「…はっ?」
松本は裏返った声を上げる。
「だからぁ、飲みに行こうって。」
「待って待って。…誰が?」
「旬くん。」
「誰と?」
「俺と、旬くんと、まつじゅんと、翔くん。」
「だから、何でそのメンバー?!?!」
「知らねぇよ。旬くんが言うんだもん。」
「いや…え?旬に翔くんと付き合ってること、言った?」
「言ったよ!そしたら飲みに行こって。」
ケロッとした顔で答える大野に、松本は目を白黒させた。
普通、フッた奴2人と実った奴と自分で飲もうって誘われてOKするもの?
旬も何考えてんだよ…
イヤイヤその前に
「翔くんは?」
承諾するはずがないじゃないか。
「行くって。」
ほらな。
………は?
「い、行く?え?」
「え?うん、来るって言ってたよ。」
松本はとにかく混乱した。
何言ってんのこの人達は?
え、俺がおかしいの?
俺が繊細すぎるだけ?
何なの???
しかし大野はニコニコと話を進める。
「旬くんがいいとこ予約してくれたらしいから、そこで飲もって。ちょっと遠いけど、何かそこで泊まれるらしーよ!旅館なんだって!だから休みの前の日に行こってことになってね!」
松本はフラッとよろめいた。
(ま、マジで展開についてけねー…)
そんな様子を見て大野は心配そうに覗き込む。
「行かない?」
「行きます。」
しゅんとした大野の顔を見て、光の速さで即決してしまった松本だった。
*
当日。
お前は何を考えてるんだ、といくら尋ねても教えてくれなかった小栗を睨みつつその個室では美しい懐石料理が並んでいた。
大野と一緒に来た櫻井が、大野の隣をがっつりキープしている。
櫻井の前には小栗、大野の前には松本だ。
「じゃ、料理も揃ったし…頂く?」
「いただきます!」
料理は一通り揃っているため、仲居さんが顔を出すことはこちらから呼ばない限り無い。
都合の良い密会場所だ。
「いや~、大野さんはおろか櫻井くんまでいらっしゃるとは。素敵な彼氏ですね?」
ニコニコと大野を見る小栗。
「別に、小栗くんから俺の智くんに、『まさかヤキモチ妬いて行くなとか残念なこと言う人じゃないだろうから、素敵な優しい心の広い彼氏さんに聞いといて下さい』ってそれはご丁寧なメール頂けばね?」
櫻井は小栗と同じようなキラキラの笑顔を貼り付けている。
「それにしても櫻井くんは別に誘ったつもりはなかったんだけどなぁ?(笑)」
「智くんと俺ってセットみたいなところあるからね、自動的に誘われたのかと思っちゃったよ~(笑)」
完全に笑顔×嫌味合戦と化した2人を横目に、松本はそういうことか、と納得する。
櫻井がこんな集まりを許すはずがないと思ったのだ。
しかも本人参加でカオスが増している。
「皆で飲んだら楽しいよね~♪」
更に当事者が一番楽観的だ。
その当事者の笑顔にデレっとなる2人。。
松本は、来るんじゃなかった、と反省した。
「で、大野さんてぶっちゃけどっちなの?」
「ぶ!!!!!」
土瓶蒸しの卵を吐き出したのは櫻井だ。
慌てておしぼりで拭く。
「どっちって?」
きょとんとする大野。
「夜の件です。」
小栗は右肘をテーブルにつき手を顎に起き、ニヤニヤと笑う。
「今は俺が…」
「わー!わー!!わー!!!!!」
正直に答えようとする大野を、櫻井が慌てて止める。
「え、そっち?」
「マジか。意外だったわ。」
しかしその甲斐虚しく櫻井のリアクションで完全にバレてしまう。
「ちがっ、これは相葉のせいで…!」
「え?!相葉くんのせいって…ことは、相葉くんに掘 られたの?!」
「え、翔くんマジ?!」
「そーなの翔くん?!」
何故か大野まで驚く。
「ちげえええええ!!!!相葉のせいで俺が暴走したからオアズ ケくらってて…!」
「相葉ちゃんのせいで暴走って何だ…?」
「相葉くんが櫻井くんを暴走させるって……何かヤ ラ シ イ(笑)」
「そーなんだよ翔くんヤ ラ シ イんだよー」
どこかズレている大野。
「大野さん、そこら辺を詳しく。」
「聞くなぁー!!!」
食いつく小栗を遮る。
「えっとねぇ、俺のア ソコを持つ時…」
「言うなぁーーー!!!!!」
どこまでも正直者な恋人を必死で制する。
櫻井は完全に酔っ払って潰れてしまった。