No control164 | 1年だけ先輩。(基本お山)

1年だけ先輩。(基本お山)

やま。いちご。そうぶせん。

理解した方だけしか読まないでください(笑)
ごにんに心奪われ続け、眠る身体も起き出す状態です。

脳内妄想を吐き出す場として利用しようかなと思ってます。
ご気分害されたらごめんなさい。
※主軸は21です!

※妄想のお話です。

お待たせしました、オメガバースのお時間です~!
164話だって(笑)
なが(笑)
さっさとこれ終わらせようかな、と思い立ちました。
まだ終わりは見えてないけどなるべく進めていきたいなぁ。。
そろそろ中途半端なもの片付けないと。。














【Side 大野】


「おはようございます。約束、守りました?」


「…っ、松潤!お、おはよう。」


会社に着く前に、松潤に会った。


反射的に項を隠す。


松潤がその手を無遠慮に退けて、ワイシャツの後ろ襟を引っ張って中を確認してくる。


「ちょ、やめ!」


「…うん、ちゃんと噛まれましたね?偉い偉い。」


満足そうに松潤が笑って、あまりの恥ずかしさに真っ赤になる。


なんか、むず痒い。


そんな…優しい笑顔。


「櫻井さんは?」


「今日は帰社してるから来ないって。」


朝イチ上司から連絡があり、櫻井さんの携わったシステムでエラーがあったらしく、今日は急遽自社に出社することになったのだ。


何日かかるか分からないって落ち込んでた。


「そっか、あの人…クク…気が気じゃないでしょうね(笑)」


「そう…なのかな?」


「そりゃそうでしょ(笑)」


まぁ…確かに、何かあったらすぐに電話しろとかめっちゃ言われたけど…


番になったんだからもう大丈夫じゃん、って思うんだけどね。


「で、松潤!その…えーっと……ありがとうっ!!」


頭を下げると、松潤が「えっ」と声を上げる。


「何ですか、急に?」


「…松潤のおかげだから…。」


「…何言ってんですか。あなたが頑張ったからでしょ。」


「俺は何も…」


「もうこれ以上謙遜したらそろそろ殴りますよ?」


ぐっと握った拳を目線まで上げられ、慌てて口を手で押さえる。


「ははっ、冗談ですよ(笑)とにかく…やっとですね。これで安心です。」


「…ありがとね。ずっと…守ってくれて…。」


「いえ。自分の意思でやったことですから。まぁ、番になったとは言え好奇の目で見てくる輩は必ず居ますからね。…負けないで。」


「…うん。ありがとう。頑張るね。」


「大野さーーーーーーーんっ!!!」


「ぅわっ?!」


突然後ろから衝撃があったから驚いて振り返ると、侑李で。


「おはよーございまーす、今日もカッコイイっすね♡…あれ?雰囲気違い…嘘…まさかほんとに…」


「ご名答。残念だったねー。」


松潤がニヤリって笑って俺の後ろ襟を引っ張る。


「……っ!!!さ、櫻井さん…!!!…うっ……うわぁぁぁぁぁぁあぁあぁぁあぁぁん!!!!!!」


「あっ…挨拶もできなかった…」


嵐のように走り去る侑李に何も声をかけられずに固まっていると、松潤が肩を竦める。


「…ま、こういうことも含めて恋愛ですからね。」


「…そう?よく分かんないけど、まぁいっか。」


いいのかよ!と松潤がケラケラ笑った。



昼休み。


櫻井さんから電話が入り、空いた会議室に慌てて入る。


何となく…フロアの一番奥。


『大丈夫ですか?!』


開口一番それだ。


思わず苦笑する。


「大丈夫だよ(笑)…もう、櫻井さんのものだしね?」


そっとワイシャツの上から番の印を触れる。


何でだろう、じわりとあったかくなる気がする。


…声を聴いてるからかな?


『はぁ…昨日の夜1回しかさせてくれなかったから…』


「ば、バカ!それが普通でしょ!」


『大野さん、なめてますね?俺の性 欲。大野さん相手だとほんと留まることを知らないんですから。今も声聞いてるだけでウズウズ…』


「な、な、何言ってんの!会社でしょ!」


『仕方ないでしょ、いつだってあなたのこと考えてるんだから…』


その時、電話口の後ろから、櫻井!と大きな声が聞こえる。


『はい、今行きます!…あーぁ、折角隙を見つけて電話したのに…』


「…大丈夫?ご飯、食べてないんじゃないの…?」


『大野さんの声聞いたんで大丈夫です!…分かってますね?何かあったら必ず連絡してくださいよ?』


「もぉ…ちゃんと隙見つけたら食べてね?でも、ありがと。…翔、くん…。」


『……っ!』


「じゃ、じゃぁね!」


櫻井さんの反応を待たず、慌てて切る。


不意に名前を呼んでしまってほっぺた沸騰しそう!


自分でわかるくらい熱い!!


はぁ…恥ずかしい。


櫻井さんと繋がっていた携帯を胸で抱き締める。


「俺、こんな浮かれてて大丈夫かな…」


その携帯を椅子に置いてあったジャケットのポケットに仕舞い、ふと気付いて部屋奥のホワイトボードへと歩みを進める。


前の会議の跡。


誰かが消すのが普通なんだけど、昼休みに入ってしまって消し忘れたんだろう。


午前会議にはよくあることだ。


『ヒートを知ることから』


『アルファやベータへの利点と理解』


『オメガ専用フロアの安全性を高めるために』


並ぶ優しい言葉に、頬が緩む。


今朝は部長会議があったから出れなかったけど、ヒートフロアの企画は企画推進部が粛々と進めてくれている。


まぁくんの想いが、形になっていく。


優しい人達の手で繋がれた企画は…きっと成功する。



計画は順調で。


好きな人と両想いで、恋人で、婚約者で。


番にしてもらって、もうヒートに振り回されることもなくて…。


幸せ、だ。


両手に余る位の幸せを感じる。



だったら…


俺がすべきことを、全力で取り組むしかない。


まぁくんの夢を…計画を、滞りなく遂行すること。


皆の抱える属性の差別を取っ払う足掛かりになること。


そして…櫻井さんのご両親にお許しを貰うこと。



ガチャリ、突然ドアが開く。


「大野さん…やっと見つけた。」



ああ、あと一つ…あった。



「…君は、備品管理部の…」


ぞろぞろと入ってきたのは、俺がオメガだとバレた時に襲い掛かろうとしたメンツ。


アルファ3人、恰幅の良いベータ1人。


パタンとドアが閉まる。


ガチャリ、冷たい鍵の音。


「誰にも邪魔されないタイミング…探してたんです。櫻井さんが居ない絶好のチャンスですから。」


ドクン、心臓が大きく跳ね、


こめかみをつぅと嫌な汗が流れる。



…そう、俺には


もう一つしなくちゃいけないことがある。



それは


この会社の人達全員に、認めてもらうこと。