「遅いよ。」23 | 1年だけ先輩。(基本お山)

1年だけ先輩。(基本お山)

やま。いちご。そうぶせん。

理解した方だけしか読まないでください(笑)
ごにんに心奪われ続け、眠る身体も起き出す状態です。

脳内妄想を吐き出す場として利用しようかなと思ってます。
ご気分害されたらごめんなさい。
※主軸は21です!

※妄想のお話です。


感無量過ぎます。
色々、ありがとうございました…!m(_ _)m
今日からしばらく、1日潰れる日もありますが、
旦那がいない生活を満喫してお話書きたいと思います♡
メッセージも順次返します、すみません…!!

一個前に和さん♡のイラスト載せさせて頂きました~♡
W神様からの御褒美でもう私…死ぬのかな…?

あ、あと、後日また書きますが、
BL喫茶ツアー本当にするかもしれません…!!w
詳細詰めたらまた募ります!!10月予定!!(はやっw)
優しいお方が行こうって言ってくださってて♡
(しかもこのために西から遠征…!)
折角なら予定合う方いたら一緒にどうかなって…
平日か休日かも決まってませんw
興味ある方は平日なら、とか、休日の方が、とか、
ご一報ください☆
誰もいなかったら2人で行ってくる…!
多分次回はない(私の事情で。笑)ので、
この機会に興味ある方はぜひ勇気出していきましょ♡w








-B-


他人を信じることは、勇気が要る



裏切られた時に、


もしくは叶わなかった時に、


とてつもないダメージを負うから



だけど、何故だろう


出逢ってもいないあなたを


信じたくなってしまうのは









「誰かにそのノートあげるの?」


夕食後、ひょいと覗き込んだ相葉ちゃんが不思議そうに尋ねる。


「いや…何で?」


「何か自分用のノートって言うより、解説とか、コメントとか、誰かに教えようとしてるノートみたいだから!」


相葉ちゃんに言われて、はたと気付く。


確かに、おかしい…か?


「あー…実は相葉ちゃんと風間にもこのノートコピーとって配ろうかなって。」


咄嗟についた言い訳にしては良くない?


自分に感心する。


「ほんと?嬉しい!!でもおーちゃんのテストが貼り出されるのは嫌だから、俺らのことは気にせず頑張って!最悪朝イチで行って俺が取り返すからね!!」


相葉ちゃんは、無理だって思ってんだろうな。


まぁ智の過去のテストや通知表を見る限り確かに無理だと俺も思う。


けど…


「そりゃね。全力尽くすよ。じゃないとさ、変わんないじゃん。こいつ。」


「こいつ…?」


「あ、わり、俺。」


相葉ちゃんは首を傾げる。


「おーちゃんは変わりたいの…?」


「当たり前でしょ。卑屈で、暗くて、先輩にも教師にも下に見られて。人生諦めてんだよ。どうせ普通に生きたって生きられるわけないって。周りの人に気を使って、自分をどんどん下げて…。


そういうの、良くないっしょ?まだ……俺ら、若いのにさ。むしろ今だけじゃん?どんどん修正が効かなくなるっつーのに。」


智は全てを諦めている。


受け入れていると言えば聞こえはいいが、


それはただの諦めだ。


下に見られることも。


相葉ちゃんや風間の隣にいることすらも


自分なんかの隣にいたら迷惑をかける、と。


人生を…諦めている。



──大野智は、俺だ。



普通に生きられるわけがないって思ってる。


智はまだ若くて、どんな道だってあるのに。


俺みたいに借金まみれで身体売るしかない、みたいな状態じゃないのに。


智は…ずっと諦めてる。


対峙したわけでも、この目で中身の智の言動を見たわけでもないけど


あの美術室に置いてあった絵や周りの態度から、何となくそう感じる。


分かるんだ。


俺らは多分、似てるから。



「…そうだね、良くないね。」


「でしょ?だから俺はもっと…」


「決めつけるの、良くないよ。」


……は?


決めつけるってどういうこと?


質問の代わりに、相葉ちゃんに訝しげな視線を送る。


「若いからって。そんなの関係ないでしょ?」


「……へ?」


そ、そこ?


