「もしもし?…昨日、ちゃんとハッパかけたぞ。」
「良かった~流石リーダーだね。」
電話口で明るい声が聞こえる。
松潤の声は響いてるから、お風呂なのかもしれない。
最近半身浴してるって言ってたし。
俺は風呂上がりで、ソファにいる。
ニノと別れた次の日の夜だ。
「びっくりしたわ。こういうの俺苦手なのにさー何で俺だったんだよ?」
数日前、急に電話が来た。
ニノの好きな奴のことを知っているかと。
言い淀んだら、予想外にも告白させろと言われて。
一瞬この関係バレてんのかと思った。
でも松潤の言い方はそんな感じではなくって。
俺じゃ無理だったから、リーダーお願い、
翔くんだと多分理屈っぽくなってひねくれたニノには伝わらないと思うし、って説得された。
ニノとリーダーは似てるからって。
翔くんとニノのが似てねぇ?とは思ったけど、ニノに対しては今は適任な気もして受けてしまった。
おかげでこんな展開に…困ったもんだ。
「リーダーは苦手じゃないと思うよ。こういう時はリーダーなんだよ。俺らには。」
急に褒められるから、なんかこしょばゆくて、ムズムズする。
恥ずかしくなって話題を変えた。
「…で、何で松潤は気付いたの?ニノの気持ち。」
「何ででしょう?」
楽しそうな声と共に、チャポンと水音が聞こえる。
「…お前は…ニノが好きなの?」
「俺が?あはは、それは違うよ!」
「笑うなよー。じゃ何で?」
「ふふ、教えないよ。」
「なんだよ気になるじゃん!」
「まーまー。で?告白しそう?」
またバチャンと水の音。
風呂場に携帯持ち込んだことねぇから松潤が今どうやって電話してんのか気になってくる。
壊れないのかな?
「んー…まぁ、多分ね。」
「なら良かったよ。」
「よくわかんねぇよ。何が正解なんだろうな。」
「大野さんがしたことは背中を押すこと。それで充分でしょ?」
それはそうかもしれないけど。
まぁとにかく今ニノが辛そうなのも、相葉ちゃんとニノお互いにとって良くないことも確か。
俺は正直告白する気なんてなかったけど。
ニノの勇気に一役買えるなら、自分の失恋なんて何ともない。
どうせ叶わない恋なんだから。
これは悲観してるとかじゃなくて、単純な事実だから。
何にせよ、メンバー2人がメンバーに告白って。
なんか、変なグループ過ぎて笑けてくる。
「何笑ってんだよ?」
「いや……そーいやまつじゅんさ、俺がどうやってハッパかけたか聞かないよね。何で?気になんないの?」
「えっ…いや、まぁそこは信頼してるからね?あ、それよりそろそろのぼせてきたから上がるね!ありがとねー」
「え、ちょっ…」
ツーツーと電子音に遮られる。
何か怪しい?
…よくわかんねーな。
まぁいっか。
眠くなってきてそのままソファで眠りについた。