世界基準で夢をかなえる私の勉強法 | 難しい時代を生き抜くための読むサプリメント

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 北川智子さん。
 カナダのブリティッシュコロンビア大学で数学と生命科学を専攻、
 同大学院でアジア研究の修士課程を修了、
 プリンストン大学で博士号を取得、
 専門は日本中世史と中世数学史、
 2009年より3年間、ハーバード大学で教鞭をとり、
 「ティチング・アワード」「思い出に残る教授」などに選出される。
 これだけを見たら、IQの高い女性が才能をフルに活かして世界を自由に飛び回っているというイメージを抱きますが、北川智子さんに言わせると、のんびりのびのびが好きな普通の女性なのだそうです。

【本日のご紹介図書】
世界基準で夢をかなえる私の勉強法
 著 者 北川智子
 価 格:1,365円
 出版社:幻冬舎 2013.2.15

【1】世界基準で夢をかなえる私の勉強法

 もともとは九州の片田舎に生まれ、
 地元の公立高校に通う普通の高校生でした。
 北川さんの夢は、海外で勉強し、就職し、そしてのんびりのびのび生きていくというものでした。
 今、それが実現しているのは、IQの高さやテクニックではないと述べています。あくまで北川さんは自分は普通の能力しか持っていない人間だと思っています。
 その普通の人間が、はた目には普通に見えない結果を出すことができた理由あるいは方法みたいなものを本書で述べ、同じように世界に羽ばたく夢を抱いている若い人の応援歌になればと願い、執筆された本です。
 なぜ、はた目には普通に見えない結果を出すのか、ひとことで言うと、
 「どのように成功に導く環境をつくっていくのか」
 にかかっているのだそうです。
 もちろん、何もかもうまくいくわけではありません。
 失敗しても、
 「早く失敗から立ち直り」、
 「友人や恩師から学んだことを自分の中に吸収していく」
 ことが大切なのだそうです。
 成功の鍵は、
 「落ち込んだり悩んだりすることなく毎日をどれくらい機嫌よく過ご
  せるか」
 にかかっていると北川さんは考えています。
 別に海外でなくても、日本でも、誰もが楽しく勉強する方法はあります。
 独自の勉強をうまく習慣化する方法をつかみとることができれば勉強も楽しくなります。
 人が勉強するのはそれぞれ理由があります。
 それぞれの分野で学びについて深く考え、それぞれの個性に合った形でオリジナルの勉強法や仕事術を確立することがいかに大切であるかこの本は教えてくれます。

 北川さんが最初に一人旅をしたのはカナダでした。
 人生初のインディペンデンス・デイ、独立記念日になります。
 「短期語学留学」と銘打ったカナダでの短期滞在、
 勉強するのはもちろん英語、ホームスティ先の家族にはまったく日本語が通じません。
 もともと理数系に通う高校生で英語の勉強はできていませんでした。
 身振り手振りでの会話になるのは目に見えていました。
 ホームスティ先の家族は、お父さん、お母さん、3歳の子どもと、おばあちゃんの4人構成でした。彼らにとっても初めてのホームスティ受入になります。
 もちろん、まともな会話は成立しません。
 ほとんどの場面を笑ってごまかしていました。
 家族の会話を聞きながら食べるだけの毎日が続きます。

 そのうち、一家の居候的な立場であった北川さんは3歳の男の子のベビーシッターや皿洗いをして過ごしました。
 夏休みのごく短い期間のホームスティでしたが、それでも一緒に楽しく過ごせ、本当に家族同然になり、離れられなくなります。
 カナダの家族に「もっと英語を勉強して、こっちの大学にうちから通いなさい」と言われその気になります。
 北川さんは一度帰国し、再びカナダのホームスティ先に訪れ、そこからバンクーバーの英語学校に通うことにしました。
 英語のレベルは、カナダの大学に入学できるレベルからはほど遠かったからです。
 家族は北川さんのプアな英語力では家から学校にまですら自力でたどりつけないと心配して、地図が記された小さなメモカードをつくってもらいました。
 いわゆる迷子カードです。

 英語学校での目標はもちろんTOEFLの試験で高得点をとること。
 単語、文法、リスニング、ライティング、さまざまな角度から迫ってくる問題たち・・
 一から英語を始めるには、途方もなく長い道のりに見えました。
 北川さんはTOFELの試験を解くことをあきらめました。
 できなくて当然のことに挑戦すれば、当たって砕けてしまうことが目に見えていたからです。
 うちひしがれてしまうよりも、とりあえず毎日楽しく暮らすことを選べました。
 朝起きると、おばあちゃんから一日一単語が書かれたカードが渡されます。
 それを受け取っら、単語の意味を確認して覚えます。
 おばあちゃんの単語カードはコルクボードに貼り付けて覚えていきました。
 わからないときは電子辞書で英和で調べます。
 日本語での読み方や意味を調べないようにしました。
 できるだけ自然な形で、目に飛び込んでくる英単語の意味を認識しようと思ったからです。
 意味を自然に覚えるまでコルクボードに貼り、いつもカードを見るようにしました。
 よく見ていると、たまにaという冠詞がついていたり、名詞が複数形になっていたり、単語の最初の一文字が大文字になっていたり、単語の使い方に沿った形で書かれていることに気づきました。
 その小さな違いにも重要な意味があるらしいことがわかってきたのです。

