No control123 | 1年だけ先輩。(基本お山)

1年だけ先輩。(基本お山)

やま。いちご。そうぶせん。

理解した方だけしか読まないでください(笑)
ごにんに心奪われ続け、眠る身体も起き出す状態です。

脳内妄想を吐き出す場として利用しようかなと思ってます。
ご気分害されたらごめんなさい。
※主軸は21です!

※妄想のお話です。


歯医者さん行ってました。
自分の妄想がこんな所で自分の首を絞めるとは。
目を瞑っている時「これが5人の誰かなら…」と
考え始め、にやけるの止めるのに必死。←ヤバい奴

しかも昨日明け方までuntitled祭りしてたから、寝不足でくまがすごい←更にヤバい奴








【Side 櫻井】


あの…美礼って人。


どこかで見たことがある気がしたんだけど…。


コーヒー作る時にちらっと見えた噛み跡からしても間違いなくオメガだし、俺の人生にオメガはほとんど関わっていないはず。


でもなんとなく見たことがあると感じた。


しかも、多分良い印象ではない…。


しかし大野さんと話す感じは、とても明るく朗らかで優しい印象だった。


向こうも知らないと言ってるんだし、きっと気のせいだ。



「櫻井さん…大丈夫?美礼さん知ってたの?」


「あ…いや、俺の勘違いみたいです。」


コーヒーを買い、オフィスへ階段で戻りながら尋ねる。


エレベーターより、ゆっくり話せるから。


「そっか。…ごめんね、勝手に紹介して。何かすごく話しやすくて…母親ってあんな感じかなって。ハルは母親代わりだし穏やかだけど、男だしさ。」


「いえ、嬉しいです。…そうですね。」



母親、か。


俺の母親は、女だが、一言で表すならヒステリックだった。


オメガのことを罵倒してる印象しかない。


だから、日曜は怖いっちゃ怖いんだけど…


実はハルさんに会えるのを楽しみにしている気持ちもある。


結婚の許しをもらうことが大前提だが、籍を入れれば義母になるわけで…。


穏やかな母親というものに憧れがあったんだ。


男同士の…アルファとオメガの親というものが、どういうものなのか。


俺には皆目検討もつかないわけだけど…


「?」


育った人がこの大野さんなんだから、きっと素敵な2人なんだろう。


「いえ…何でもないですよ。棚田くんに次いで、優しそうな方で良かった。大野さんとも仲良くなれそうですね。」


「…だね。」



それに…


計画遂行のため、オメガの人とできるだけコミュニケーションを取ると決めたんだ。


オメガの人の気持ちや、生活。


今までずっと目を瞑ってきたから、俺には全く分からない。


そんな状態でこの計画を進める資格はないだろうと考えてのことだ。



「あ、そういえば…棚田くんと山際さんに取材お願いできませんか?」


「取材?」


ゲームのざっくりしたシナリオはニノにもらってるけど、各組み合わせのカップルの細かいストーリーについては取材が必要だ。


その属性カップルだからこその苦労、苦難。


アルファ×ベータはニノと松本でまかなえるが、他は…まだだ。


俺と大野さんは、オメガであることを隠している大野さんが特殊過ぎる。


だからカップルへの取材は不可欠で…


先程紹介された時に聞いた名前で、ふと思いついたのだ。


「そういうことね!多分大丈夫だと思う。聞いてみるよ。連絡したいと思ってたんだ。」


「助かります。山際さんに言うより、棚田くんに言いたくて。オメガの方のための企画だし。」


「ふふ…嬉しいな、その気遣い。ありがと。」


2階分の階段はすぐに終わる。


ちらりと上を見ると、当然のように俺らを見つめる監視カメラ。


折角誰も居ないのに。


山際さんが見せてくれたあの監視ルームが脳裏にこびりつき、一瞬のイチャつきも許されずに歯痒い。


くそ。


分かってはいたけど、こんなに近くにいて触れないなんて…。


「櫻井さん?」


監視カメラを見上げていた俺に気付き大野さんが歩みを止める。


「あ…いえ。」


何でもないと再度登り出す。


やっぱ、あのトイレくらいかな…


とはいえいつ誰が来るかも分かんねーから一瞬しか無理か…


