君だけの音を聞かせて9 | 1年だけ先輩。(基本お山)

1年だけ先輩。(基本お山)

やま。いちご。そうぶせん。

理解した方だけしか読まないでください(笑)
ごにんに心奪われ続け、眠る身体も起き出す状態です。

脳内妄想を吐き出す場として利用しようかなと思ってます。
ご気分害されたらごめんなさい。
※主軸は21です!

※妄想のお話です!ご注意ください。















【Side 松本】




ニノと…大野くんっつったかな?


その二人がダンスホールに居ることに気付いた。


ニノはダンスレッスンスタジオでバイトしている。


つまりはあの二人はダンサーの卵ってことだ。


二人とも猫背で、全然そうは見えねぇし。


つーか何だ、あの動きと変顔は。


ヘッドフォンを片耳に挟みながらクスッと笑って、次の曲に奴らのためにダンスナンバーを選ぶ。


流行ってるダンスユニットの曲?


いや、、そんなイメージじゃないな。


少し昔の、男女グループの誰もが知ってる曲?


何かピンと来ない。


ああ、あれにしよう。


数年前に芸術家でもあるマルチアーティストが出した、決して有名ではないけれど、とびきり背筋がピンと伸びるやつ。


Top Secret。




ニノが嬉しそうに振り返る。


はは、お前こういう曲調好きだもんな?


ウィンクをしたら、ちゅっと返ってくる。


バカ、そーゆーのは俺の専売特許なんだっつぅの。


笑いながら踊ってる人の顔を見ようと見渡すと、ふと目が止まる。




何だ、アイツ?




軽やかなステップと夢中な横顔に目を奪われる。


そしてすぐに手元に集中する。


思うよりも手が先に動いた。


アイツのダンスの邪魔をしないように、でも挑発するように。


目で必死で追いながら頭をフル回転させる。


持てる全ての引き出しを使って音を作っていく。


考えてる暇なんてない。


フィーリングだ。


音が纒わり付いて、アイツのダンスと合わさって混ざりあって、気持ち良すぎてイ キそうになる感覚。


距離はあるし間に何人も人はいるのに、ぴったりくっついて二人だけの世界に感じる。


ちょー気持ちいい!


最高なエクスタシー!




曲が終わり、「変わって!」と他のDJに任せ、そいつの元へ飛んでいった。


「アンタすげぇよ!!何あれ!何者?!」


周りにも集まってくる。


「こんなに波長の合った奴初めてだよ!」


「まっ…待って、おいらニノに……!」


ニノ?


よく見ると、ニノの隣にいた大野くんだ。


ダンスしてる時と顔や動きが別人過ぎて全く気付かなかった。


「どいてくれ!…ニノ!!」


慌てて人をかき分けて出ていく大野くんは、やっぱりどう見てもさっきの奴には見えなくて。


もう少し話がしたくて追いかけようとするも、囲まれてる奴らに捕まった。


「MJ最高だったよぉ~♡」


「サンキュ。君も最高なドレスだね。」


「潤マジで活き活きしてたー!あのアレンジやばいね!」


「そ?お前のダンスも良かったよ。」


軽く交わしながら出ようとするも、人の輪は案外大きくて出られない。


仕方ない。


今日は俺の誕生日パーティなんだから自由には動けないもんだよな。


諦めたところに、見知ったイケメンが現れる。


「松本!」


翔くんは、すごく急いだ様子で。


大野くんを探しているという。


名前も知らないくせに、何で?


知ってんだよ、ここに来ては綺麗な子を毎回連れ帰ってんの。


そんな女好きなこの人が、あのダンサーに何の用だ?


走っていく後ろ姿を見て、呟く。


「…まさか…あの翔くんが、ね?」


ないない。


それに、あれは俺が先に目をつけたんだ。


名前も教えてやんないよ。




DJブースに戻り、Top Secretのディスクケースを眺める。


「大野智、か…。」


やっと見つけた。最高の片割れ。


さーて。


どう口説き落とすかな?


片側の口角が自然に上がった。