①【人たるの道を(心理)を守る】

人としての道をしっかりと守っていれば(孔子で言えば信と仁あたるでしょう)、

かりに不遇な状態に至っても、一時のことにすぎない。

権勢にこびへつらえば、かりに得意の状態にあっても、長続きはしない。

道を極めた人物は、世俗の事(価値)にとらわれず、死後の評価に思いを致す。

一時は不遇な状態にあっても、人としての道を守って生きるほうがはるかに賢明であろう。

ここで言う「道」とは、原文では「道徳」の事である。

道徳とは社会や時代によって価値観も変わることがあるが、ここではそれと違い、「一定不変のものという意味合いを持つ。

人が人としてあるための生き方。要するに「人から後ろ指をさされないような生き方」を

していれば「捨てる神あれば拾う神あり」ということでもあろう。


今回から、中国古典の金字塔【菜根譚シリーズ】を始めます。「菜根譚」は中国古典の一つでありますが、約360ある格言の中から、世上の動向や、皆さんの様々な問題ごとや悩み事に応えられるよう事例を拾い、噛み砕いて返答できればと思っております。悩み事相談所と思って、気軽に目を通していただければ幸いです。

又、「菜根譚」は、昔から日本を始め多くの実業家や政治家、サラリーマンに読み親しまれてきた書物です。それだけ奥の深い、その時の自分の条項に照らし合わせた解釈・参考になる「書」といえましょう。
混迷の時代を生き抜く事例を引き出し、ビジネスマン・ビジネスウーマンの手助けとなれば幸いです。