僕たちの道4 | 1年だけ先輩。(基本お山)

1年だけ先輩。(基本お山)

やま。いちご。そうぶせん。

理解した方だけしか読まないでください(笑)
ごにんに心奪われ続け、眠る身体も起き出す状態です。

脳内妄想を吐き出す場として利用しようかなと思ってます。
ご気分害されたらごめんなさい。
※主軸は21です!

※妄想のお話です。

大野さんのファンは…特に多種多様で。
たまに自分がその一部であることにどん底まで悲しくなります。
好きな人の好きな人を傷付けないで~と言いたい(´;ω;`)
アンリーのアンチです。
アンリーさんは本当にごめんなさい。
私は、仲良くできません……。

という、ひとりごとです、すみません!
ここの人は全く関係ないです!!ほんとに!!!
大好きなブロガーさんが嫌な気持ちになってたから悲しくなっちゃった(´;ω;`)









「なのに…2人とも『翔くん』が大好きなんだ?(笑)」


「うん!だいすき!」


潤の明るい声が響く。


「ま、彼なりにいっしょーけんめーやってくれてますから?そーゆードリョクはくんであげてます。」


「あはは、和くんは難しい言葉たくさん知ってるねぇ。」


「和はねー翔くんみたいになりたくてたくさんおべんきょうを…」


「バカ潤、ないしょだっつったろ!!てゆーか潤こそ!すきなひとは翔ちゃんのくせに!」


「わ~~~~!!!絶対ないしょって言ったじゃん!!!今は別にちがうしっ!む、ムカシのことだし!和のばかばかばかばか!!!」


「んふふふ、潤くんも和くんも、すーっごい大好きなんだね!」


「「…うん!ナイショね!」」



何だ、それ。


毎日俺の事馬鹿にするくせに。


そんなん、聞いてねーよ。


俺みたいになりたい?


つーか、初恋?


俺男だぞ?


何バカなこと言ってんだよ。


いや、去年「翔くんはだれにもあげないよ」とか言ってたけど。


あれそういう意味だったのか。


そんで、何を見知らぬ奴にペラペラ本音ぶちまけてくれてんだよ。


言えよ。


俺に。


何なんだよお前ら。


…分かりにくいんだよっ!!



