「…大野さん、あんまりアイツに近付いちゃダメですよ。」
キッチンへ戻り、皿洗いを隣で手伝いながら忠告する。
「え?どうしてです?」
「…男は狼なんですよ。大野さんが思ってる以上に、大野さんは狙われてますから。」
ストーカーの件もあるし、ぽけっとしてるこの性格が怖い。
小栗さんは男だけど…何かこの人に関しては性別とか関係ない気がしてきた。
何となく。
「くふふ、翔ちゃんだってオトコじゃん~!」
机を拭いていた自称おそーじ当番の雅紀がビシッと俺を指さす。
「翔くんオオカミなの?ボクらたべちゃう?」
潤が怯えて和の背中に隠れる。
「甥っ子を喰うとかやめてくださいよ?あーコワ…きんしんそーかんですからね?」
「あ、アホか!俺はちげぇわ!!つーか、き、近親相 姦とか言うな!!」
和の性教育どうなってんだよ姉貴!!!
「んふふ、」
大野さんが肩を震わせて笑う。
「…おいらだって男だよ?皆のこと食べちゃうかもよ♪」
がおーっと指を曲げて肉食獣の真似をする大野さんは控えめに言ってめちゃくちゃ可愛い。
こんなん女子がやってたらあやうくキュンとするやつな。
「そしたらボクらもおとこのこだよ!」
「ハッ!てことは…俺もにゃんにゃんがおー?」
雅紀が同じように肉食獣のポーズをとる。
どういうことだよ。
にゃんにゃんてなんだよ。
「じゃぁ、ボクらもオオカミなの?」
「…そうかも(笑)皆オオカミだ!(笑)」
大野さんが笑うと、3人は嬉しそうに顔を見合わせる。
「「「智(さとちゃん)をたべたい!」」」
「食べんなッ!!!!!!」
食い気味で制した。
「んふふ、ほんとに食べられないから大丈夫ですよ?(笑)」
分かってる、分かってるよ冗談で言ってることくらい!
子どもなんだし!
だけど、なんつーか
よく分からない謎の悪寒がしたんだよ……
和辺りから………。
アイツらの風呂は今日も大野さんが入れてくれた。
俺がいる時はなるべく自分で世話しようと思ってたけど…正直子ども3人との風呂はすげー疲れるからありがたい。
『翔ちゃんもはいろーよー!』とは言われたものの、流石に断った。
うちの風呂結構広いから、入れないことはないんだけど…
ちょっと、ねぇ?
家政夫さんと入るのって、どうなの?って感じじゃん??
4人が風呂入ってる間、俺はコンビニまで酒を買いに行った。
その短い距離で逆ナンされ、コンビニ前で少し一緒に飲むも…勿論何の反応もないし興味すら湧かない。
すげー露出してるし胸当ててくるのに…息子は完全に無反応。
早々に切り上げて家に帰ると、子どもたちはもう寝たらしく、大野さんがまたリビングで待っていた。
…待っていようとしてくれていた、と言うのが正しいかもしれない。
ダイニングテーブルに突っ伏して寝ている。
今日は1日買い物で出かけて朝も夜も飯作ってくれて、風呂入れてくれて。
クタクタに疲れたんだろう。
「…待たなくていいって言ってるのに…。」
風呂上がりで髪の毛は少し濡れていて、いつもと印象が全然違う。
幼い優しい顔は、鼻が通っておりまつ毛も長く、どちらかと言うと美しい創りだ。
指なんてスラッとしてて。
肌もすげー綺麗。
すー、すー、と静かな寝息と共に肩が上下する。
「…風邪引きますよ…。」
目にかかった前髪にそっと手を伸ばす。
「ん……。」
小さく聞こえる大野さんのか細い声。
あー…
抱 きてぇな…………………。
…………………………………
はっ???
誰が?誰を?なんで???
いや、え、は?
大野さんの寝顔見ながら何考えた???
あの日から。
一度も人にムラッとこなかったこの俺が。
10も年下の男の寝顔で、抱きたいだって??????
んな馬鹿な!!!!
いやいやいやいやいやいや。
落ち着けよ俺。
よく考えろ。
大野さんにはつくもんついてんだぞ。
竿も!タマも!!毛も!!!!
そんな大野さんとどうこうとか……
『翔くん…おいらと…シ たい?』
シっ……………………!!!!!!!
何だ今の妄想~~~~~~~~っ!!?!!
小首傾げて肩半分出して服はだけてて!!
潤んだ瞳で、紅い唇で!!!!!
んなこと言うか~!!!!!
って、
ザワザワザワっ。
ズクズクズクっ。
シャキーーーーーーン!
ク……
クララが完全に勃 った~~~~~~~!!!?!!??!?
(ショーはどうした)
ご無沙汰しております完全体の俺…!!!!
(オナ る時はほら、俺の手ありきだから!)
ほんと俺の身体どうしちゃったの?!
どんないい女に触られてもフェ ラ されても挟まれても反応しなかったくせに何故男の寝顔でこんなことになるんだよ?!
やばい、あまりに長いこと欲 情しない生活だったから感覚がズレたとか?!
ううう、猛烈にまずい…早く治さなければ…
明日病院行くから丁度いい…。
大野さんに声を掛けて起こし、そそくさと風呂場に向かった。
そして風呂場では…
「はぁ………、くっ……!」
どぴゅ。
どくん、どくん、どくん……。
はぁ、はぁ、はぁ……。
…最悪だ…
……大野さんのこと考えて、ヌ いてしまった……。