「方言」とは少し違うと思うが、愛知県の学校で使われる独特の言葉がある。

それは「放課」である。

 

「放課」は全国どこでも使われる言葉で、特に「放課後」という3文字熟語で使われることが多い。

 

でも愛知県ではこの「放課」の使い方が違う。

 

授業と授業の間の休憩時間を「放課」というのだ。

愛知県の小学校の児童はみんなこれは全国共通だと思っている。

 

中学生になり、少し鋭い子は「もしかして愛知県だけ?」と気付くが、大半の子は気付かずそのまま大人になる。

 

授業開始と同時に手を挙げて「先生、トイレ!」と言う児童がいると、「なんでちゃんと放課に行かないの!」と怒る先生もいた。

 

給食後の長い時間の休憩時間を僕が通っていた小学校では「大放課」と言っていた。

他にも「10分放課」とかいういい方もあったなあ。

 

昭和の頃は中学生になって初めて授業で英語を習い始める。

その時「after school」という単語が「放課後」と訳されることに違和感があった。

 

愛知県の子どもたちは、「『放課後』って授業中じゃない?」と思う訳である。

 

僕は大学は東京にある大学に行ったが、大学内は全国から集まってくる学生でいっぱい。
みんなに聞いてみたがやはり休み時間のことを「放課」というのは愛知県だけだった。

 

愛知県は三河と尾張に分かれ、言葉も文化も全く違うが、休み時間のことを放課というのは共通である。

 

今これを読んで、「えっ、うそだら!」(三河弁)とか「えっ、うそだがや!」(名古屋弁)と思った愛知県在住の大人はきっとたくさんいるはずである。

 

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