5月26日、京都・一乗寺の詩仙堂を訪れました。
ちょうど庭のさつきが見頃を迎えており、新緑の瑞々しい緑に、紅や桃色の花々がふんわりと彩りを添えていました。
詩仙堂は、江戸時代初期の文人・石川丈山が隠棲のために築いた山荘です。その名は、中国の詩人三十六人の肖像を掲げた「詩仙の間」に由来し、詩を愛し、自然を敬った丈山の美意識が随所に感じられます。
庭園「丈山苑」には、丁寧に手入れされた植栽と、竹筒から響く鹿おどしの音があり、静かな時が流れています。
この日は平日だったためか人も少なく、鳥のさえずりや、「カコーン」という鹿おどしの響きが、よりいっそう心を穏やかにしてくれました。
まさに日常の喧騒から離れた静寂の世界。
ふと足を止め、丈山が見たであろう景色に思いを馳せる──そんな豊かな時間を過ごしました。