのか。

彼らは人間だった。彼らは心があった。
彼らが戦う意思は人間くさすぎる情熱からであった。

気が狂っているわけではない。
自分の身内を殺した合衆国へ
これ以上死者を作り出したくない思いから
戦争を起こし、敗戦へと繋がっていった恥ずべき日本人という思いから。

それぞれの意思が交錯し、時に仲間割れをし、時に愛し合う。

そして彼らは未来を若者に託し、希望を持って死に逝く。


まぁ、見てください。良い作品でした。