ジャンプの顔として長年君臨してきた『ONE PIECE』。
かつては間違いなく“国民的漫画”であり、誰もが心躍らせながらページをめくった作品だった。自分自身も小中学生のときはどっぷりハマっていた。他のどの作品よりも面白くてNO1。そう思ってた。ホントに誰よりもONE PIECE信者だったかもしれない。
だが今のONE PIECEはどうだろう?その神通力は確実に失われている。
そして、それは単なる一部の読者の感想ではなく、ついにジャンプの元編集長・鳥嶋和彦という“業界のど真ん中”からも突きつけられた現実となった。
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■ 鳥嶋和彦が指摘した『ONE PIECE』の5つの問題点
1. 「子どもの漫画じゃない」ではなく「子どもが読んでいない」
かつて少年たちが胸を熱くしたONE PIECE。だが今では、小中学生の読者層から明確に離れられている。ページの情報量が多く、話が複雑化し、感情ではなく設定で物語が進む。
漫画はまず「子どもに届くこと」が前提であるべきだが、今やそれが失われている。
つまり、ONE PIECEは“少年漫画”の顔でありながら、“少年”に読まれていないという根本的な矛盾を抱えてしまっている。
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2. 人気があるなら、なおさら技術を高めなければならない
“売れている=面白い”というのは幻想であり、人気を得た瞬間から、それを維持する義務と技術の研鑽が始まる。
鳥嶋氏は「トップ漫画は目の前で足踏みしていてはダメ。常に読者のはるか先を走っていないといけない」と述べる。
今のONE PIECEは、あまりにも“その場”で回っており、週刊連載としての推進力も吸引力も失っている。トップの地位に胡座をかいている姿は、まさに停滞そのものだ。
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3. 「作家の意思を尊重」ではなく、意見を戦わせるのが編集の仕事
編集者の役割は「先生の好きなように」と言って、作家にすべて任せることではない。
むしろ、時には真っ向からぶつかり、否を突きつけ、作品をともに作り上げていく“共犯者”でなければならない。
「作家の意思を尊重します」と言っている担当は、責任から逃げているだけ。
今のONE PIECEの迷走は、まさに編集者が編集者としての役割を果たしていないことの証左でもある。
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4. 人気作品は“空洞化”しやすい。そこを止めるのが編集者の責任
ナンバーワンの座にいるからこそ、多少手を抜いても目立たない。
だが、それが続けば、ある時点で“読者の心の離反”という形で一気にツケが返ってくる。
それは作品の失速であると同時に、ジャンプという雑誌全体の沈下にもつながる。
一つの作品が堕ちるだけでは済まされない。ジャンプの未来すらも蝕んでいることに、編集部はもっと危機感を持つべきだ。
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5. 尾田栄一郎を“そういう状態”にしてしまったのは担当編集の責任
人気が出たことで「尾田先生には逆らえない」という空気が醸成され、編集部全体が機能不全に陥っている。
その“王様に誰も物申せない”状態が、まさに今のONE PIECEの最大の不幸である。
鳥嶋氏はそれを作家ではなく編集の問題として断言している。
「すべてはOK」ではなく、「だからこそ修正が必要だ」と言える環境が、今のONE PIECEには失われている。
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■ “死にかけの作品”をまだ「面白い」と言い続ける異様な空気
いまのONE PIECEは、少なくともかつてのような熱量や引力、読後の高揚感を失っている。
にもかかわらず、批判する声は未だに“異端”扱いされ、
「理解できない奴が悪い」「昔から読んでないからそう思うだけ」
といった論調で封じられてしまう。
これは作品の批判ではなく、宗教における異端狩りに近い。
・どんなに破綻していても「尾田先生の計算だから」
・感動できなくても「後で伏線回収があるから」
こういった思考停止の信仰が、ONE PIECEという作品の“死”を延命させているだけだ。
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■ 神格化から解き放たれたとき、初めて再生が始まる
「批判してはいけない」という空気が蔓延している限り、作品は再生できない。
むしろ、作品を本当に愛しているからこそ、今のONE PIECEの問題点を直視しなければならない。
鳥嶋和彦のような人物がそこに言及したという事実は、
「これはいちファンの意見ではなく、業界からの赤信号だ」ということでもある。
「終わった」と言われても仕方のない現状。
だが、それでもこの作品が持っていた熱量や理念を知る者ならば、
「だからこそ、変わるべきだ」と言う責任がある。
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■ 読者もまた“作品を育てる側”である
ONE PIECEの真の危機は「つまらないこと」ではない。
「つまらなくなっているのに、つまらないと言えない空気」にある。
これを壊せるのは、鳥嶋氏のような業界人か、本当にONE PIECEを知っている読者たちだけだ。
だからこそ、こうして声を上げ続ける。
「面白くない」と言えることは、読者の誠意であり、作品へのエールでもある。