8月16日、京都の夏を締めくくる伝統行事「五山の送り火」の一つである鳥居形を、広沢池まで撮影に出かけました。
午後4時半に到着すると、少し早い時間にもかかわらず池の前列はすでにほとんど場所取りが済んでおり、カメラマンさんの意気込みを感じました。
太陽は出ていなかったものの蒸し暑く、灯籠流しが始まる午後7時まで三脚を立ててじっと待つことにしました。
五山の送り火は、お盆に迎えた先祖の霊を再びあの世へ送り出すための行事で、大文字、妙・法、船形、左大文字、鳥居形の五つの火が京都の山々に点火されます。
そのうち鳥居形は、神々の世界(神域)との境界を表す鳥居を象ったもので、ご先祖様が無事にあの世へ戻られるよう祈りを込めて灯されます。
待っている間、ラジコやスマホで時間を過ごしていると、急に空が暗くなり雨が降り始めました。傘は用意していましたが、時折強く降ることもあり、撮影には厳しい条件となりました。
例年午後7時頃から始まる灯籠流しも午後7時半頃となり、この日は風がなかったためこちら側には流れてこず、急きょ池の中程から流される形となりました。
午後8時を過ぎたころ、ようやく鳥居形が点火され、暗闇の中に浮かび上がる炎が広沢池に映り込み、幻想的な雰囲気が広がりました。
雨の中ではありましたが、ご先祖様を静かにお送りすることができ、心が洗われるひとときでした。
火が消える頃には、雨もやみ放たれた灯籠も岸辺にたどり着き、無事に行事は終了しました。