「おめでとう、2人とも。」
次の優しい声に目を向けると、
「…相葉ちゃんの…お母さん…お父さん…」
まさかの人もいて……。
「おじちゃん、おばちゃん!この子が相葉ちゃんの運命の相手だよ!」
智がニコニコと俺を紹介するから、慌てて頭を下げる。
「…ご挨拶もせず、こんな…!すみません、俺、雅紀さんと…!お、男なのに…孫も見せられないのに…っ」
「ふふ、バカねぇ。そんなのどうだっていいのよ。」
お母さんがくしゃりと笑う。
「雅紀が選んだ人と、幸せに生きてくのを見られるなんて夢みたい。よく分からないけど、うちの自慢の息子はずっと探してた子を意地で見つけたのね?さすが私達の子!
諦めずに雅紀を待っててくれてありがとう。雅紀を…愛してくれてありがとう。これからもあの馬鹿だけど真っ直ぐな子をよろしくね。」
「…これから、よろしくね。カズはこれから、俺らの家族だ。」
照れくさそうな笑顔に、思わず頬を涙が伝う。
家族が出来ることが、こんなにも嬉しいなんて。
好きな人と一緒になれることだけじゃない。
認めてもらえること。
家族の一員として迎えてもらえること。
こんな幸せがくるなんて。
俺、これっぽっちだって考えたこともなかったのに。
「…おめでと。」
風間。
の、泣きそうな顔を見た瞬間、ぶわっとダムが決壊する。
ダメだよ、ねえ。
もうこれ以上泣きたくないのに。
「誕生日は、お前もだろ…っ!なのに何で俺ばっか…!」
お前が見つけてくれなかったら。
お前が気付いてくれなかったら…。
きっと相葉ちゃんと再会するのはもう少し時間がかかったし、お前とも距離のあるままだったかもしれない。
今考えたって、奇跡が奇跡を繋いでくれてた。
そのきっかけは、間違いなくお前だったよ。
「…だから、でしょ。親友達の最高の笑顔っていうプレゼント、俺に頂戴よ。」
なんだよそれ。
風間のくせに、セリフがくせぇんだよ!
風間が優しく笑って。
智がふわりとそれに応えるように笑顔をうかべる。
「ありがと、風間。…松本さんと幸せにね。」
「っ!!き、聞いたの?うわーもう…後でちゃんと言おうと思ったのに…ていうか智松本さん知ってんの?」
「んーん、知らない!んふふ…おいら達皆、まさかの男の人と…だね(笑)」
「…ホントだね。あ~…色々教えてよ。その…付き合い方、みたいなの。」
恥ずかしそうに頬を染める風間に、「こっちこそ、見てらんねーわ。」と仕返ししてやった。
花びらのシャワーの先には、同じく白のタキシードに身を包んだ相葉ちゃんと櫻井さんが立っていて。
自分の結婚相手に、こんなこと言うもんじゃないけど
どっからどう見ても、王子様…みたいな。
思わず見とれてしまう。
「智。」
「カズ!」
2人が俺らに向かって手を伸ばす。
じいちゃんが俺らの背中をそっと押す。
「…手のかかる孫2人。泣かせたらわしが殴りに行くからな。」
相葉ちゃんと櫻井さんが顔を見合せ、こくりと力強く頷く。
「必ず、幸せにします。」
「約束するよ、じーちゃん!」
「…ほら、行ってこい。」
じいちゃんに促され、それぞれ手を伸ばす。
そっと握られた掌。
その温度は、あったかくて、少しだけ湿ってる。
生まれる拍手。
突き抜ける青空。
舞う色とりどりの花びら。
大好きでたまらない人に手を取られ
隣には、智の笑顔……。
しつこいのは百も承知なんだよ?
わかってるんだけど省けないんだよ~ヽ(;▽;)ノ