何も要らない1 | 1年だけ先輩。(基本お山)

1年だけ先輩。(基本お山)

やま。いちご。そうぶせん。

理解した方だけしか読まないでください(笑)
ごにんに心奪われ続け、眠る身体も起き出す状態です。

脳内妄想を吐き出す場として利用しようかなと思ってます。
ご気分害されたらごめんなさい。
※主軸は21です!

※妄想のお話です。

こんにちはor初めまして!
タカです。
待ちに待った山の日ですね♡
何とか間に合った…か?
隙を見て少しずつ上げていきますが間に合わなければごめんなさい。

今年は…舞賀にしてみました\(^o^)/!
例の如くあんま明るく楽しくないけどごめんなさーい!(笑)














「花火?」


「おう。たまにはいいだろ。」


日焼けした逞しい腕によりガサリと置かれた袋から見えているのは、5人でやるには多すぎる量の花火達。


草引きをしていた手をぱぱっと払って中身を確認する。


うん、やっぱどう見ても5人には多い。


「…ひと夏分?」


「まさか!なぁさぶ?」


「まさか過ぎる!1時間も持たないよっ!!」


「…一郎くんとさぶを買い物に行かせたのは失敗だったよ…。結果食材無しでケーキと花火だけでおつり数百円とか……。」


俺ががっくり項垂れると、縁側で悠々とゲームをしていた四郎がケラケラ笑う。(因みに草引きは罰ゲームだから四郎のその態度に俺が怒る権利はない。)


「だから言ったでしょう、お金は少なめに渡すべきだって。」


「だって諭吉先生しかなかったんだもん。」


「貸してあげようって言ったのに。」


「お前10分ごとに利子とんじゃねーか!!」


「当たり前でしょ、家族だからってそこはね。それが嫌なら近くのコンビニで両替してでも英世にすべきでしたね。」


「そうだけどぉ~」


「言っときますけど食費として落ちませんからね。それ次郎さんの給料から天引きね。」


くっそ、腹立つ!


四郎の口先は何故こうも回るんだよ!!



そもそも一郎くんが夕飯の買い物に行くって言うから金渡したのに。


家計簿をつけてるのは四郎。


転勤中の親父が入れてくれる少ない金だけでは男5人の食い扶持としては足りないから、家計を回してんのは商社で働く俺とイラストレーターの一郎くんのお金。


今月は一郎くんが少なかったから俺が多め。


そんな風に俺ら5人は暮らしているわけで。


…まぁ別に、金のことはいいんだけど。


それより何より。


「…俺腹ペコなんですけど…。」


その為の買い物のはずだったのに!


ぐうう~っと鳴る腹を押さえて、へなへなと座り込む。


「ひゃはは!じろちゃん超フラフラ!」


「誰のせいで…(泣)」


「まぁそんなこったろうと思ってね、ちゃんと用意してありますよ。」


「え!四郎様!!飯作ってくれたの?!」


「まさか。私はゲームで忙しかったんで。私じゃなくて…」


「皆ー、ご飯出来たよー!」


ひょこっと縁側にエプロン姿で顔を見せたのは、我らが誇る末っ子!


「五郎様!愛してる!!!!」


歓喜のあまり抱きつこうとすると、


「きたねぇ触んな。手洗ってこい!」


…我が弟ながらどぎついお返事。


四郎と双子の中学三年生、まだまだ反抗期真っ只中だ。


何だかんだ可愛いとこいっぱいあるんだけどね。


しかし確かに草引きしてたから汗だくの泥だらけだから何も言えねー。


「へーい…」


頭に巻いていたタオルをとり、顔をガサガサと乱暴に拭く。


「ダメだよ、じろ。貸してみ。」


タオルを奪い優しく顔の汗を拭ってくれる一郎くんの顔の近さにドキッとする。


「イケメンが台無しになんぞ。」


ほら、そういうことを容易に言う。


あなたという人は。


「…いいよ、俺がやるから。」


「え、でも…」



「いいってば!」



バッと腕を払うと、一郎くんの顔は少し寂しそうになって、その後ニコッと笑う。


「んじゃ、優しく拭けよな!お前乱暴だから!お肌が傷んじゃうワヨ♡」


「くふふ、いっちゃんかーわいー♡」


「やだぁ、さぶちゃんこそー♡」


キャッキャと癒し担当の2人が家の中へ戻っていく。


「………。」


俯いて小さく溜息をつく。


またやっちまった。


やっぱり、もう限界なんだ。


俺は……。



「じろーさんって」


突然の声に顔を上げる。


そうだ、縁側に四郎がいたんだった。


忘れてた。


「勉強出来るのに馬鹿ですよね。」


よいしょ、と立ち上がり、四郎は行ってしまった。


ぎゅっと拳を握る。



だって。


仕方ねぇじゃん。


俺は、一郎くんを。


だから、もうすぐこの家を──。



ぐうう~っ。



「…入ろ。」


1人取り残された庭は、草抜きをしたせいか、いやに広く見えた。