「遅いよ。」53 | 1年だけ先輩。(基本お山)

1年だけ先輩。(基本お山)

やま。いちご。そうぶせん。

理解した方だけしか読まないでください(笑)
ごにんに心奪われ続け、眠る身体も起き出す状態です。

脳内妄想を吐き出す場として利用しようかなと思ってます。
ご気分害されたらごめんなさい。
※主軸は21です!

※妄想のお話です。


キツイとこなんで
2話分出しますね~。
今から釣り行くの~(・ω・`ミэ )Э
息子のリクエストです。

これだけ読んだ人ほんとすみませんでした!!(TT)
バタバタしてて一旦下げました~(TT)
なんつーところで私は…ほんとごめんなさい…
(釣りは楽しかったです!笑)








-B-


不安がないわけない


自信なんて、全然ない



だけど


決めたんだ



おいらは、あなたに


気付いてなんてもらえなくても


想いを伝えたい










起きたら、カバンに大きくメモがあった。


開くと、8月の終わり、相葉ちゃんに告白されたことが書いてあって。


携帯のメモを見ても、なるほど、って。


おいらが読んでない間にこんなことになってただなんて。


かたりと置きっぱなしの写真たてをとる。


まさかこれをニノが見て、相葉ちゃんのことを好きだと思って告白をOKしてしまうなんて、思いもしなかった。


うん、確かに、入れたのはおいらだし、込めた想いもニノの予想通りだ。


だけど……。


そっとその写真を外す。


それをカバンの小さなポケットにしまい、携帯で相葉ちゃんの番号を表示した。





「相葉ちゃん。おいら…ごめんね。告白のこと、さっきまで知らなかった。」


相葉ちゃんをオソイヨに呼び出し、正直に謝る。


相葉ちゃんは少しびっくりしてから、笑う。


「…やっぱり、『今日のおーちゃん』とは違う人だよねぇ?」


「……うん。おいらじゃない。やっぱ気付いてたんだね。告白も、その子にだったんでしょ?ちゃんと…次に彼が来た時、説明してもらうから。彼の口から。」


おいらが言うべきじゃないって何となく思ったのは、もしかしたら、という気持ちがあったからだ。



ニノは相葉ちゃんのこと、好きなんじゃないかって。


何となくだけど。



ポケットから写真を出す。


「これ…俺?あ、課外活動の時のかぁ!」


相葉ちゃんの笑顔の写真。


廊下に張り出されたものから、番号を選んで注文するやつで、おいらはこっそりと相葉ちゃんの写真を注文していた。


それが、この写真の正体。



「…おいらね、ずっと相葉ちゃんが好きだった。」



相葉ちゃんが驚いておいらを見る。


「…恋愛として。大好きだったの。」


「うっそぉ?!全然気付かなかったよー!!なーんだー!両想いだったのかぁ!」


え?と聞くと、相葉ちゃんが、ふふっと笑う。


「…俺もっ!おーちゃんが、大好きだった。チューしてエッチしたいっていうやつね!」


「え、嘘でしょ?ほんと?」


相葉ちゃんはくふふと笑って頷く。


「でも…『だった』、でしょう?お互い。」


「…そうだね。うん。」


「今でも好きでいてくれてるなら、3人で付き合っちゃう?!とか言えたのになぁ~(笑)」


事情も何も知らないであろう相葉ちゃんが、自然にニノを1人として換算してくれるところに嬉しくなる。


そうだよ、ニノは…居る。


間違いなく、存在してるんだ。


「…相葉ちゃんは…おいらの中にいた彼が好き、って思ってくれたんだよね?何でわかったの?違うって。」


おいらみたいに二重人格だとか言ったわけではなさそうだし。


まぁ…中身はかなり違う気はしてるけど。


多分、ニノとは基本的に境遇とかは似てるんだけど、なんていうか…全然違う感じがする。


何となく。


「んー、仕組みはよくわかんないけど。不安な時おーちゃんよく首触るのに、その子は目を泳がせる癖があったり…おーちゃんはいつも恥ずかしそうに下を向いてるのに、その子は強がった顔して耳を真っ赤にしたり……