「おーちゃんが変わりたいなら、いつだって変われるんだよ。年齢なんて関係ない。もっと言えば、環境だって関係ないよ。」


相葉ちゃんが強く頷く。


「何歳だって、変わりたいと思ったら変われる。染まりたいと思ったら染まれる。その人の心次第。でしょ?」


「…分かんないよ。アンタには。」


そう、分かるわけない。


こんな立派な家に住んで


あんだけ愛情注がれて…。


お前に俺の気持ちが分かるわけないんだ。


簡単に言うな。


「うん、分かんない!俺、かーちゃんととーちゃんに愛されてるし。。でもね?」


相葉ちゃんが俺を……


智を、ぎゅっと抱き締める。



「おーちゃん、変わろうとしてるって言ってるのに、本心は…根っこのとこでは変わろうとしてないでしょ?」



図星をつかれ、ビクッと身体が揺れる。


「な…んで……。そんなこと…」


智に変われと言う俺自身は、変わるなんて無理だと諦めている。


智を変えるつもりでも、俺自身は関係ないと一線引いている。


そんな状態を、こいつに見破られたとはどうしても思えない。


「分かんないけど!でも…何となく、分かるよ。ねぇ、おーちゃん。大丈夫だよ!きっと変われるから。どんな環境かとか、そんなの関係ないよ。」


「…何も…知らないくせに…」


「くふふ、知らない!だから、教えて?」


すっぽり包まれた俺の身体は、智の身体だからだろうか、心臓がドキドキして、ぽかぽかと温まっていく。


こんな歳下のガキに絆される俺じゃない。


でも…今は、同級生だ。


「…教えられない…って言ったら…?」


ならもういいよ、って突き放すかな?


それとも……


なんて。


本当は、そんなわけないって思ってるのにこんなこと聞く俺は──ずるい。



「じゃぁ、教えたくなったら教えて!俺はいつだっておーちゃんの隣に居るよ。ね?おーちゃんが言いたい時には、必ず聞くから。


俺らってきっとさ、例えばどっちかが進学とか就職で遠くに引っ越しちゃったとしても…ずっと繋がってると思うんだぁ。逃げたって無駄だよ?必ず探し出して、会いに行くから!」


「……ストーカーかよ……」


「くふふ…嫌だったらそう言ってね?そしたらストーカー諦めてあげてもいいよ(笑)」


諦めてあげてもいい、だなんて。


どんなストーカーだよ。


すげぇ上からだな。


「……約束だから。探し出してよ。俺を。」


智じゃないよ。


俺を。


探してよ、アンタのそのミラクルでさ。


そんなん、有り得ないのに。


だって、相葉ちゃんは…俺を智だと思ってるんだから。


分かってんのに。


何でこの人は、もしかしたら…って思わせるんだろう?


この人から感じるこの特別なパワーって、一体何なんだろう?


「任しといて!」


相葉ちゃんの手が背中を優しく撫でる。


智の……じゃなく。


俺の背中を撫でてくれているように、錯覚した。





その晩、何故か…ベッドの下に布団を2枚敷いて、2人で手を繋ぎながら寝た。


「くふふふ…修学旅行みたいだね?」


「修学旅行で手繋がねぇだろ」


…行ったことないけど。


「安心するね!」


「……まぁ。そうね。」


安心する。


それは本当だ。


掌から伝わる体温、しっとりした感触、智の手より大きくて包まれる安心感。


だけど


初めて客をとった夜よりも、遥かに緊張して。


なかなか寝付けなかった。



ドキドキ煩い心臓。


妙に気になる時計の音。


ザザ……と遠く聞こえる波の音。


そして…隣に居るよと言った、相葉ちゃんの気配。



……何だよ、これ。


何でこんな胸が締め付けられるんだよ。



小さないびきが聞こえてきて、そっと顔を覗き見る。


手は繋いだまま。


「……アイバカ。」


ぽつりと呟く。


何呑気に寝てんだよ、バーカ。


「ねぇ。見つけてよ…俺のこと…。」


口の中で、消え入るような声を漏らす。


いびきの音で、絶対に聞こえないような小さな声で。


「俺は…今からでも変われるのかな。」


相葉ちゃんのいびきはだんだんと豪快になっていく。


ふふ…櫻井さんも煩いけど、こいつも結構ヤバいな。


「……まっとうな人間になりたいよ。俺も。アンタみたいな、優しくてあったかい人間になりたい。」


頭をそっと撫でる。


気持ちよさそうに目尻にシワが寄るけど、全く起きる気配はない。


「…智…ごめん。」


額にかかる前髪を上げる。


「身体、貸して…ってもう借りてるけど。」


額に唇を、優しく当てる。


自分が何でこんなことをしてるのか分からない。


この胸の中にある感情が何を指し示すのか。


何に突き動かされてるのか。


全然分かんないけど。


不細工な寝顔でいびきをかき続ける相葉ちゃんに、ふっと笑う。


「…おやすみ。」


相葉ちゃんの腕に寄り添うように、身体を横に向ける。


起きたら、また櫻井さんの元だろう。



眠りたくない、なんて


初めて、思った。