吹雪のなか、いま、帰ってきた。
母が、電気をつけてくれていた。
積雪はたいしたことない。
氷点下で、ツルツルだった。
真っ白な世界の明るい日中の運転がとにかく苦手。車のライトも見えない、道路の境目もわからない。
だから、副業が終わってから、夜中のうちに帰ってきた。
朝起きたら、今季初の除雪。
去年の12月、1月のやばさを経験してるから、
これくらい、なんともない。
今運転しながら、ホワイトアウトみたいになるたび、去年1月28日土曜日、最後にオヤジが救急車を呼んだあの日の記憶が蘇った。オヤジと母が乗った救急車の後ろを自分の車で追いかけたけど、何度も車を止めた。何も見えなかった。救急車も、私も無事に病院に着いたと訪看さんとケアマネに電話したとき、ふたりとも一言目が、
かっぱちゃん!
無事に着いてくれてありがとう!!
だった。優しさに、びっくりした。
結局オヤジのことだけ考えて帰ってきてしまった
日曜日の夜から、やっと雪が積もった。
12月、年末年始、雪が降らなかったおかげで、私は楽しく過ごさせてもらった。マフラーもいらない、上着もダウンじゃなくていい、スニーカーで歩ける。こんなのは、4年ぶりだ。人を大切にすることをオヤジから学んだので、わりとまじめにオヤジのマネすることを意識してみた。大切な人、大切な仲間と、良い時間を過ごせた。雪が降ってれば、私が仕事終わるころにはみんな寝ていて、
深夜の除雪車出動に、自分ちの除雪、私みたいに実家の除雪。仲間との時間は、なかった。年末年始に友達と飲むって、21才を最後になかった。
オヤジが娘のために雪を降らせなかった。
今まで娘ができなかったことを、
今年の冬、オヤジが全部叶えてくれた。
死んでから、いろんな奇跡を起こしてくれたから、全部オヤジのチカラだと本気で思っている。
オヤジは、魔法使いになった🧙♂️🔯。
私は強くなった。
去年あの大雪のなか、ホワイトアウトのなか、毎日みたいに実家と職場の往復。泣きながら運転した。雪に殺されると思った。アパート、職場につけば、ほっとする暇なく、今度はオヤジと母の心配。オヤジにせん妄のような症状が出てきていた。母のエプロンをビリビリに破ったり、母に手を出そうとしたり。オヤジに何かとりついてるかみたいな状態。心配で心配で、仕事も本当にミスだらけだった。オヤジがあんな状態で、雪の恐怖も同時で、本当につらかった。
それでも、頑張った。
私も姉ちゃん家族も、母もみんな頑張った。
1日1日乗り切るしかなかった。
明日こうしようと思っても、明日にはオヤジの状態が変わっていたり、いつ怒りスイッチが入るかも分からず、翌日には昨日考えたことが白紙になる毎日だった。だから、1日1日一生懸命、今できる最善を必死に乗り切るしかなかった。寝る暇もないみたいに、オヤジに寄り添いながらの除雪に雪道運転に仕事にばあちゃん。みんな本当に、本当はボロボロだった。体力も精神的にも。
でも、誰も、みんなの前では
弱音を吐かなかった。
いちばん最初に限界だとクチにしたのは、
まさかの私だったけど。
オヤジは病気してから、死ぬまで
一回も弱音を吐かなかった。
もうやんだ。これを言わなかった。
私達は、
諦めなかったオヤジのおかげで、
更に強くなった。
茶の間に入ったら、
あれだけ消してていいって言ったのに、
わがったーって言ったくせに、
結局ストーブがついてる。母の愛。
猫が待ってた。癒される。
猫は、オヤジの遺影を見つめている。
母は茶の間の隣で寝ている。母のいる部屋から、松山千春がやっぱり今日も聞こえてくる。今も私は、千春を聞きながらブログを書いている。毎日母、こうやって寝てるんだな相変わらず。
オヤジにいつも、ただいま!とクチに出して伝える。おっかえりーと返ってこない。この瞬間が、本当にオヤジが死んだような気になる。
今日は久しぶりにオヤジと晩酌。
納骨前、ずっとオヤジの祭壇の前で、オヤジにビールあげて、座布団に座って、オヤジの遺影とお骨見ながら、オヤジと晩酌していた。オヤジと喋ってた。千春連れていけなくてごめん。って、何回も何回もクチに出して泣きながら謝った。じじいに私の声、伝わっていた。伝わったから、奇跡が起きた。
魔法使いになったじじいとの晩酌、
楽しい時間だったりする。
いっぱい楽しい時間過ごさせてけってありがとさん。と伝えたあと、、、こんなんじゃ足りね!もっと娘に恩返ししろ!くそじじい!って伝えた。ひとりで爆笑してしまった。そうだこんなんじゃ足りない、もっと娘に恩返ししろ!!笑笑笑
運転中、午前1時すぎ、母から
鍋あっからけーなー❗
と、メールが来ていた。
オヤジの大好きな、母の焼おにぎりも。
いただきます。
私は、幸せな娘である。
んめっ!んますぎ!!
と、声に出して何十回でも言いながら食べるのは、オヤジに似たみたいだった。オヤジが病気してから、一緒にご飯を食べるようになって気付いた。
結局どんぶりで3杯食べた。
4時まで飲んで、寝る!
朝8時半。
まだ布団にもぐっていたら、寝室に母が千春のCDをかけていった。不意打ちで、恋が流れた。なぜか、泣けた。
泣いたせいで目がさめたので茶の間に来たら、母の脱いだこちはるパーカーを猫が奪っていた。