喋り方や性格だけじゃなく、全部が違うんだ。左利きのあの子がいつの間にか気になっちゃって。」


相葉ちゃんがくふくふと笑う。


ニノは左利き、だったんだ。


そっか、そんなところでも気付いてくれてたんだ…。


「よくそんなんで気付いたね?」


「俺が元々おーちゃんのこと好きだったから、よく見てたからね!」


何でもないように言ってくれる相葉ちゃんに、少しドキッとしちゃったことは…


誰にも内緒にしておこう。


「んふふ、ありがと。」


「ううん!…で、おーちゃんは好きな人が出来たんでしょ?」


「なんでもお見通しだなぁ(笑)うん。そうなんだ。大好きなの。告白しようと思ってる。」


「マジで!」


相葉ちゃんが目を丸くする。


「玉砕覚悟だけどね。」


「…うんっ!頑張って!やらない後悔より…」


「「やって後悔!」」


2人して、ふはって笑った。





「ここ…だ…。」


東京。


の、約束の広場。


相葉ちゃんと別れ、電車を乗り継ぎ、何とか辿り着いたそこは昼間だから街が明るい。


それに先日のようなホームレスは居ない。


こっそり安堵の息をつく。


早く着きすぎたから心配してたんだ。


広場の時計台は14時を指している。


あと3時間。


落ち着かない。


気付いてもらえるかな?


無理かな?


無理だよ、当たり前だ。


でも、無理だったとしても。


スケッチブックが、きっと…


おいらの想いを繋いでくれる。


おいらのことを気付かなくても


おいらのことを受け止められなくても


翔くんに、想いは伝えたい。



あの日


自画像を頼まれた日


筆を少し迷ってから、決めた。



翔くんを描こうって。



あの時は自分の気持ちに気付かなかったけど


翔くんを描きたいって、強く思ったんだ。



自分の想いを自覚して、最後に付け足した「だいすき」の文字には


ありったけの想いを込めた。



たかが4文字。


されど4文字。


それ以上でも以下でも、おいらの想いは伝えられない。



翔くんがおいらを見つけられなかったら


翔くんが考えて、気付いて、


暗証番号を開いて欲しいな。


そう思って、この番号にした。



おいらと翔くんが、


ここから始める日。



翔君の辛い過去が…


止まった時間が。


動き出す日。



そう。


今日の日付。



絵が完成した昨日、導かれるように暗証番号を変えたんだ。


よく考えたら過去の事故の日で、調整したわけでも何でもなく、たまたまだったけど。



0915。




9月15日──。





そんなことを考えていると、


通りの方から翔くんが歩いてくるのが見えた。



ドクンッ



心臓が高鳴る。



そちらに向かって歩き出す。



気付いて、気付いて、気付いて──。



だけど翔くんはずっと携帯を見てて。


前を見る気配はない。


一度通り過ぎてから、また広場に戻ろう。


そしたら、あるいは……。



ふわり、



翔くんの匂いを残し、おいら達はすれ違った。


やっぱり、翔くんだ。


間違いない。


振り返って、手を伸ばそうとした。


何を言うかなんて決めてなかったけど、


口を開こうとした。



その時。



ブルルンッ!!


とエンジン音がした。



そちらを見ると、翔くんに向かって車が急発進していた。


考えることなく、翔くんを安全な車道へと突き飛ばす。


翔くんは驚いておいらを見る。


目が合った。


一瞬。


思わず微笑んで、それで──




ドンッ




身体は宙を浮いた。



視界に広がるのは、雲ひとつない



突き抜けるような真っ青な空。




ああ、胴上げされた時よりも



ずっとずっと綺麗な空だ。




だって、ここにはすぐ傍に大好きな人がいる。




そんな悠長なことを思った直後



意識はブラックアウトした。