「遅いよ。」24 | 1年だけ先輩。(基本お山)

1年だけ先輩。(基本お山)

やま。いちご。そうぶせん。

理解した方だけしか読まないでください(笑)
ごにんに心奪われ続け、眠る身体も起き出す状態です。

脳内妄想を吐き出す場として利用しようかなと思ってます。
ご気分害されたらごめんなさい。
※主軸は21です!

※妄想のお話です。


心配のメッセージ何通か頂いて驚きました、すみません!
昨日早朝から雨の中ずっと外にいるっていう
ハードスケジュールで(息子は雨から守ってたよ!笑)、
満身創痍でその後何故か服を買いに行って帰宅して
ノーコン続き書くために過去のを読み返してたら
自分の話ってつまんないから眠くなって爆睡…。
今朝起きたら風邪気味だけど折角久々に晴れたから
息子の行きたがったショッピングモールへ。
電車とバスで行ってはしゃぎ回る息子を追いかけ回す…
という一日で全然書けず!!

しかもノーコン無理だったごめんなさいw
エ ロモードになるまで待ってください~(´;ω;`)
私の場合気力がいるんです、限定って…0(:3 )~











-B-


今、あなたは何してる?


今、あなたは何を思ってる?



どうか泣いていませんように


どうか笑っていますように


どうか冷たい雨に打たれていませんように



自分よりいくつも上のしっかりした人に


そんな馬鹿なことを


遠い空の下から、想う







ザー……


窓を叩く雨の音にふと目が覚めると、自分の家でも翔くんの家でもなくてギョッとする。


でも見覚えはあるわけで…。


隣を見ると本人曰く『(芸人の)コロッケみたいな寝顔』。


そっか、ニノ、相葉ちゃん家に泊まったんだ。


あー…泊まり込みテス勉しよって話してたような?


ニノに言うの忘れてた(笑)


土曜だし、目覚ましはなくて。


壁にかかったオシャレな?斬新な??時計は、5時を指している。


携帯を取ろうとして起き上がると、手がクンッと引っかかる。


あ…手繋いで寝てたんだ。


ぎゅっと握られた手は簡単には外れないように絡みついている。



相葉ちゃんは、よく手を繋いでくれる。


おいらが寂しい時とか、不安に思ってる時とか、そういうのを感じ取って。


登下校もなんだけど、それとは別に…多分、おいらの卑下した気持ちを察して。


『安心するね!』


気持ちが落ち着いてない時、必ずそう言ってくれる。


安心して、って言う代わりに。


相葉ちゃんはいつだって優しい。


…ニノも、寂しそうにしてたのかな?



相葉ちゃんの手って、いっつもあったかいんだ。


繋がれると、すっごい安心するの。


いつも繋がれるからかな?


毎回、皆の目が気になって、申し訳なくて俯くけど…


だけど、心の奥底がほわってあったかくなるんだ。



でも…翔くんは。


何だろうな、ちょっと…


ドキドキしちゃう。


手を繋ぐっていうか、近付くだけで。


ぎゅってするのも、ちょっと緊張する。


慣れない手だから?


お兄さんだから?


あ、いきなり下半身見せられたから?(あれ何だったんだろう…もしかして露出 狂 とか…そんなわけないか…)


それとも…ちゅーしたから?


よく分かんないけど、翔くんと相葉ちゃんって、なんか違う。



……って当たり前か、おいらは相葉ちゃんが好きなんだから。


そういえば、翔くんって好きな人いるのかなぁ?