そんなことを思いながら、こっそり溜息をついた。




その夜は松本が空いていたため、松本が大野さんと残業することになった。


出向している外部の人間がサービス残業して毎日オフィスにいたら、流石に目立つし何をしてるか聞かれるだろう。


俺は仕方なく家に帰ることにした。


エントランスを出たところで、誰かに見られている感じがした。


何だろう、と見渡しても分からず、結局それは一瞬で。


反射的に5階…コーヒーショップのあるフロアを見上げるも、窓際には誰もいない。


気のせいか、と踵を返し、駅に向かった。


会社の付近でしかその視線は感じなかった。




「…で?欲求不満なの?ヒートでヤリ まくったし日曜も出し切ったんでしょ?」


「ぶ!おま…言い方っつーもんがあるだろ。」


ヘッドセットをつけ、マイクでニノと話しながらのコーディング。


マイクとヘッドフォンの一体型で、両手が空くので作業しながら話しやすい。


「でも翔ちゃんの言ってることってそーゆーことでしょ。」


「まぁ…そうだけど。」


「ヤマギワって人に、いっそ『いちゃつくんで!』って宣言したら?」


「出来るかよ!」


「そらそーか。」


お互いカタカタとキーボードを叩きながら、話を進める。


「つーか親に会うんだ…智は突然だな~どんまい(笑)」


「智言うな。笑い事じゃねぇ…元暴走族の総長だぞ?!俺、何させられるんだろ…あれかな、チキンレース的な…ぶつかる直前で止まるようなやつ…?」


「さーね。まぁせいぜい頑張んなさいよ。アンタらはいいじゃん、子ども産めるんだし籍も入るんだから。」


「…悪い。」


「悪かないでしょうが。(笑)」


そうだ。ニノ達は…『結婚』も出来ないし、子どもも作れない。


パートナーシップで身寄りのない子どもは引き取れるにしても…


親の反対は俺ら以上だろう。


「…お前は会わないの?」


「ま、後々ね。翔ちゃん家程のハードルではないから安心してよ。」


「…ならいいんだけど。」


「良くはないでしょうよ。(笑)」


ニノはくつくつ笑う。


確かに、総長よりうちの親のが厄介な気もする。


最近帰っていないが相変わらず喧嘩ばかりしてるんだろう。


兄貴とも久しく連絡を取っていないが、恐らく実家にはほとんど帰っていないだろう。


兄貴はオメガ批判する親を、当初からどこか冷めた目で見ていたから。


お互いオメガの不倫相手を抱えているくせに、アルファの家族であることに固執し、オメガが悪いと蔑む。


──自己正当化のため。


今考えればどれだけ合点のいかない理論かよくわかるが、昔の俺には『アルファと結婚しなければ』と洗脳されていた。


それほどに淀みない、『当然』であるかのような差別だった。


そんな親にオメガの恋人を紹介することは、イバラの道であることは火を見るより明らかだ。



先を考え、思わず溜息をつきながらペラ、と仕様書を捲る。


ひと通り目を通すと、1箇所気になるところがみつかる。


「…あれ?この18ページの真ん中のif文ってループになんねぇ?」


先日チェックした時には気付かなかったが、ある選択肢を選ぶと、少し前と同じシーンが出てくる仕様になっている。


「18…あー。わざとだよ。このループを3回繰り返すといけるようにカウントアップ付いてるでしょ?」


「…こんなの、ややこしいだけじゃねぇか。お前みたいに皆ゲームをやりこんでねぇよ?普通の奴がこんなとこ、見付けられるか?」


「調べるって作業をユーザーにしてもらいたいんだよ。公式でサイトを出さずともマニアは勝手にやりこんで各ルートを網羅したブログやサイトを作り出す。そのアクセス数が増えれば広告にもなる。


簡単なゲームじゃそうはいかないでしょ?そこに開発者の意地悪や遊びがあった方が燃えるんだよ、やりこみ型のゲーマーは。」


「…そーゆーもん?」


「そーですよ。」


ニノが何言ってるのかよくわかんねーけど、こいつの方が圧倒的に詳しいんだ。


任せる他ない。



「…で。さっきの話だけど。」


ニノが少し間を開けて声を出す。


「…教えたくなかったんだけど、いいこと教えてあげよっか?」


「…は?」