東大出身の工学博士・田坂広志さんの著書が今売れている。

 

 『死は存在しない ~最先端量子科学が示す新たな仮説~ 』(光文社新書)

 

 本屋で見つけて手にした時にはすっかり忘れていたが、今年3月に開催された愛知県倫理法人会の式典に出席した時に講演をされたのが田坂さんだった。

 

 約30年前に立花隆氏が書いた『臨死体験』(文藝春秋)がベストセラーになったことがある。

 それ以前はどこか怪しい人がその手の本を書くことはあった。

 でも『臨死体験』は世間から高く評価されている人が死後の世界のことを探求する本を書いた初めての本かもしれない。

 そして『臨死体験』はベストセラーになった。


 その後、飯田史彦著『生きがいの創造』(PHP研究所)や矢作直樹著『人は死なない』(バジリコ)など、教授や医師が今では公にそういうことを語れる時代がやってきた。

 

 今回の田坂さんの本は面白い。とても分かりやすい。

 僕も何となく見えてきた死後の世界ではあったが、自分の頭の中の少し曖昧模糊とした部分を田坂さんの本は綺麗に整備していってくれた感じだ。

 

 友人の村松大輔さんが量子力学というものを著書や全国で開催しているセミナーで世間に易しく紹介してくれた。村松さんは量子力学を一般的にするのに大いに貢献した。

 今回の田坂さんの本は村松さんが広めたゼロポイントフィールドについてまた別の角度から解説している。

 

 我々は体験するために肉体を伴なってこの世界にやってきた。

 全てに意味がある。

 

 田坂さんは昔観た映画の台詞を引用して言う。

 「道端に転がっている石にもそれが存在することには大いに意味がある。すべての人間の存在、体験にもすべてに意味がある」

 

 そしてそれらの体験は宇宙生命を進化させていく一助となる。

 我々が体験したすべてのことはゼロポイントフィールドに保存されている。記憶されている。

 

 例えば1999年9月30日 22:05にあなたは何をしていたか。何を思っていたか。その時のあなたの体温や血圧、脈拍数などすべてのことが保存されている。

 

 そんな人類がかつて経験したすべての情報を保存しているゼロポイントフィールドと繋がれば我々は良い情報を取り入れて、心身ともにより健康で豊かな生活ができる。

 

 そのためには明朗に日々生きていくことが望まれる。晴れた明朗な心がゼロポイントフィールドと繋がりやすくするのだ。
 それは何となく直感と経験でわかる。

 文章を書く時のネタは心が明朗な時によく降りてくる。朝の時間は特にそうだ。

 

 講演の最後にも田坂さんはこう言っていた。

 「祈りは大切です」

 この本を読むとその意味も深みを増す。

 20年前、30年前だとなかなか受け入れられない本だったかもしれないけど、今はそんなことはない。

 やはり我々が日々いろんな体験をすることで宇宙意識は確実に進化していっている。

 

 田坂さんは30歳くらいまで唯物主義者だったらしい。なので田坂さんは田坂さんの話を一笑に付す彼らのこともとても好意的に捉えているその姿勢にも感心する。

 

 以前僕は唯物主義者のおっさんから「この世は目に見えているものしかない。死んだらもう何もない。魂とかなんとか言っている奴は頭がおかしい」と言われたことがある。

 

 「死んだ時にすべてが分かって恥を掻くのはあんただからもうその辺でやめておけ」と僕は言った。

 

 でも仮にここが唯物の世界だとしても(それは今や「科学的に」ありえないレベルなのだが)、それは死ねば分かることなので、そんなことに囚われず僕は今日も明朗に生き、上機嫌で笑顔を振りまいて世界平和に1ミリ貢献しようと思う。