【サマリー】北川さんの勉強法1

 勉強の取りかかりは日常会話から。
 一言ひとこと出会うたびに、その表現を取り巻く状況から意味を判断。
 丸暗記や攻略法にこだわらず、目の前にある生きた英語を観察。
 たどたどしくても、とりあえず使ってみて、自分の言葉にしていく。
 楽しく、ゆっくり、生活とともに英語に慣れていく。
 のんびりのびのび、好きなことを追求していく。
 今、しないと後悔すると思うことは何でもやってみる。


【2】英語力向上のびのび作戦

 北川さんは、カナダのホームスティ宅から英語学校に通っていました。
 学校では当初TOEFL講座を選択し、授業のなかでたくさんのサンプル問題を解かされました。
 テクニック中心の勉強法は英語のレベルが低すぎる人には向いていません。
 無理しても解けずに苦しむだけです。
 そこでTOEFL講座はきっぱりあきらめることにしました。
 英語学校は文法と会話の1コースだけにして、午後2時に授業が終わった後は、ダウンタウンのコーヒーショップに行って日本人、韓国人、メキシコ人などのクラスメートとおしゃべりを楽しむことにしました。
 クラスルームのなかだったら文法の間違いを見張っている先生がいるのですが、コーヒーショップにはうるさい先生もいないのでのびのびと英語を話すことができ会話も弾みます。
 5時半にはホームスティ宅に帰り、3歳の子といっしょにカトゥーンTVを観ます。
 のんきすぎるように見えるけれど、映像とともに3歳の子でわかるようにゆっくりしゃべる英語のアニメこそ北川さんにとって英語上達の早道でした。

 同級生たちは人気ドラマやコメディのリスニングに挑戦していましたが、どちらかというと遠回りしているように見えました。
 夕食の時間になるとダイニングルームに家族みんなが集まり北川さんにもわかるようにゆっくり会話をしてくれます。

 話しかけられたとき、わからないからと黙り込むと会話が台無しになります。
 聞き取れなかったとき、わからないと答える前に、相手の質問を繰り返すことにしています。

 Did you have a good day?
 (今日は、いい日だった?)

 Did I have a good day?
 (私・・・いい日だった?)

 という具合に、主語とイントネーションを少し変えて、あえて繰り返します。
 もし、とんちんかんな理解だったら、家族は、あ、そうじゃなくてと説明してくれるし、言葉があっていれば会話が続きます。
 会話するとき空白をつくらないことです。
 北川さんはこれをリピート戦法と名づけ、家の中でも外でもいろいろな会話の場面で使いました。
 わからないからといって、Excuse me?やPardon?では、相手は質問の仕方がまずかったと思い、言い方を変えて問い直してきます。
 余計にわからないことが増え、会話の空白がさらに長引くことになるからです。

 寝る前には3歳の子に絵本の読み聞かせをします。
 なかなか手強く寝てくれません。
 絵本が1冊ではきかず、だいたい2冊、悪いときは3冊読みます。
 北川さんにとっても、繰り返してゆっくり読むことで、ずいぶん英語の勉強になりました。
 子どもを寝かせた後が自分の宿題の時間。
 1日のなかで机に向かう時間はこのときの2時間になります。

 パーティはとても苦手でした。
 わからないからと言って黙っていると、もしかして具合が悪いのかと周りが心配してくれてさらに気まずくなるからです。
 北川さんの級友に、英語が下手なのに積極的に社交の場に出ている子がいました。
 それを見習って、英語ができなくても笑顔で何度も切り抜ける方針に切り替え、積極的にパーティにも出て会話に参加することにしました。
 話せないからといって、いじけて自分の中に閉じこもっていては、周囲の雰囲気を壊すだけです。考えるより先に会話に加わった方が、はるかにいい感じです。

 そんなふうに暮らしているうちに、英語は格段にうまくなり、半年を過ぎた頃、TOEFLも基準点に届きます。

 TOEFL問題集はその後一切解かなかったのに、なんとかなるものです。
 「急がば回れ」ということわざどおりでした。
 さっさとあきらめることで、よけいなストレスをためず、ゆっくりと環境になじむことに徹したのがよかったと北川さんは述懐しています。


