符咒 | 書道教室 墨屋好文堂

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呪術廻戦が流行っているようで、呪術とか霊力といったことになんとなく関心を持つ人が増えているのではと思いますが、現実としては科学的ではないとして信じない人も多いことでしょう。

しかし神道や天皇制、神社といった日本の伝統や文化の中には様々な呪術が盛り込まれています。

 

「呪」という漢字にネガティブなイメージを持っている方がかなりいるのではないかと思われますが、もともとは神道の「神咒(かじり)」という古い言葉がありまして、繰り返し神様を感じながら祈ることを意味します。

自然の中で繰り返し唱えたり意識することによって、人間は自然と共に生きているということを忘れない、そういった意味が「呪」という言葉の中にはあります。自然と密接に関わり合いながら、自然と一体化する日本的修行の根幹ともいえるものが呪術であるということです。

遡れば、縄文土器のあの独特な紋様にも呪術性があるといわれていたり。一説には、土器に紋様を施したスタンプを封泥(封印)に転用することで、「印(証明するという意味)」になったのではといわれています。ハンコの代わりに指紋を押捺するのもここが起源ではないかといわれるほど、印と粘土の関係性は深く、朱肉ことを印泥と呼ぶのもその名残り。

教室では、子供たちも清書した作品に印泥を使って押印をし、自分の作品であることの証明をしています。

そんな印の始まりはというと、人類最古の文明シュメルで幾何学紋の印が封泥として粘土に捺されたことをきっかけに、その後、神の名や姿を刻んだものが流行し始めました。神様に守られた封印を解いて財宝を盗めば天罰が下る、魔力を備えた印によって財産を守るという役割であった印は次第に、お守りとして携帯するなど変化していきながら、ナイル、インダス、黄河などの文明に伝播していったというわけです。中国では周代から使われ始め、役職が刻まれた公的な印は身分証として使われていました。

 

で、この「朱」色について

霊符、符咒を書写する時はほどんどの場合、朱墨で書きます。

どの世代まで通用するか分かりませんが、子供のころ流行ったキョンシーの御札も朱で書かれていました。緊急事態で朱墨がないときは指先を嚙みちぎってその血で書いていたりしました。

テンテン好きだったなぁ、、、当時のほとんどの小学生は好きだったはず。

 

神社の鳥居にも朱が使われていますが、これは古代人が血の色に近い朱色を魔除けの力として考えていたため。

 

朱は、水銀から取られる「丹(日本では古来「に」と呼ばれた)」という鉱物の色で、道教では煉丹術(れんたんじゅつ)といって、不老不死を得るための仙薬として服用されたりしていました。微量であれば、漢方薬では効果が薄い病気に対して珍重されていたようですが、唐代の皇帝は服用を間違えたことにより何人も亡くなっていたりします。

弘法大師空海も水銀の呪術的なエネルギーを求め、真言密教の霊場を高野山(水銀の産地)にしたといわれています。高野山の中腹にある、丹生都比売神社(にうつひめじんじゃ)に祀られているのが、丹生明神(にうみょうじん)で天照大御神の妹。またの名を稚日女命(わかひるめのみこと)といい、和歌山の名前の由来になっています。

 

 

では本題に。

 

最近の年賀状は、吉祥印を彫ってそれをお押していましたが、今年の年賀状は、魔除けの印です。

 

日本の陰陽道には魔除けの符咒が2種類あります。

 

縦4本、横5本で構成された「九字」、

↓口伝(くでん)では、右上から左下に線を加えた十字とするものもある(日本には、口伝(くでん)によって継承者だけが相伝するという伝統があります。武術や茶道にも口伝があり、古事記も、もともとは口伝を集めたもの)。

 

 

 

 

 

これと対を為すのが「清明桔梗(せいめいききょう)」

 

↑口伝では中心に点を書き加える

 

五行相克の図↓

時計回りに木、火、土、金、水

隣同士は相生(相手を生み出す)の関係

対角線は相克(相手を壊す)の関係を表します

 

これらは日本のものなので見たことがある人も多いと思いますが、今回、年賀状用に作った符咒は、道教では最も重要で強力といわれている『五岳真形図(ごがくしんぎょうず)

 

五岳というのは、道教の聖地である5つの山の総称。大地の鎮めとして地上に置かれた五岳を写し取ったものが五岳真形図。5つそれぞれの符咒は効能が違うのですが、全部を組み合わせるとオールマイティーの最強符咒になるとのこと。

 

うわさによれば、今年は噴火や地震が発生するといったことがあるとかないとか。ですので、少しでも小さく収まるように祈りながら今回こちらを刻しました。

頂上に置いたものが今年の干支の印。

壬寅は、才能が芽吹きやすい年なので、苦手なことに挑戦して克服できれば、一気に成長できるといわれています。

届いてからのお楽しみということでモザイクをかけています。

ここでは年賀状解説ということで、五岳の名称を記していますが、実物はお守りとして使えるよう印のみの味気ない年賀状になっています。

 

最近は企業の年賀状離れも進み、その流れに乗って出さない人も年々増えているようなので、最近は年賀状を頂いた方だけに送るようにしています。年賀状が届いてから作製しますので、返信にお時間いただきますことをご容赦ください。