繊維業界への「思い」をお伺いする
昨日は、八王子 奥田染工場 奥田さんにお話しをお伺いしました。22歳の時に仕事をはじめ、今はお父さんから引き継いで経営をされています。染色工場では、生地にデザインされた模様や柄で染色を施す作業を担っておられます。
写真の部屋は染色する染料の調合所です。常に同じ色にしなければならないため、科学的に配合をデータ管理されています。品質へのこだわりが、感じられる作業場でした。それでも、天候や温度などにより微妙に条件が異なるので、最後は人の感覚で調整をするとのこと。やはり現場では人の感性が大切なのですね。
繊維業界は、比較的分業がされているそうですが、奥田さんは品質にこだわるため、なるべく自社で可能な作業は行っているとのことです。品質へのこだわりの表れだと感じました。
繊維業界の話になり、昭和45年をピークに業界の売上金額は下がっているそうです。実際はインフレなどもあるので、もう少し早い段階から下がり始めていると考えておられます。
その影響で繊維業界から退く会社や工房が増えており、何とかそれを食い止めたいと考えておられます。
奥田さんはすでに動きだしている
そこで、若いデザイナーを連れて日本の繊維産地を自費で視察に行かれたそうです。各地で奥田さんと気持ちを同じにする方に出会い、日本全体の業界の動向を把握されようと努力されています。今後は、その情報やネットワークを奥田さんが中心となって整理し、地域を結び、業界発展に寄与されたいとお考えだそうです。
未来は明るい
業界で活躍する方や職人さんの平均年齢は高く、60~70歳の方も少なくありません。その中で奥田さんはまだ38歳という若さ。バリューチェーンの整理、情報管理、人脈、柔軟な発想で今までにないやり方で、改善に向かって活動をされています。時に障壁にぶつかることもおありでしょうが、日本中のネットワークや仲間の支援を力に、推進される方だたと思います。
具体的な活動の一つとして、古民家を活用した展示、イベントスペース「つくるのいえ」をご準備されています。すでにプレオープンもされていますが、グランドオープンに向けてリノベーション中です。奥田さん自ら作業することも多いとのこと。
古民家の柱や透かし彫りの壁。床の間、畳など古き良きものは極力残しつつ、必要な個所を修復されています。ギャラリーになるスペースの天井は高く、古民家の素材とコンクリートの質感のバランスが良く、作品を鑑賞するのに最適な場になる予感を今から感じます。
38歳という若さで自ら日本全国を行脚し、八王子に繊維業界を活気づける場を作る。このような若きリーダーがおられる限り、繊維業界や工芸業界の未来は明るいと感じました。
もちろん、ReaLenceでもこのような活動に少しでも貢献できれば幸いです。
それでは、良い一日をお過ごしください!