君だけの音を聞かせて2 | 1年だけ先輩。(基本お山)

1年だけ先輩。(基本お山)

やま。いちご。そうぶせん。

理解した方だけしか読まないでください(笑)
ごにんに心奪われ続け、眠る身体も起き出す状態です。

脳内妄想を吐き出す場として利用しようかなと思ってます。
ご気分害されたらごめんなさい。
※主軸は21です!

※妄想のお話です!ご注意ください。















【Side 大野】




「まじ?むりむりむりむり。」


「俺だって無理なんだよ!頼むって!」


「でかい音ダメなんだよおいら!」


「俺もだよ!仕方ないじゃんチケット買わされたんだから!」


扉を開けた途端流れる低い音においらは全力で拒否した。


だって、こんなん聞いてない!


ニノの友達の誕生日パーティ、一人じゃ無理だ、ついてきてほしいと泣きつかれたから来ただけなのに…


「何でクラブなんだよ?!」


「知らねぇよ俺だって!普通にレストランかと思ってたんだよ!昼間はレストランでイベントあればクラブになるとか普通気付かないでしょうよ!秘密基地かよ!」


「そもそもお前の友達なんて知らねぇもん!」


「仕方ないでしょ、一緒に行くはずだったヨコが急遽行けなくなって1枚余ってんだから。」


「更に知らねぇよ誰だよヨコ!!じゃぁ何だ?!俺は横の代わりだから縦か?!」


「何わけわかんないこと言ってんですか!」


ずるずる引きずられて階段を降ろされる。


普段なら力はおいらのが上だけど、階段には重力と体重が加わり、途端に形勢は逆転する。


「お前も行けなくなったって後で言えばいーじゃん!」


「バカ、この紙切れ1枚に入場料にドリンク代、軽食代までついてんだよ?!あーもったいない!絶対元とって帰りますからね!」


知らねーよ!!どこまでケチなんだよ!!


そうこうしてる内に受付についてしまい、二人分のチケットを手渡すニノを見て、覚悟を決めるしかなくなった。





「うわ…」


薄暗い照明。


バカみたいにでかい音楽(かどうかもわからない、おいらにとっちゃ騒音)。


派手な女の人とチャラそうな男の人。


とりまく香水やらタバコやらの臭い。


ここは…現世の地獄か?


「はしっ……い…」


「え?」


「はしっこ!いこ!」


怒鳴られて初めて理解出来る。


隣の奴の声も聞こえないのに、何を祝うんだよ?


そんでどれが友達なわけ??


わけもわからず連れていかれるテーブルで、一息つく。


すると突然、舞台に照明が向く。


「今日はありがとうございます!楽しんでってください!」


黒い箱型の装置を軽快に動かす顔の濃ゆい男に、色んな人の祝福の声が飛び交う。


騒音が少し楽しそうな音楽に変わる。


流行に疎いおいらには何の曲かはわからない。


「友達ってあいつ?眉毛濃くね?」


「そうそう。高校時代のギター部仲間。」


「マジかよ。すげー種族だな。」


種族って、とニノが笑う。


「のみもん持ってくるわ。ビールでいい?」


「うん。」


ニノが離れていくと、独りになって急に不安になる。


とにかく誰とも目を合わさないよう、縮こまって携帯をいじる。


しかし待てど暮らせど帰ってこない。


…遅い。遅いぞ!何やってんだよ?!


ニノにイライラしてたけど、だんだん心配になってきた。


テーブルから1歩踏み出しキョロキョロしてみたものの、どっちに行ったか見てなかったから、人混みからニノは見つけられない。


「こんちは!お一人ですか?」


急に肩を叩かれ、話しかけられて飛び上がると、そこには舞台にいたはずの眉毛がいた。


「えっ…あれ?舞台は…」


ちらっと見るとキャップをかぶってアクセサリーをじゃらじゃらつけた人が立っていた。


「ブースは数人で回してるんすよ。今日は俺の誕生日だから、基本は挨拶回り。」


なるほど、と頷いて見せたけどいまいち理解出来ない。


おいらの知る誕生日パーティに共通する部分が一個もないからだ。


「あ、えーと、ニノの…二宮和也の友人です。」


「ニノの!なるほどね、こんな可愛い人隠してたんだニノは?」


可愛い人ぉ?


あぁ鳥肌たった。チャラい奴ってすげぇのな。


男相手にも余念が無い。


「智ごめんお待たせ…って、潤くん、何でここに?」


やっと来た救世主にほっとする。


さっきのおいらと同じようにニノも舞台を振り返った。


「挨拶回りだよ。今日は来てくれてサンキュ!」


「ああ、別に…ヨコが行けないっていうから、バイト仲間連れてきた。こいつ、大野智。」


ぺこりと頭を下げた。


「バイト先って……」


「うん。例の。」


何だよ、例のって。


怪しい言い方してんじゃねぇよ。


「へぇ…横山の代わりかぁ。じゃぁあいつには感謝しなくちゃね?大野くんに出会えたんだから。」


頬を人差し指の背で撫でられる。


あ、またぞわぞわした。


背筋を氷が走る。


「俺、松本。よろしくね。じゃ!後でまた回すから!良かったら踊ってってね!」


ウィンクしながら次の挨拶へと去ってゆく眉毛(改め松本)を呆然と見て、はたとニノに気付く。


「おせぇよ!何してたんだよ!」


「ごめんごめん!何か厄介なのに捕まってて。」


「ぎゃ…逆ナンってやつ?」


「いや…逆っつーか……なんつーか…」


歯切れの悪いニノは、苦笑いしながらプラスチックカップに入ったビールを差し出してきた。


「とりあえず飲みましょう。疲れた。」


「?…うん、飲も。喉カラカラ。」


色んな思いも一緒に、ぐいっと喉に流し入れた。