「続けたいのに続かない…」書道のモチベーションが落ちたときに読む7つのヒント


最初はやる気満々だったのに、気づけば筆を握るのが遠のいている…。
これは決して「あなたの意志が弱い」からではありません。どんなに情熱を持って始めたとしても、日常の忙しさや上達への焦り、人との比較など、ちょっとしたことで心は揺らいでしまうものです。

そんなときに思い出してほしい、7つの「よくある悩み」へのヒントをまとめました。
共感しながら、読み進めてみてくださいね。


---

① 思ったより上達しない…?

確かに、初心者から中級に入る頃は、ぐんぐん上達を感じられますよね。コツを知って、見違えるように変わる時期。
でも、そこを過ぎると「伸び悩みの沼」に入ったように感じることもあります。

そんなときは、3カ月前の自分の作品を見返してみてください。
「えっ、こんなに変わってた?」と驚くはずです。中級の期間は長く、そのなかで少しずつでも確実に前に進んでいます。
大切なのは「諦めないこと」。諦めたところが“終着点”になってしまいますから。


---

② 忙しくて時間が取れない…

本当にその通り。仕事、家事、育児…。書道のための時間を確保するのって大変です。
だからこそおすすめしたいのが、1日10分の「寝る前書道」。

たとえばスマホを見る時間を少しだけ書道に。たった10分でも続けていくと、確かな変化が生まれますよ。


---

③ 評価される場がない

これは少し分かれる問題ですね。
「見られるのが恥ずかしい…」という方も多いですが、逆に「頑張りを認めてほしい!」と思う方は、ぜひSNSで作品を公開してみてください。

それが難しいなら、展覧会や書道会の競書もひとつの方法です。
評価される機会があると、練習にもハリが出ます。

---

④ 他人と比べて落ち込んでしまう

SNSなどで他の人の作品を見ると、「私の字、全然ダメじゃない…?」と落ち込んでしまうこと、ありますよね。
でも、そもそも人生が違うのだから、書も違って当たり前。指紋も耳紋も遺伝子も違うように、誰一人同じ字を書く人はいません。

「比べることに意味はない」
そう言い聞かせて、自分だけの道を楽しみましょう。


---

⑤ 「書かなきゃ」がプレッシャーに…

毎日続けると習慣になる、と言われますが、義務になるとしんどくなることもありますよね。
そんな日は思い切って「今日はお休み!」でもいいんです。

でも翌日はまた、筆を手に取りましょう。
「趣味は楽しく」が基本ですからね。


---

⑥ 目的や目標がぼんやりしてきた

モチベーションが下がるときって、「何のためにやってるんだっけ?」と感じることがあります。

そんなときは、目標を再設定しましょう。
段級取得や展覧会での入賞、誰かに作品を贈る、毎日のリラックス時間を持つ…
**あなたにとっての「書道のある生活」**を思い描いてみてくださいね。


---

⑦ 道具を出すのが面倒!

これはもう、どうしてもあります(笑)。
そんなときは、出しっぱなしにできる環境を作れないか工夫してみましょう。
無理なら、「ノリのいい音楽をかけながら準備」や「動画を流しながら道具を出す」といった“ながら準備”が気持ちを切り替えてくれます。


---

🖌️おわりに

モチベーションは“続けるうちに戻ってくる”ことがほとんどです。
焦らず、落ち込まず、自分のペースで筆を取ってみましょう。
大丈夫。あなたの中の「書く喜び」は、いつでも戻ってこられる場所にあります。

おまけ
今日は九成宮醴泉銘の臨書をしました。良かったらご覧になっていってくださいね。



九成宮醴泉銘(きゅうせいきゅうれいせんのめい)とは?

「九成宮醴泉銘」は、唐の名筆・欧陽詢(おうようじゅん)によって書かれた碑文で、楷書の最高傑作のひとつとされています。唐の貞観6年(632年)、太宗皇帝が避暑地である「九成宮(きゅうせいきゅう)」で発見された清らかな泉――「醴泉(れいせん)」について、その発見を祝して建てられた記念碑です。文章は当時の学者・魏徴(ぎちょう)によって撰され、書は欧陽詢が揮毫しました。


---

書の魅力と臨書の意義

「九成宮醴泉銘」の文字は、厳格で端正、かつ力強い構造美を持ち、初学者から上級者まで幅広く学ばれてきました。一字一字に緊張感と安定感が宿り、特に楷書を学ぶ上では、正しい字形・筆順・筆圧・空間のバランスなどを学ぶことができる格好の教材です。

欧陽詢の楷書は、骨格が鋭く、どの文字も引き締まっており、まさに「筋骨隆々」。彼の書風は一見硬く感じられることもありますが、臨書してみると、一画ごとの緊張感とリズム感、筆の入りや抜きの巧みさに気づかされます。


---

書家としてのひとこと

「九成宮醴泉銘」は、練習すればするほど、見れば見るほど、新しい発見がある石碑です。一見地味に見える字も、臨書することで筆づかいの妙を肌で感じることができます。派手さはないが、芯のある美しさ。楷書を丁寧に見つめなおすとき、いつもこの碑に戻ってくるような安心感があります。