「酒はこんなもんで…えーっと、何観る?」
テレビ横にあるDVDやBluRayが整頓されている棚を、松本が漁る。
「記念ライブとか?アラフェス的な」
「ねえっ、あれ観ようよ!」
櫻井がすかさず提案するも、相葉の明るい声がそれを自然に否定する。
「ほら、あの散々だった時の~…」
「ああ、あれね?」
松本がクク…と笑いを堪えながらツアー名を口にする。
「それ!」
「「「勘弁して…」」」
大野、櫻井、二宮が項垂れるも、松本は笑いながら既にそのBluRayをセットしようとしている。
「つーか何でお前はJサイドで楽しんでんだよ!恥ずかしいやめて~の方だろ!!」
「えー?だって、俺にとってこれこそ記念だもん!」
「ほんと馬鹿なんだけどこの人。」
くふくふ笑う相葉に、二宮が溜息をつきながら笑う。
『J Storm!!』
画面から流れる音に五人の背筋はぴしりと伸びる。
「この音、でかいよね?」
「ほんとそれ。マジ慣れねー。」
クスクス笑いながら持ち寄った料理を開ける。
「このアナゴ、松潤のね!」
「あ、ありがとうございます(笑)この感じ前にもあったな、確かuntitledの特典映像(笑)」
「Jしか食べちゃダメだから。J専用だから。」
「え~俺もアナゴ食べたい…」
「ダメ、絶対ダメよ?おじさんはそこのタルタルソースでもねぶってなさい。」
「くははっwタルタルソースねぶるってwww」
「いや皆で食べようよ(笑)」
松本がリモコンを操作し、再生する。
大きな画面が暗闇になり、OPの演出が始まる。
「…あの日」
相葉が目尻に皺を寄せる。
「酷かったね。俺ら全員。」
全員が、同じ日に思いを馳せる。
「…カメラ入ってない日でマジで良かった。(笑)」
櫻井が苦笑し、うんうんと皆頷く。
テレビで流れるそれとは異なる日だが、演出が同じライブの内容が流れている。
「俺は完全なる被害者なんだけど。」
松本が不服そうに唇を尖らせる。
「いやいや、言うて俺も被害者だぞ?」
大野がタルタルソースをスプーンで掬い、口に運ぶ。
「…相変わらずうめっ」
「くはは、智くん本当にねぶってんじゃん!(笑)」
櫻井が笑いながら大野の唇の端についたタルタルソースを拭う。
「アンタ達がもたもたしてるからでしょ。助け舟出してあげたんじゃん。」
「ほんでも、あんな無理矢理なん普通するかぁ?」
「何よ、現状不服なわけ?翔さん、満足させられてないんじゃないの?」
からかうような二宮の言い方に、櫻井はえっと驚く。
「足りない?嘘?俺結構智くんの負担考えて我慢してたんだけど…増やす?あ、それとも時間長くする?でも毎回腰 砕けになってトロットロ な顔で『もぉむりぃ』って…」
「うるせぇっ!黙れバカしょぉ!!」
「くふふ、痴話喧嘩はおうちでしてくれるー?」
相葉がニコニコと二宮の肩を抱く。
二宮はうざったそうにそれを払うも、またすぐに戻る手に二度目の拒否はしない。
「マジでビビったからね。リーダーに電話しても出ないから部屋行ってノックしても出なくて…倒れてんじゃねーかと思ってマネにマスターキー借りてもらって入ったら、風呂場で翔さんとリーダーがまぐわってて。」
「ふはっ!まぐわるってww」
櫻井が腹を抱えて笑うも、松本は無視して続ける。
「で、動揺しすぎて自分の部屋と間違えてニノの部屋にマスターキーで入ったら…」
「俺がにのちゃんと超濃厚えっ ちしてた!」
「誰が超濃厚だ!!」
二宮が今度こそ強く相葉の手を振り払う。
「翌朝はリーダー泣き腫らした目してるし、ケツ気にしまくるし、翔さんは辛そうな顔で終始リーダーのこと見てて挙動不審で…
ニノは平気なフリしながらチラッチラ上二人見てるし、そんなニノを相葉くんが優しく見守ってるのに切ない顔っつーか…はーーーマジであん時微妙な空気だった!俺蚊帳の外だしさぁ!」
「「「「ごめん(笑)」」」」
「おかげで最終日俺まで寝不足。しかも一人寂しく。更には何故か俺が一番ミスってんの。意味わかんねぇ!」
「「「「ごめんってば(笑)」」」」
噴き出す4人に釣られ、松本も破顔する。
「あれから…色々あったね。」
「そうだねぇ。」
相葉と大野がしみじみ頷き合う。
「全てのきっかけは…こいつ!」
ドン、と櫻井の手でテーブルに置き直されたのは、藍色の『凛』。
すると、え?と松本が首を傾げる。
「何でこの酒が?」
「ニノがね、おーちゃんのとこと俺のとこに差し入れしたところから色々始まったんだよ。だからぜーんぶこのお酒がきっかけなの!ショアクノコンゲン!」
「え…?」
二宮は、くくく…と左手で口を覆う。
「ニノ、何笑ってんの?」
櫻井が不思議そうに覗き込むと、二宮がこほんと咳払いをする。
「それね。元々潤くんの差し入れなのよ。」
「「「えっ!?!!」」」
3人の視線が一斉に松本に注がれる。
「え、いや待てよ!俺別に関係ねーじゃん!」
慌てて取り繕う松本を無視し、二宮は続ける。
「『凛』がきっかけ。間違いないよ。だってビールに薬混ぜるの無理でしょ、どう考えたってさ。缶には無理よ、いくら器用な俺でも。
ということはだよ?『被害者だ』とか言ってひとり関係ないみたいな顔してたけど、元を正せば諸悪の根源は潤くんなわけだ(笑)」
ニヤニヤ屁理屈を並べ立てる二宮に、松本は動揺しながら否定する。
「か、関係ねーだろ!普通に買ってきた酒注ぐ時に薬入れりゃいいだけで」
「あーっ、言いましたね、言いましたよね?聞いたね皆?この人普通に薬入れるアドバイスしてたね?」
「ちょっ」
「やっぱそういう思考が根底にあるってことだよ、だからこの酒もそういう風に意志を継いだのよ、絶対そうだわあーーヤラレタ、俺も潤くんの操り人形だったんだー。コワーーー。」
「意志を継いだwww」
櫻井が笑い、相葉と大野も釣られて笑う。
「んふふ…まつじゅんもグルだったんだ(笑)」
「おい大野さん?!ちげー、何だこの流れ!(笑)」
「くふふ、もう皆共犯だね!みんな悪くてみんな良い!」
「金子みすゞみたいに言うな!」
5人の笑い声は、テレビから流れる歓声や歌声をかき消すほど大きなもの。
テーブルの中央には藍色の酒瓶、『凛』。
そしてその下では、大野と櫻井、そして相葉と二宮の手がしっかりと繋がれている。
嘘と言い訳の中で咲いた一夜の夢は、今日も枯れることなく優しく育まれている。
5人という強靭な絆の中で。
END
というわけで~…
お誕生日おめでとうございます!♡
可愛いお山イラスト描いてらっしゃる方です!
いつも癒しをありがとうございます♡(*^^*)
リクエスト頂いたのとだいぶ違う感じになったことは
重々承知しており反省しております…
微妙な話でごめんなさい…
その上ノロノロ亀更新で本当にすみませんでした…
超絶遅くなってすみません…ヽ(;▽;)ノ
素敵な1年をお過ごしください♡