昔、「アメリカ横断ウルトラクイズ」というクイズ番組があった。
僕はこの番組が大好きだった。僕の中ではクイズ番組の王様だった。
何週にも渡って放映される日テレの看板番組で、最後の決勝は2人に絞られ、その決勝の地はニューヨーク。
国内の予選を終えて勝ち抜いた100人がアメリカを横断しながら各地でクイズに臨み、負けた人間は帰国していく。人がどんどん減っていくのだ。
「お金がかかる番組だなあ」と今になって思う。実際、バブル崩壊と共に番組は終わった。
第何回大会か覚えていないが、こんな演出があった。
ペーパークイズを終えた選手?たちがカリフォルニアのディズニーランドの前に集められた。
そこでテストの結果が発表されたのである。
ここで半分の人が落とされる。
司会は福留功男アナ。
「ここで運命が分かれます。半数の人には入場券を渡します。明日に備え今日は思いっきり遊んでください!」
そして次に福留さんは暗い声で言った。「残りの半数の人たち・・・。そのままバスに戻ってください」
選手から悲鳴のような声が漏れた。
そして一人ずつディズニーランドかバスの中か告げられる。
発表後の表情の明暗の違いがあまりにもすごかったのを覚えている。ディズニーランド行きを告げられた人はもう飛び上がって喜ぶのである。そしてすでに発表されたディズニー組の人と抱き合って喜ぶ。
しかしバスにUターンの人はその場に座り込んでしまう。見ていてかわいそうだった。
発表が終了し、ディズニー組は喜びを爆発させて入場していった。
そして画面は1時間後のバスの中の映像になった。もう完全にお通夜である。誰も言葉を発しない。
バスはゆっくりとアメリカの街を走っていた。
その時、急にバスが停まった。前の扉が開き、乗り込んできたのは福留さん。
「えっ?」と驚くバスの中の選手たち。
普通に考えれば、勝者たちと一緒にディズニーランドに行っているはずだ。
福留さんは場に合わない笑顔でこう言った。
「みんな、元気がないなあ。元気を出せ!」
でも選手たちは愛想笑いをする程度。でも福留さんが乗り込んできたことを不思議そうな顔で見ている。
そこで福留さんは言ったのである。
「私はさっき、ここで半数の人はディズニーへ。半数の人はバスへ戻るようにと言っただけです」
えっ、という顔で福留さんの次の言葉を待つ選手たち。
そこで福留さんは叫んだ。
「勝ったのは、キミたちだ~!!!!!」
ものすごい歓声がバスの中に湧き起こった。隣の人と抱き合いみんな泣いていた。テレビの前で僕ももらい泣きをしてしまった。
いい演出だなと思った。
そして次に映像はディズニー組に移った。実は負けていたことを告げられた敗者たちは、帰国前の最後のプレゼントとして受け取った時間を満喫していた。
楽しそうにアトラクションに乗っている姿はもう吹っ切れていて今を楽しんでいるのが伝わってきた。
あの番組、また観たいな。
お金がかからないように舞台を国内にして「日本縦断ウルトラクイズ」としてまた放映してほしいと思う。
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