【サマリー】北川さんの勉強法その2

 ホームスティ宅での家族との大人の会話、同世代の級友との会話、3歳の子との会話、テレビアニメに絵本と、幅広いコミュニケーション能力が自然と身についた。
 おかげで、いろいろな世代の話し方、アクセントにも触れることができた。
 リピート戦法で会話のぎこちない間をつなぐことができた。
 毎日英語に悩むのではなく、ハッピーに暮らすことにこだわる。
 自分の幸せのレベルを保つこと、家族や周りのみんなの幸せのレベルを上げることの2つを目標にした。
 いざとなったら身振り手振りだけでなんとかなる



【3】自分に合った勉強法

 TOFELの基準点に届いた北川さんは、バンクーバーのブリティッシュ・コロンビア大学に入学することにしました。
 カナダの大学も日本と違って「入るのは簡単、出るのは難しい」システムになっていています。
 学生時代、しっかり勉強しなければ途中でドロップアウトしてしまいます。
 今までのようにラクはできません。
 それでも、北川さんは自分流の勉強法を貫きました。
 大学では理系(数学科)を選びました。
 英語のエッセイが課せられないというのが、北川さんにとって魅力でした。
 専攻は2年の終わりに決めることになります。
 専攻を決めるまでに英語力を上達させればよいからです。
 そうはいっても大学での授業は相当ハードでした。
 先生の英語はネイティブで、話すスピードが格段に速いし、知らない単語も次から次に出てきます。
 北川さんは「頼れる人は自分しかいない!」と覚悟しました。
 試験の成績がどんなに悪かろうが誰に迷惑をかけるわけではありません。
 自分が学びたい科目を自分のキャパシティの限界まで力を出し切って勉強しようと思いました。
 「勉強は自分のため」
 自分が勉強したいことをのびのび、思う存分すればいいのです。

 大学での勉強の内容は、思いのほか楽しいものばかりでした。
 生命科学のクラスでは、試験に出てくるマッシュルームのラテン語の綴りがやたら長いため、試験のときは1人1枚はカンニングペーパーはもちこんでいよいというルールがあります。
 このルールが、北川さん流の勉強法を編み出すヒントになります。
 北川さんは、授業中、ノートをとらない主義でした。
 高校では、ノートに書き写す労力を惜しみ、黒板ごとカメラで写真をとるよう暗記することに集中していました。
 さすがに、大学ではそうはいかないので、自宅のプリンターから取りだした真っ白の用紙を持参して、1回の授業で1枚の用紙を使うことにしました。
 罫線入りでなく、白紙を使うのがコツです。
 白紙だったら、横書きの英語であろうと、縦書きの日本語であろうと自由自在に書くことができます。

 つづりのわからない単語は、カタカナで脇のほうに書いて後で調べます。
 ノートを取ろうと意識すると、おそらく10ページを超す量になります。
 後で復習がつらくなるだけです。
 どんなに長い授業であろうが、難しい内容であろうが、使うのは紙1枚。
 膨大な情報量に圧倒されずに、今日、何が起きたのか、自分の言葉でコンパクトに書いていきます。

 わかることは書きません。
 わからないことをこっそりカンニングペーパーに書く要領で書き残します。
 話についていってるときは、授業の骨組みのみ、時系列でぽつぽつ書いていきます。
 ノートは授業の概要が一覧できることと、本当にわからなかったことがその日の授業のどこで出てきたかわかるようにすることが目的です。

 ノートをこまめにとるようになるとノートに頼るようになります。
 ノートを取らず、今日あった授業のことを繰り返し頭の中で繰り返すことの方が大切です。
 休憩時間に友人と楽しく話をしているときにメモを取る人はいません。
 その要領で、先生の授業も聴きます。
 しかし、先生の話は面白くないことが多いものです。
 面白くないことは覚えません。むしろ忘れるよう努力します。

 ただ、大事な話のときには、気持ちを集中させます。
 このときは(大事な話=おもしろい話)と、自分の頭をごまかします。
 何度かやっているうちに重要だと思った瞬間、集中して覚えることができるようになります。

 覚えた内容を思い出す時間をつくることが重要です。
 たとえば学校だったら2時間目の授業、仕事だったら朝10時から12時までの出来事についてお昼休みに復習します。
 最初に心境を思い出します。
 一番の目玉は何であったかを思い出します。
 全体から詳細を思い出していく要領です。
 冒頭からの言葉を一言一句思い出すのではなく、全体から部分を思い出していきます。
 ノートなしで、頭の中を情報整理するのは、意外と簡単です。
 記憶力はあまり関係ありません。
 お友だちと話したことを思い出すレベルの記憶力があれば十分です。

 覚えた内容は何度も思い出す時間をつくります。
 何度も繰り返すことで記憶の保存が上手になります。
 記憶の反すう作業は、はたから見るとボーとしているように見えます。
 静かで安全なスポットを見つけておく必要があります。
 池のほとり、川べり、ほどよい交通量のある人の目のつくところでもいいでしょう。

【サマリー】北川さんの勉強法その3

 記憶で大事なことは重要なことと重要でないことの「情報整理」。
 きれいなノートは不要。自然の記憶力に頼る。
 詳細よりも全体像を把握するよう心がける。

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