「じゃぁ、簡単だよ。」


家主の声が優しく響く。


「その…『翔くん』に、一緒にいたいって言えばいいんだよ。」


「…メイワクじゃないかな?そんなこと言って…」


「翔ちゃん、あそびにも行けないし朝もへたくそなおべんとー作ってたいへんそうだし…」


「何するのも、翔くん、いっぱいいっぱいってかんじなんだもん…。」


「ヨユーないよね…」


「ね…」


…はい。


さーせん。


その通りです。


5歳児にこんな気を遣われる俺って一体…。



「大好きなら、まずは自分の気持ち伝えよう?相手がどうとか、そんな難しいことは考えずに。それから考えればいいじゃん。『翔くん』と一緒に、ね!」



大好きなら、まずは自分の気持ちを…。


そうだ…俺は


俺の本当の気持ち、ちゃんと言ってなかった


アイツらの本当の気持ち、ちゃんと聞いてなかった……。



「翔ちゃん、どっか いたい?ハンカチいる?」


雅紀がオロオロとハンカチを差し出す。


子ども達のハンカチなんて気が回らず、何日も入っていたであろうぐちゃぐちゃなやつ。


雅紀のお気に入りの不気味な唐揚げキャラクターのハンカチは、皺だらけでゴワゴワで涙を拭うには到底向いていない。


いや、それどころか若干泥がついていて手すら拭くのも微妙だ。


そんなことにも気付けない。


俺は保護者としては失格だ。



だけど…。



「ふっ…ははっ、ふはははは…っ」


「翔ちゃん…だ、だいじょーぶ…?何で泣きながら笑ってんの?!キモいよ!」


「…馬鹿だなって思って。俺はとんだ大馬鹿野郎だよ!ったく!!くははは…!」


「ちょ…翔ちゃん~!!?怖い~っ!!」



雅紀の叫びに、えっ?!と言う声と共にバタバタと足音が聞こえ、ガチャリとドアが開く。


漏れる部屋からの光を背に、先程散々探し回った2人の顔が現れる。


「しょ…翔ちゃん、雅紀…?!」


「何でここに…って、」



「「コワっ!!!」」



そらそーだ。


大の大人が涙を流しながら笑ってるんだから。



「…和、潤。誤解させて悪かった。俺…仕事終わんの遅いし、弁当も上手く作れねーし、料理も掃除も洗濯も苦手なんだよ。


だからお前らに嫌な思いさせる位なら、って。そう思って施設のことを提案しただけなんだ。俺が嫌とかそんなんじゃない。」


和と潤が驚いて顔を見合わせる。


その場でしゃがみ、2人に目線を合わせる。



「俺、お前らのかーちゃんが帰ってくるまで、親代わり…しても良いか?迷惑かけると思うけど…お前らと、一緒に居たいんだ。もう少し、頑張ってみたい。」



2人はじわりと涙を滲ませる。


しかしボロリと涙を落としたのは、潤だけ。


「いいの?ボクらがいてジャマになんない…?きらいじゃない…?」


「嫌いなわけあるか!お前らはクソ生意気でうるさくて鬱陶しいけど、可愛くて堪らない愛する甥っ子達なんだから!!」


潤がわっと駆け寄ってきて、俺にしがみつく。


よろけたけど、何とかキャッチする。


「…そんだけ言うなら、いてあげてもいーですよ?」


ぷいとそっぽを向く和も、よく見りゃ耳が真っ赤でおかしくって。


「ん。和も…おいで?」


片手で潤を抱いて、もう片手を広げて促すと…おずおずと歩み寄って俺の腕の中に収まる天邪鬼の5歳児。


「翔ちゃん!和!!潤!!!よかったねえ~~~兄ちゃん心配したよ~~っ!!!」


「っ、ぶね!」


雅紀も俺の背中から飛び付いた。



ああ、もう!


最初からこうしてりゃ良かった!


上手く出来ねぇけど一緒にいたいって。


そんな簡単で一番大切なことを言えなかった。


涙は零れるけど、拭う手はコイツらに使ってしまっている。


けど、今はそれでもいいかな、なんて。


プライドとか人目なんてさ、もういいよ。


コイツらのが断然大事だよ。



だからさ、姉貴。


やっぱ、安心してムショ生活楽しめよ。


俺は、保護者には絶望的に向いてない。


だけど


きっとお互いマジでっかい愛情は持ってる。


それだけじゃどうにもならないことは多いけど


一番大切なのって、多分それだ。


俺がこいつらを…しっかり面倒見てやるから!!



ぐううぅぅ~っ…



感動的な場面を間抜けに引き裂いたのは、腹の音。


…俺と雅紀の。


「翔ちゃん…おなかすいた…」


「あ、わり…弁当また買わなきゃ…」


言いかけたところで、視界に影が出来る。


見上げると…中性的な青年が俺の前に立っていて、例の家主だとやっと気付く。


…女、じゃないよな?


ってくらい、綺麗な顔。


あんま周りにいないタイプかも。



「良かったら、食べてきますか?残り物ですけど、今日は作り置きしようと思ってたくさん作ってたんです。」


「えー!いーの?!俺腹ぺこなのー!」


「コラ雅紀!いえ、もう…」


ふにゃりと柔らかく笑う青年に、これ以上迷惑をかける訳には…と断ろうとすると、


「ぐぅぅぅぅ………。」


腹の音が再度、主張激しめに返事をする。


そう、さっきからすげーいい匂いがしてたんだ。


「んふふ、どーぞ。」


男は右手を部屋へと差し向ける。


れ、礼もまともに言ってないのに…恥ずかしい。


しかもどう見ても歳下だし。


「お口に合うかどうかは別ですけど。」


「「カレーだよ!めっちゃおいしいの!」」


和と潤が満面の笑みでハモり、雅紀の手を引く。


「やったー!カレー大好きー!」


「げえっ?!こいつら保護して頂いた上飯まで頂いてたんですか…?すみません!!こんな小さい子ども2人も…大変なご迷惑を」


「いえいえ。おいらチャイルドマインダーの資格とったばっかだし、楽しかったですよ。」


「チャイルドマインダー…?」


「子どものお世話するのに知っておきたい最低限の知識です。」


「へえ…俺、そんな資格があることすら知らなかった。俺子どものこと全然わかんねーし元々そんな好きじゃないからな…」


そうなんですか?とクスクス笑う男は、さらりと髪をなびかせる。



「おいらは…大好きなんです。」



ドキンッ。




………ん?


どきんっ?


何が???



そんなこと話してる間に奴らは既に家の中に入ってしまった。


「いただきまーす!」と雅紀の声が聞こえてくる。


「「智、翔ちゃん(くん)、はやくー!」」


「智?さとちゃんだ!さとちゃーん!」


「んふふ、はいはーい(笑)」


さと…って、名前呼び捨てかよ!?


「どあーっすみません!あいつら…!」


「ふふ。可愛くて癒されてました!…あ、おいら、大野智です。」


「あ、俺は…櫻井翔です。」


差し出された右手を握り返す。



スラリと細く長い指は、やっぱり女みたいで。


何故だが、血の奥の奥の方がざわりとした。