ニノのことは恋愛感情なんてないって言ってたけど。


じゃぁ、ちゅーしてたのは何でなんだろう…。



昨日の翔くんはすごく小さな子みたいで。


ぎゅっとしたまま眠った。


『明日は…多分ニノ…だよな?』


そう聞いた翔くんは、すごく不安げで…。


多分って頷いたら、ぎゅって背中に回した手に力がこもった。


おいらは広い背中をたくさん撫でた。


『多分、また入れ替わると思うから…ね?』


小さい子が駄々を捏ねるのを宥めるかのように言うおいらはおかしかったけど、翔くんは笑わなくて。


『絶対入れ替わってよ?智には何でも話せるんだよ。こんな話…誰にもしたことなかったし、泣くなんてほんとダセェ…。』


ダサくないよ、って言った後、ニノにも言ってないの?って聞いたら、翔くんは当たり前だろって笑った。


『不思議だよな。ずっと智には心許してんだよ、俺。初めて会った気がしないっつーか、いや会ってるようで会ってないんだけど…あ、』



──実体がないからかな。



その一言に、ズキンッと心が痛んだ。


嘘ついてることもだし、何か…勘違いしてた。


おいらがトクベツだからだって。



…翔くんは…


おいらに実体があると分かったら、どう思うんだろう…。



『…明日なんて来なきゃいいのに。』


そう言った翔くんに、おいらも自然に頷いて。


だけど…いつの間にか寝ちゃったみたい。


今日の翔くんは、元気に過ごしてるのかなぁ。


ニノとどんな話をしてるのかな?


泣いてない…かな…。



「んん…」


相葉ちゃんが寝返りを打って、ハッとする。



何で…


こんなに、翔くんのこと考えちゃうのかな?


歳上なのに、ほっとけないから?


自分の考えに整理がつかないまま、そっと絡まった相葉ちゃんの指を離し、顔を洗いに行った。




昨日の日付のメモには、


相葉ちゃん家に泊まる予定ならちゃんと言え!という文句と、


昨日授業分の ノートを確認しとけというメッセージが残っていた。


確認すると、詳しい説明付きで綺麗にまとめられている。


丁寧なそれに、ニノはA型な気がするなぁ…と思いながら目を通していると、古典のノートで手が止まる。



「誰そ彼……。」



たそがれ、の語源…


目の前の人が誰だかわからなくなる、魔物と出会う曖昧な時間。


その説明の横に黄色い付箋があって、小さくメモ書き。


『部活で描いている智の絵も黄昏だよね。パリのやつ。あれは何なの?まさか行ったことあんの?だとしたらなまいきなんだけど。』


ニノからの伝言だ。


おいらも同じこと思い出してた。


今取りかかっている絵は、黄昏時のパリの絵で。


色合いのイメージを形にするのに苦労した。


空が終わったから、あと2ヶ月位で完成する予定だ。


確かに、何だか不思議なものと出逢いそう。


筆箱から新しい青い付箋を出す。


何で青かって、黄色と青の付箋しか持ってなくて、同じ色じゃ目立たないだろうから。


『行ったことない。大好きな映画のワンシーンだよ。古い映画だけど。』


ニノの付箋を剥がした所にぺたりと貼って、思わず笑う。


ふふ、何か文通みたいで面白いな。


黄色い付箋をゴミ箱に捨て、そのまま読み進める。



『思ひつつ寝ればや人の見えつらむ 夢と知りせば覚めざらましを』


隣に訳が書かれている。


『思いながら眠りについたので、(あの人が)夢に現れたのだろうか。もし夢とわかっていたなら(夢から)覚めなかったろうに。 』



なんか…わかるな。


ふと翔くんの顔が浮かぶ。



夢から覚めない方法は……


あるのかなぁ。



ぶんぶんと頭を横に振る。


おいら、本当に何考えてるんだろ。



まだ起きそうにもない相葉ちゃんの寝顔をそっと覗く。


おいらの好きな人。


大切な友達。


──叶わない恋。


だからって、現実から目をそらすのはダメだ。


翔くんがおいらに優しいのは、おいらが実体のない二重人格の『意識』だと思ってるから。


それだけなんだから。


何故か分からないけど、チクン、と胸の奥がまた泣いた。




「あれ…おーちゃん、起きたんだ。…ってまだ6時前じゃん!!早起きだね…ふあぁ~」


「相葉ちゃん、おはよ。」


おいらが笑うと、相葉ちゃんが寝ぼけながら寝たまま手を差し伸べる。


「おーちゃん、手貸して?」


不思議に思いつつ、伸ばされた右手においらの右手を載せる。


ぎゅっと掴まれ、どうしたの?と聞く。


「ん~……いや。…安心するなって思って。」


相葉ちゃんがニコッと笑う。


おいらもつられて笑顔になる。


「おいらもだよ。」



やっぱり、相葉ちゃんのこと、好きだなぁって。


しみじみ思う。


だけど。



『…明日なんて来なきゃいいのに。』



早く、明日が来たらいいのに……。



何故だか、そう思っちゃうんだ。